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歯少ないと閉じこもり倍に 高齢者、会話ためらいも

残った歯が少なく、入れ歯も使わない高齢者は、歯が20本以上残る高齢者と比べて「閉じこもり」状態になるリスクが2倍近い―。東北大の相田潤(あいだ・じゅん)准教授(歯科公衆衛生学)らが、こんな調査結果を発表した。会話や食事をためらいがちになるほか、栄養状態の低下で体力が落ち、週に1回の外出も難しくなる可能性があるという。

 相田准教授は、歯の健康を良好に保つ重要性を指摘。「歯が少ない人は自分に合った入れ歯をして、快適にかんだり、しゃべったりできるようにすることが閉じこもりリスクの回避につながる」としている。

 相田准教授らは2006年、愛知県在住の65歳以上の高齢者に、歯の本数と外出の回数などを質問。この時点で閉じこもり状態ではなかった4390人を(1)自分の歯が20本以上残る人(2)19本以下で入れ歯を使っている人(3)19本以下で入れ歯を使っていない人―の3グループに分け、4年間追跡調査した。

 その結果、4年後に週に1回も外に出ない閉じこもり状態になった人の割合は(1)のグループが4・4%だったのに対し、(2)のグループは2倍の8・8%、(3)は2・2倍の9・7%だった。

 これらの数値に年齢や歯以外の健康状態などの条件を加えて調整した結果、65~74歳で入れ歯を使わない人が閉じこもりになるリスクは、20本以上残る人の1・8倍に上るとのデータが得られたという。

口唇口蓋裂に新たな治療 耳の軟骨細胞を培養鼻に移植 高さ・ゆがみ、整える

生まれつき唇や上あごにすき間などがある「口唇口蓋裂(こうしんこうがいれつ)」。耳の軟骨細胞を使って鼻の形を整える新たな治療法の開発が進んでいる。また、人工歯根を埋めて義歯を取り付けるインプラント治療に、今年4月から公的医療保険が使えるようになった。

 口唇口蓋裂の赤ちゃんが生まれる割合は、国内では約500人に1人といわれる。上唇に割れ目がある口唇裂、上あごにすき間が残る口蓋裂、両方の症状を伴う口唇口蓋裂に分かれる。

 治療は、あごの発達に応じて出生直後から成長期、成長終了まで段階を踏んで、唇や上あごのすき間を閉じ、鼻の形を整え、歯茎の欠けた部分に自身の骨盤骨などを移植する。骨格が固まる16~18歳ごろをめどに一連の治療は終わる。

 口唇口蓋裂で鼻の変形があった関東地方の会社員の男性(25)は、大学4年の夏、自分の耳の軟骨細胞で鼻の軟骨を再生治療する臨床研究に参加した。骨盤などから取った骨や軟骨を移植する従来の方法と比べ、体の負担が小さいという。

 耳の後ろから1センチ四方の軟骨を切り取り、軟骨細胞を1カ月ほど培養して約1千倍に増やした。特殊なコラーゲンなどを素材にした「土台」(長さ5センチ、幅0・6センチ)に軟骨細胞を入れ、「再生軟骨」をつくった。それを鼻筋に移植し、鼻の高さやゆがみなどを修正した。「痛みが少なくて、うれしかった」

 東京大学と共同で開発したIT企業「富士ソフト」(横浜市)によると、治療対象は17歳以上を想定。再生医療製品として国の承認を得るための臨床試験(治験)中で、来年度の承認取得を目指しているという。

 ■インプラントに公的保険を適用

 また、歯のない部分の治療は16~18歳以降になる。

 関東地方の保育士の女性(23)は一昨年、治療の仕上げとして、1本分の歯の欠けた部分にインプラントを埋める手術を受けた。見た目のよさからインプラントを希望した。当時、埋設手術に医療保険は使えず、費用は約40万円かかった。

 口唇口蓋裂の患者に対するインプラント埋設手術が保険適用になったのは今年4月。手術法や人工歯の種類などによってかかる費用は異なる。日本口腔(こうくう)外科学会の朝波惣一郎(あさなみそういちろう)監事によると、1本実施した場合の患者の支払いは、3割負担で10万円弱が標準的という。「生活の質を高めるもので、ぜいたくではない」と話す。関連学会は、対象となる患者は年間約1200人と見込んでいる。

