記事一覧

お口きれいで認知症減? 虫歯菌が関与

虫歯の原因となる「ミュータンス菌」が認知機能の低下を引き起こす可能性があることが分かったと、京都府立医大の渡辺功(わたなべ・いさお)助教(口腔(こうくう)衛生学)らのチームが9日、発表した。「口の中をきれいにすることで認知症が減るかもしれない」としている。

 チームはこれまで、止血作用を阻害する特殊なミュータンス菌が、脳出血の発症に関与することを突き止めていた。

 今回、約280人(50代~80代)の脳を磁気共鳴画像装置(MRI)で調べたところ、この菌を保有する約70人は、深部で微小な出血が起こっている割合が高かった。

 深部の出血は認知機能障害に関わるとの研究報告があることから、1分間に平仮名の「か」で始まる単語をいくつ挙げられるかなどの言語テストを実施。その結果、保菌者の解答率は、菌を持っていない人よりも低かった。

 渡辺助教は「菌の検出キットができれば、認知機能低下のリスクに簡単に気付けるようになる」と話している。成果は英科学誌電子版に掲載された。

高所得高齢者、介護保険負担を2割→3割に引き上げ…閣議決定

政府は7日、「地域包括ケアシステム強化法案」を閣議決定した。一定の所得以上の高齢者が介護サービス利用時に払う自己負担割合を、2018年8月から3割に引き上げる介護保険法の改正案や、障害者総合支援法の改正案、社会福祉法の改正案などが含まれる。

厚生労働省によると、介護サービスの自己負担が3割に引き上げられるのは、現在、2割負担している人のうち、単身者の場合で年収340万円(年金収入のみの場合は344万円)以上、夫婦世帯では年収463万円以上。対象は利用者の約3%(約12万人)という。塩崎厚労相は7日の閣議後記者会見で、「3割負担の対象は特に所得の高い人だ。制度改正では、低所得者の負担を据え置くなど様々な配慮をした」として理解を求めた。
 高齢者の介護の必要度を示す「要介護度」を維持・改善した市町村を財政的に支援する仕組みも、18年度から導入する。要介護度を低く保つことでサービス給付を抑え、40歳以上の人が負担している介護保険料の上昇を抑えるのが狙い。17年度中に具体的な評価指標を決める。リハビリ職と連携した介護予防の取り組み状況や、個々の利用者の介護計画が適正かどうかを専門職が検討する会議の開催状況などを評価対象とする見込みだ。

 また、一定条件を満たせば、現在は別々に運営している介護と障害者福祉の各事業所を一体化できるようにする。17年度に指定基準を検討する。

子どものフッ化物塗布

普段は高齢者様や施設関係者様相手の仕事が主ですが、
先日クリニックオープン内覧会のお手伝いをした際、
ご家族連れの来場者の方が多く乳歯についてもたくさん質問を受けました。
一般的に一番先に生える乳歯は下の前歯です。
生え始めの歯はとても柔らかで、唾液中のカルシウムが
表面に付着することにより硬くなります。
フッ素塗布については
「子どもの歯も大人の歯も生え始めはとてもむし歯になりやすいので
生えてきたらフッ素塗布をする事をお勧めします。
2、3ヶ月に1回といった感じで定期的に塗布するのが効果的です」
と回答させていただいています。
最近はフッ素濃度について心配される方も多いですが、
フッ素塗布のフッ化ナトリウムは薄めて使うため、
人体へのリスクは非常に低いものです。
むしろ、むし歯になることの方が後々の影響が大きいと言えます。

歯周病と記憶力

噛むと脳が刺激されて頭が良くなるといったことは以前よりよく聞きます。
咀嚼により脳への血流量が増え、広範囲の部位で活性化が起こるからです。

では、実際の歯の本数と記憶力が関係しているのはご存知でしょうか。
天然歯と人工歯(インプラントや義歯)の大きな違いの1つは
根があるかどうかです。
歯槽骨と歯牙の根の部分のセメント質の間には歯根膜があります。
根(歯根膜)がなくなると歯根膜にあるセンサーが機能しなくなり、
感覚低下を引き起こし、脳への刺激信号や感覚情報量の減少に繋がります。

