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歯科保健対策の拠点に 「支援センター」を設置 静岡県庁

静岡県は25日、県民の歯科保健対策を総合的に推進する「ふじのくに口腔(こうくう)保健支援センター」を県庁内に設置した。市町や関係機関との連携を強化して歯や口の健康を守り、健康寿命の延伸につなげる。

 歯科医師と歯科衛生士が常駐し、虫歯や歯周病を持つ人の割合など歯科保健に関する統計分析▽口腔機能低下で栄養摂取が難しくなる「オーラルフレイル」対策▽歯科保健計画の管理▽市町事業に対する技術的支援▽研修や会議の実施―などに取り組む。石田貴医療健康局長がセンター長を務める。

 県庁で山口重則健康福祉部長、柳川忠広県歯科医師会長、森野智子県歯科衛生士会長らが看板を除幕した。山口部長は「センターが中核的な役割を担い、県民の口腔機能の維持に努める」、柳川会長は「センターと連携し、地域だけでは解決できない課題をサポートする態勢をつくりたい」とあいさつした。

歯周病ケア普及歯科健診

内容  歯周病検査、歯周病の予防・改善指導
場所  同健診の実施医療機関 ※各支所・公民館等にあるチラシ    や市HPに掲載。受診する場合は、事前に医療機関に申込み    が必要。
対象  ●昨年4月~来年3月に満30・40・50・60・70     歳の誕生日を迎えた、または迎える方
    ●妊産婦で職場等の歯科健診を受ける機会がない方(治療     中の方は対象外)
料金  500円(70歳の方は無料。その他の方も免除制度あ     り)
持ち物 健康保険証ほか ※妊産婦は、受診券と母子健康手帳を持    参。
その他 健診後、精密検査や治療が必要な場合は、保険診療の対象
     健康推進課 ℡25-6315

レセプト分析、健康指導 医療費適正化へ 川崎市

川崎市は2017年度から、生活保護受給者のレセプト(診療報酬明細書)データを分析し、医療費の適正化や健康管理に活用する事業を始める。適切な健康指導を行うことで、糖尿病など生活習慣病の重症化予防を図り、複数の病院を受診する「重複受診」や必要以上に病院に通う「頻回受診」の適正化につなげる。

 市の生活保護費は近年、高止まりしており、2015年度決算で年約596億円。このうち受給者の医療費を全額公費で賄う医療扶助費は約249億円を占め、今後の高齢化の進展でさらに増える見通しだ。

 市によると、受給者の医療扶助費についてはこれまでもケースワーカーらが指導してきたが、疾病名ごとの分析はできていなかった。

 新たな事業は、受給者約3万2千人の病名や受診内容、処方薬などのレセプトデータと健康診断結果の分析を民間業者に委託。指導が必要な受給者を抽出した上で、ケースワーカーや区役所の地域みまもり支援センターの保健師らが医療機関と協力し生活改善を含めて対応していく。

 17年度予算に事業費約1200万円を計上した。市生活保護・自立支援室は「より精度の高い、疾病ごとの詳細なデータ分析によって健康管理を支援できる。健康寿命が延伸できれば、医療扶助、介護扶助を抑制することになる」としている。

 市は後発医薬品の利用や重複受診の適正化を最大限図れた場合、医療扶助費の抑制効果を年2億2500万円と見込んでいる。

こども歯みがき教室

 内容 講話、個別歯磨き指導
 日時 4月24日(月) 午前10時から
 場所 健康相談室(第二庁舎3階)
 対象 3歳以下の乳幼児と保護者
 定員 6組
 申込 健康推進課 ℡25-6315

受動喫煙は歯の健康も脅かす

歯科医師 原田尚也(北海道 65)

 公共の場での屋内全面禁煙を、と訴える社説「たばこ対策 五輪にともる黄信号」(17日)に同感である。私は歯科開業医だが、40年近く臨床を経験するなか、喫煙はもちろん受動喫煙が、口の中の健康に悪影響を及ぼす症例を多く見てきた。