 ■他科との連携、必須

 口唇口蓋裂の治療は、形成外科や口腔外科が中心となる。ただ、中耳炎を起こしやすく、かみ合わせの矯正や言語訓練なども必要になるため、耳鼻科医や歯科医、言語聴覚士、臨床心理士との連携が欠かせない。また、口唇裂は妊娠時の超音波検査でわかる場合が多く、生まれる前からの対応も求められる。

認知症予防、口腔ケア講座 生活習慣 総合的に指導 宮崎市・岡田整形外科

宮崎市浮田の岡田整形外科(福嶋秀一郎院長)は9月から、地域住民らに生活習慣を総合的に考えてもらおうと、認知症予防や口腔(こうくう)ケアなどについて専門家が解説する月1回講座を同院で始めた。関係者は「生活習慣をトータル的に指導する講座は珍しく、健康寿命を延ばす意識向上につなげたい」としている。

 同院で栄養指導をする管理栄養士の牧春菜さんによると、生活習慣を見直すため食事や体操など単独での指導や講座はあるが、トータル的に取り組む講座は聞いたことがないという。牧さんは「単独だと効果が薄いが、総合的に生活習慣に関する知識を学び、改善できれば健康寿命を効率的に延ばせる」と感じ、同僚と講座を企画した。

 講座は全6回。第1回は「認知症予防」と題して15日にあり、高齢者ら約20人が参加。同院の介護福祉士・矢頭有希子さんが認知症のリスクを下げる食生活や運動を紹介したほか、「料理は数品を同時進行で作る」「囲碁や将棋をする」など、楽しみながら認知機能を鍛えることを勧めた。

 牧さんは「噛(か)むことで脳を元気に」と題し講話。脳に刺激を与え認知症予防になる「かむ機能」が年齢とともに衰えることに加え、「現代は食材の変化や加工技術の進歩から柔らかい食事が主流の『かめない時代』」と指摘。だが「かむ機能は、ある程度回復でき、まずは一口につき30回かむことを意識し顎を鍛えて」などと訴えた。

乳幼児の舌小帯短縮症

1歳の息子。生後2カ月の時、耳鼻咽喉(いんこう)科で舌小帯(ぜつしょうたい)短縮症と診断されました。哺乳や食事に支障はないものの、成長してから発音に影響が出ないか不安です。医師からはひどい場合は手術も可能と聞きましたが、必要でしょうか。(富山県・M)

 ■答える人 宮新美智世(みやしんみちよ)さん 東京医科歯科大学准教授(小児歯科)=東京都文京区

 Q どんな病気ですか。

 A 舌の下側と口の底をつなぐ薄いひも状のものが舌小帯で、乳児期は大人に比べて厚くて短い状態です。成長に伴って舌の動きが巧みになり、舌小帯も薄くなって伸びますが、何らかの理由で短いままの状態が短縮症です。

 Q 生活への影響は。

 A かつては母乳がうまく吸えないなど哺乳障害との関係が疑われましたが、現在は否定的な見方が多いです。舌を前に出した時、舌先の真ん中がくぼんでハート形に見えるので、「ハート舌」と呼ばれることもありますが、元々先端がくぼんだ形の人もいるので、形だけでは診断しません。舌がどれぐらい動くかなど舌の機能で判断します。

 Q 発音について心配されていますが。

 A 子どもが正確な発音を身につけるのは5歳ごろです。発音に問題があり、舌小帯が原因と判断された場合は治療対象になりますが、頻度は高くありません。また5歳以降に治療を受けた上で、発音の訓練を始めても有効だという報告も複数あります。5歳まででも心配があれば言語聴覚士に相談してください。

 Q どんな治療ですか。

 A 手術で舌小帯を切って伸ばし、癒着を避けるために縫合します。周辺には傷つけたくない唾液(だえき)腺や血管が存在し、形成術や粘膜移植など全身麻酔が必要な症例もあり、低年齢ほど負担です。相談者のお子さんは1歳で、これから舌小帯が伸びる時期を迎える上、発音に問題がないことも多いので、成長を見守ってあげてください。

入院中食事詰まらせ死亡 遺族が病院機構提訴

国立病院機構盛岡病院(盛岡市)に入院していた女性=当時(69)=が死亡したのは、病院側が食事を喉に詰まらせないようにする注意義務を怠ったためとして、盛岡、滝沢両市の遺族が23日までに、病院を運営する独立行政法人国立病院機構(東京)に2200万円の損害賠償を求める訴えを盛岡地裁に起こした。