天然歯が少なく欠損歯が多いと義歯等を使用していても
食事に偏りが見られる傾向があり、ビタミンやたんぱく質の摂取量が減少して
脳の活動に影響を与えることも考えられます。

また歯牙の欠損は記憶力だけではなく運動能力も失うといった報告もあります。
特に全歯欠損は心身機能の低下を招くことが示唆されており、
咀嚼力の低下は栄養状態の低下、口腔内の炎症反応等の原因になります。
60歳から75歳までの方々の全歯欠損は10年後の精神的・肉体的な衰えの
リスクファクターになるそうです。

シュガーフリーガムを10分程度咀嚼することにより1億ほどの口内細菌が
ガムに取り込まれ除去できるという効果も期待されているようです。

歯肉退縮の原因と治療

毎日の口腔ケアにより歯肉退縮の進行を遅らせることは出来ますが、
それでも顕著に退縮が見られるようであれば
加齢、咬合、間違ったブラッシング、歯周病などの原因が考えられます。

◇加齢
一般的に10年間で2ミリ歯肉は下がる。
20代に比べると50代は6ミリ下がる。

◇咬合
強い咬合、ブラキシズム、歯列矯正等により
歯肉に負担がかかり退縮に繋がる。

◇間違ったブラッシング
強い力、ロングストローク、サイズの合わない、
歯間ブラシ等により歯肉が傷み、老化に繋がるため歯肉退縮を起こす。

◇歯周病
日本人の8割が罹っていると言われる感染症。
歯周ポケット内に細菌が繁殖し自覚症状がなく
歯牙周辺、歯槽骨等を吸収するため歯肉退縮に繋がる。

また、一度歯肉退縮を起こすと元に戻すことは容易ではありません。
治療法としては下記のような方法があります。

◇「遊離歯肉移植」「結合組織移植」
歯肉や結合組織を退縮した部分に張り付ける外科的処置

◇咬合調整
原因が咬合である場合には調整を施す

◇エクストルージョン
歯と歯肉を引っ張り上げる方法

◇歯肉弁側方移動術
隣の歯の歯肉を移動させる方法

歯肉退縮は誰にでも起こりうるものです。
治療となると大変になってきますので、日頃から歯みがきの仕方を見直すなど、
以下のような方法で予防を心がけて、最小限に食い止めましょう。

(1)歯磨きの習慣づけ
寝る前の歯磨きの徹底と朝起きた後、そして毎食後に歯磨きを行う。

(2)最適な歯ブラシと歯磨き粉を選ぶ
歯ブラシは軟らかく、ヘッドが小さめのものを使用し、1ヶ月程度で交換。
歯磨き粉は粒子の細かい薬用歯磨きの方が良い。

(3)歯槽骨や歯肉に良い食べ物を採る
カルシウム、ミネラル、ビタミンCなどのビタミン類やコラーゲン等

給食窒息事故で請求棄却 宇都宮地裁「予見できず」

栃木県真岡市の市立小で2010年、当時1年だった飯沼晃太(いいぬま・こうた)君が給食の白玉団子を喉に詰まらせ、その後死亡したのは市が安全管理を怠ったことなどが原因として、両親が市に約8400万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、宇都宮地裁は2日、「誤嚥(ごえん)する危険性は予見できなかった」として請求を棄却した。

 訴訟で両親側は、文部科学省がパンの誤嚥死亡事故などを受け、08年10月の時点で給食での窒息について注意喚起しており、市には予見可能性があったと指摘。市側は、給食で提供された白玉を原因とする窒息事故は県内で報告されていなかったとし、救護措置も適切だったとしていた。

 吉田尚弘(よしだ・なおひろ)裁判長は判決理由で「当時7歳の健康な児童に対し、直径約2センチの白玉団子がほかの食品と比べて誤嚥する危険性が高いというのは困難で、半分ないし3分の1にして提供する義務があったとはいえない」と指摘。