 歯茎が黒くなっている小児患者は、親がヘビースモーカーという例が多い。副流煙に含まれるタールが沈着している可能性が強いと思われる。以前、真面目に治療に通ってくるのになかなか歯周病が改善せず、歯茎が黒い非喫煙の患者がおり、よく聞くと職場の同僚のほとんどが喫煙者だった、という例にも出合った。

 ニコチンは血管を収縮させ末梢(まっしょう)血液の循環量を減らし、細胞の新陳代謝を妨げることから歯周病を進行させる。喫煙者だけでなく、受動喫煙でも歯周病のリスクが高まることは、国立がん研究センターの疫学研究で明らかになっている。全身の健康状態に悪影響を及ぼすことは疑いの余地がない。

 国民の健康寿命を延ばしたいと考えるのであれば、禁煙のきっかけとして「たばこのない五輪」は良い機会になると思う。ぜひ「屋内全面禁煙」を目指して欲しい。2017年4月21日 (金)配信朝日新聞

たん吸引や栄養注入など必要…医療的ケア児受け入れ、8県の保育所でゼロ

たんの吸引や栄養注入などが日常的に必要な医療的ケア児の保育所での受け入れ状況について、厚生労働省が初の実態調査結果をまとめた。

 全国260か所に303人が通っていたが、8県ではゼロだった。受け入れ促進のため、同省は、ケアを担当する看護師を派遣するモデル事業を今年度始める。

 調査は昨年7月、全国の認可保育所と認定こども園を対象に実施。2015年度の受け入れ人数を調べた。受け入れの報告があった303人を都道府県別にみると、大阪(49人)、滋賀(35人)、千葉(23人)、東京(21人)の順で多かった。青森、福島、山梨、岡山、山口、徳島、佐賀、宮崎の各県は1人も受け入れていなかった。

 最多の大阪府では、大阪市など少なくとも8市町が、看護師の配置費用を補助するなどしている。同省も今年度のモデル事業で、看護師の派遣や保育士の研修受講でかかる費用などを補助し、体制作りを進める。

 幼稚園については調査が行われておらず、全体の状況はわかっていない。

 医療的ケア児の在宅医療に取り組む前田浩利・医療法人財団はるたか会理事長は、「保育所の利用を望む親子は各地にいる。看護師の配置だけでなく、緊急時に指示を出せる在宅診療医らと連携する仕組み作りも重要だ」と指摘している。

人口3割減の8808万人 65年推計、出生率1・44 1億人割れ53年、超高齢化 政府目標実現は困難

国立社会保障・人口問題研究所は10日、2065年の人口は8808万人とする「日本の将来推計人口」を公表した。15年から50年間で3割減となる。女性1人が生涯に産む子どもの推定人数「合計特殊出生率」は65年に1・44で、12年公表の前回推計(60年に1・35)から上方修正。近年の30~40代の出生率上昇を受けた。人口が1億人を割るのは53年とし、前回推計の48年より5年遅いが、政府が目標とする「60年に1億人程度」の実現は現状では困難で、少子化対策などの一層の充実が求められる。

 65年の65歳以上の割合(高齢化率)は38・4%で、15年の26・6%より増加。1人の高齢者を20~64歳の働き手1・2人(15年は2・1人)で支える計算となる。前回推計(65年に40・4%)に比べ進行はやや緩和されるものの「超高齢化」は不可避で、年金、医療保険などの社会保障制度改革も喫緊の課題となる。

 菅義偉官房長官は10日の記者会見で、「1億総活躍プラン」に掲げた子育て支援などの施策を推進すれば「合計特殊出生率や総人口の推計値はさらに上昇する」と発言。ただ識者からは「人口減少は楽観視する状況になく、抜本的な対策が必要」との指摘が出ている。

 推計人口は、国勢調査などを基におおむね5年ごとに公表。15年までの実績値などから、50年先までの出生率と死亡率について「高位」「中位」「低位」の3通りを設定し、それぞれを組み合わせて算定した。