 訴えによると、女性は2014年1月22日、肺炎のため入院。同26日に病院が用意した昼食を喉に詰まらせて心肺停止状態に陥り、同2月2日、低酸素脳症で死亡したとされる。

 遺族は「アルツハイマー型認知症で早食いする癖があったにもかかわらず、病院は食事の介助や付き添いを怠った上、食材を細かく刻むなど誤嚥(ごえん)を防止する配慮をしなかった」と主張している。

 機構側は「係争中のためコメントは差し控えたい」としている。

百歳以上6万5692人 46年連続増、女性87・6% 厚労省「今後も増加」

全国の100歳以上の高齢者は過去最多の6万5692人に上ることが13日、敬老の日を前にした厚生労働省の調査で分かった。昨年より4124人多く、46年連続の増加。女性が87・6%を占めた。厚労省は「医療の進歩などが増加の大きな要因とみられ、今後も同様の傾向は続く」との見方を示している。

 住民基本台帳を基に、かつて敬老の日だった「老人の日」の15日時点で100歳以上となる人数を、各都道府県を通じ1日現在で集計した。

 男性は8167人(前年比327人増)、女性は5万7525人(同3797人増)。2016年度に100歳になった人と、なる予定の人は計3万1747人(前年度比1368人増)だった。

 国内最高齢は、鹿児島県喜界町の田島(たじま)ナビさんで、1900(明治33)年8月生まれの116歳。男性の国内最高齢は東京都大田区の吉田正光(よしだ・まさみつ)さんで、1904(明治37)年5月生まれの112歳。

 人口10万人当たりの100歳以上の高齢者数は全国が51・68人。都道府県別では島根(96・25人)が4年連続最多で、高知(87・93人)、鳥取(84・84人)が続いた。一方、最少は埼玉(30・97人)で、次いで愛知(35・05人)、千葉(38・27人)。専門家からは、地方の過疎化進行と都市部への人口流入が影響したとの見方が出ている。

 調査を始めた63年の100歳以上の高齢者は153人で、その後は増加傾向が続いている。98年に1万人を超え、07年には3万人、12年に5万人を突破し、昨年初めて6万人を超えた。日本人の平均寿命(15年)は女性87・05歳、男性80・79歳。

 これまで100歳を迎える人に首相が純銀製の「銀杯」を贈っていたが、厚労省は経費削減のため今年から銀メッキに変えた。

高齢者は「70歳以上」4割 16年版白書で厚労省調査 健康寿命を意識か

厚生労働省が実施した高齢社会に関する意識調査で「高齢者だと思う年齢」を尋ねたところ、「70歳以上」との回答が最も多く、41・1%に上ったことが5日分かった。世界保健機関(WHO)の定義では高齢者は「65歳以上」だが、今回調査への回答では20・2%にとどまった。10月公表予定の2016年版厚生労働白書に掲載される。

 高齢でも自立生活が送れる「健康寿命」は男性が71・19歳、女性は74・21歳で、厚労省は「70歳以上との回答は健康寿命に近い」とみている。調査は今年2月、全国の男女数千人を対象に実施した。

 高齢者の年齢については、ほかに「75歳以上」が16・0%、「80歳以上」は4・6%だった。一方で9・8%は「60歳以上」、8・4%が「年齢は関係ない」とした。

 高齢者の定義を巡っては、自民党の若手グループが見直しを提唱しているほか、学界にも再考すべきだとの意見がある。

 調査ではこのほか、年を取ってから生活したい場所として72・2%が「自宅」、8・7%が「高齢者用住宅に移住」を挙げた。高齢期の1人暮らしに不安を感じている人は81・7%に上った。

 16年版白書のテーマは「人口高齢化を乗り越える社会モデルを考える」。年齢にかかわらず活躍できる生涯現役社会の必要性を強調している。

介護保険利用者、過去最多605万人 15年度

2015年度に介護保険サービスを利用した人数は605万1100人で、前年度より16万8100人(2・9%)増えて過去最多を更新した。1人あたりのサービス利用額(16年4月審査分)は15万7千円で、前年同月より800円減った。厚生労働省が31日に発表した介護給付費等実態調査でわかった。

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