 救護措置については「速やかに救急通報しており、救命するため行うべき処置をした」とした。

 判決によると、飯沼君は10年2月10日、白玉汁に入った白玉団子を喉に詰まらせた。病院で脳死宣告され、13年1月、10歳で死亡した。

 父親の健一(けんいち)さん(37)は判決後の記者会見で「このままでは何も変わらず、晃太の死が無駄になる。行政が変わらなければ、また事故が起きる」と話し、控訴する意向を示した。

 真岡市の井田隆一(いだ・りゅういち)市長は「今後も再発防止に取り組む」とのコメントを出した。

関連記事
白玉団子で窒息、両親の請求棄却 宇都宮地裁
朝日新聞
誤嚥死亡で和解金600万、神戸地裁での双方の主張を詳報
高橋直純(m3.com編集部)
男性医師の勾留中死亡、奈良地裁、遺族の請求棄却
橋本佳子(m3.com編集長)
部活事故で元顧問賠償責任 高校生死亡に「重過失」
共同通信社
抜管時過失で1億2000万賠償、神戸地裁判決を詳報
高橋直純(m3.com編集部)
おすすめ臨床

歯周病 治療に新薬 歯支える骨、増やす 患者の選択肢、広がる

成人の8割がかかっているとも言われる歯周病は、悪化すると歯を支える骨「歯槽骨」が壊され、歯が抜けてしまう恐れもある。対策は口の中をケアし、悪化を防ぐしかないと思われてきたが、昨年12月、歯槽骨を増やす効果のある新薬「リグロス」(一般名トラフェルミン)が発売された。現時点では効果は限定的だが、患者にとっては選択肢が広がりそうだ。【野田武】

 大阪府吹田市の主婦(30)は3年前、歯がぐらついて食事がしにくくなり、近所の歯科医院を受診した。専門的な治療が必要と判断され、大阪大歯学部付属病院(同市)を紹介された。

 主治医はリグロス臨床試験(治験)について説明した。「症状がよくなる可能性があるなら」と考えて参加した。「手術後も痛みなどはなく、歯は今も大丈夫です」。女性は歯を失わずに済み、術後も順調だという。

 歯周病の原因は口の中の細菌の塊(プラーク)。これを放置すると歯周病になり、プラークが歯石になると歯磨きでは取れなくなる。さらに悪化すると歯槽骨などの組織を壊してしまう。

 歯科医にプラークと歯石を取ってもらえば歯周病の進行は止まるが、一度失われた歯槽骨は元には戻らないとされてきた。

 しかし、リグロスには、骨の再生や血管の新生、細胞増殖などを促すたんぱく質「FGF2」が含まれており、歯槽骨や周囲の組織の再生を後押しする効果がある。

 歯周病がひどくなると、歯茎を切り開いて歯石などの汚れを取り除く手術が必要になる。リグロスは粘り気のある液状の薬で、切開した歯茎を縫合する前に、歯槽骨の欠けた部分へ垂らして投与する。

 ◇大半の歯学部、治験参加 重大副作用なく 保険適用対象

 歯を再生できないか――そんな思いから、科研製薬(東京都文京区)と大阪大のグループが1990年代にリグロスの研究開発を始めた。薬の安全性と効果を実証して国の承認を得るために同社が2001年から段階的に実施した臨床試験(治験)には、阪大など全国の25施設が参加。日本には大学の歯学部が29あり、その大半がいずれかの段階で加わった形だ。