 出生と死亡が共に「中位」で推移する標準的なケースでは、人口総数は15年の1億2709万人から53年に9924万人と1億人を割り込み、65年に8808万人まで減少する。

 65年の内訳は「0~14歳」が898万人(10・2%)、生産年齢人口の「15~64歳」は4529万人(51・4%)、「65歳以上」は3381万人(38・4%)としている。平均寿命は15年の男性80・75歳、女性86・98歳から延び続け、65年に男性84・95歳、女性91・35歳。

 合計特殊出生率は、15年の1・45が、24年(1・42)に下げ止まり、65年には1・44に。ただ人口を維持する目安とされる2・07を下回る状況は続く。

 ※将来推計人口

 国勢調査や人口動態統計などのデータから将来の出生率や死亡率、入出国者数を仮定し、これらを基に、日本の総人口や年代構成がどう変化するかを50年後まで推計する。社会保障をはじめ、政府の政策や長期計画の基礎資料として使われる。国立社会保障・人口問題研究所が国勢調査に合わせて約5年ごとに見直しており、長期の合計特殊出生率、高齢化率、平均寿命の推計値などを発表。今後、都道府県別や市区町村別の推計も公表予定。

 ※合計特殊出生率

 15~49歳の女性の年齢別出生率を合計した数値で、「1人の女性が生涯に産む子どもの数」を推定する指標。1975年に2・00を割り込んでから低下傾向が続き、2005年には1・26と最低を記録した。最近は緩やかな上昇傾向にあり15年は1・45だった。人口の維持に必要とされる水準は2・07。安倍政権は、若い世代が希望通りの数の子どもを持てる「希望出生率1・8」を目標に掲げているが、少子化に歯止めがかからない状態は続いている。

歯の治療 障害者も気軽に

発達障害や身体障害を抱える人を治療する「みき歯科 三越通りクリニック」が、高松市丸の内にオープンした。障害者を積極的に受け入れる個人の歯科医院は香川では少なく、患者が受診をためらって治療が遅れるケースも多いという。院長(34)は「みんなが気軽に通えるクリニックにして、症状に合った診療を心がけたい」と意気込む。(福元淳也)

 「怖くないですよ。もう少し口を開いてくださいね」。19日、三木院長とスタッフは折れた前歯の治療に訪れた40歳代の女性に優しく声をかけ、差し歯用の歯型を取った。女性は高松市内の障害者福祉施設に入所しており、施設の看護師(58)は「丁寧に診察してもらえ、本人も喜んでいる。障害者を受け入れる歯科医院は少ないのでとても助かります」と喜んだ。

 クリニックのオープンは17日。院長は2009年4月~今年3月、高松市のかがわ総合リハビリテーションセンターで障害者の診察にあたった。
 専門医を志した原点は、過去に経験した自閉症の患者に対する治療。16歳くらいの少年が暴れて虫歯治療を拒絶したため、両腕をネットで拘束して、頭が動かないようスタッフに頭を押さえつけてもらいながら治療した。強烈な経験は夢にまで再現されて三木院長を苦しめ、「どうやったら気持ちよく診察してもらえるのか」と考えるようになったという。

 同センターに勤務しながら、香川大大学院で自閉症をはじめ、脳性マヒや脳血管障害など、症例ごとの対処法を学んだ。リラックスして口を開けてもらえるよう、手先から肘、肩、首をさする技術も身につけた。

 院長は「診察時には、患者やその家族とのコミュニケーションも心がけました」と振り返る。診察時に動けば口の中を大けがする危険性や、治療しなければかみ合わせがずれて顎関節症になったり、菌が血管に入り込んだりする可能性も丁寧に説明したという。歯磨きができなかった女児には、ブラシの使い方をパネルも用いて何度も指導し、習慣づけた。

 「患者の人格を尊重しながら診察できるようになった」と手応えを感じ、独立に踏み切った。

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