 臨床試験には約1000人の患者が参加した。治療後9カ月間でどの程度骨が再生したかを調べたところ、平均して壊れた部分の半分程度が修復されていた。

 歯槽骨が必要以上に成長するなどの重大な副作用は生じなかった。ただ、治り方の程度には個人差があったという。

 大阪大歯学部付属病院長の村上伸也教授(口腔(こうくう)治療学)は「歯の支えが増えることが期待できる点に意義がある」と説明する。

 外国で生まれた歯の再生治療法もあるが、保険適用されていない。リグロスは保険適用されているので自己負担が原則3割で済む。

 価格は決して安くはない。リグロスは歯槽骨がどの程度壊れているかによって大小2種類あり、大が約2万7800円、小は約2万700円。症状によっては2カ所以上に使う必要があり、手術代もかかる。

 村上教授は「長年の研究を通じて、手塩にかけてようやく世に放った薬。安全性と有効性を実感してもらいながら、普及へ向けて薬を育てていきたい」と話している。

 ◇「セルフケア」不可欠 歯間ブラシが有効

 歯周病対策には、日ごろから自分の歯を管理する「セルフケア」が欠かせない。

 日本歯周病学会が対策についてまとめた論文によると、歯周病は40~60歳の壮年期に発症・進行する場合が多い。痛みなどの自覚症状がないため、この時期の予防が重要となる。歯科衛生士などの専門家から年に1~2回はケアについて指導を受けることも推奨している。

 日常のケアは、歯磨きに加えて、歯の隙間(すきま)に合った太さの歯間ブラシを使うことが汚れを取り除くのに効果的だ。歯間ブラシが入らない狭い部分には、デンタルフロスを使う。

 学会の論文をまとめた森田学・岡山大教授(予防歯科学)は「歯間ブラシを使うと歯茎がマッサージされるので血行がよくなって老廃物が排出されやすくなり、歯茎が強くなる効果がある」と指摘する。ただ、使い方を間違えると歯茎を傷つけてしまうこともあるので、注意が必要だという。

 一方、歯周病の最大のリスクとされるのが喫煙だ。同学会によると、ニコチンの影響で血管が収縮するなどして、歯周組織が修復しにくくなるという。豪州で喫煙者と非喫煙者の歯周病の人の割合を比べる調査をしたところ、喫煙者の方が高く、進行もしやすかった。

 ただ、禁煙すると5~10年で歯周病になるリスクが非喫煙者と同じ程度になるという。

加熱式たばこの誤飲で傷害速報

日本小児科学会はこのほど、加熱式たばこの誤飲例が報告されているとして、2つの事例をInjury Alert(傷害速報)で公表した。加熱式たばこで使用するスティックは、紙巻きたばこより細かく刻んだタバコ葉を高密度に充填しており、子供が一口で口に入れられる長さ。同学会こどもの生活環境改善委員会では、今後、子供の誤飲が増える可能性があるとして、注意を呼び掛けている。

 加熱式たばこは、タバコ葉を充填したスティックに加熱板を挿入し、熱を加えてニコチンを含む蒸気を発生させ吸引する製品。2015年から本格的に販売が開始されている。加熱式たばこのスティックは一般的な紙巻きたばこの半分の長さで、乳幼児が一口で食べることが可能だという。スティックに含まれるニコチンなどの有害物質の含有量は公表されていないが、紙巻きたばこより高濃度の可能性もあるといい、子供が誤飲した場合、摂取量次第で重篤な状態になることもあり得るという。

 今回公表された事例は、9カ月の乳児。母親が子供の異変に気付いた時には加熱式たばこのスティック1本すべてを食べたとみられ、救急外来で輸液し、胃洗浄を行って中等量のタバコ葉を回収。入院にて経過観察し、翌日退院したという。別の事例では、11カ月の乳児が母の寝ている間に誤飲。正確な誤飲量は不明だが、救急外来受診後に一度嘔吐を認めたという。バイタルサインに異常を認めなかったため数時間経過観察を行い、帰宅させている。

 日本小児科学会こどもの生活環境改善委員会は、今後育児をする世代が加熱式たばこを使用するようになると、子供の誤飲が増える可能性があり、子供が誤飲しやすい短いスティックが流通することでさらに誤飲例が増えると考えられるため、子供の誤飲に配慮した改善を求めている。

関連リンク

過去ログ