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薬剤性軽度認知障害に警鐘 睡眠薬や抗不安薬が原因に 中止の場合は睡眠指導も 「医療新世紀」

認知症の一歩手前とされる「軽度認知障害(MCI)」は、年齢不相応に物忘れがあるものの、日常生活には支障がない状態だ。その原因の一つにアルツハイマー病があるが、高齢者がよく使う睡眠薬や抗不安薬でもMCIになり得る。専門家は診療の場でよく見かける「薬剤性軽度認知障害」として注意喚起している。

 ▽原因はさまざま

 日本神経学会の診療ガイドラインによると、65歳以上の高齢者でMCIの割合は15~25%。政府が今年5月に公表した将来予測では、2025年に認知症は全国で471万人、MCIは564万人と推計されている。アルツハイマー病の原因とされる脳内の異常タンパク質に直接働きかけ、昨年12月に保険適用となった認知症治療薬の投与対象がMCIと軽度の認知症であることから、MCIが注目されている。

 MCIは「忘れっぽい」「言葉が出にくい」「物事の段取りがしにくい」などの症状が出るが、症状は比較的軽く、正常と認知症の間の状態という。

 診療ガイドラインによると、MCIから認知症に移行する割合は1年当たり5~15%、正常に戻る割合は16~41%とされている。

 MCIの原因はアルツハイマー病だけでない。米国精神医学会はほかに、前頭側頭葉変性症、レビー小体病、血管性疾患、脳損傷、パーキンソン病、医薬品の使用などを挙げている。

大学教員の一括会員化を準備―神奈川県歯代議員会で改定案

神奈川県歯科医師会は、県内の大学教員(歯科医師)が一括会員となる新たな会員種別の設置準備を進めている。6月27日に開催された第31回代議員会の協議において、執行部から会員種別と会費・負担金の改定案が示された。

 守屋・神奈川県歯会長は挨拶で「9月の臨時代議員会で認められれば、来年4月から神奈川歯科大学の約250人が新たに会員となる」との可能性を示唆した。詳細を説明した又吉誉章・常務理事は「鶴見大学も前向きに検討するとしており、二つの大学が入会すると約400人会員が増える」と有用性を訴えた。
【歯科通信】

軽度認知障害の冊子発売 「医療新世紀」

国立長寿医療研究センターは、軽度認知障害(MCI)の解説書「あたまとからだを元気にするMCIハンドブック」と同簡易版、日常での実践に使える別冊「生活ノート」を発売した。

 ウェブサイトで全量を公開したが、印刷物でほしいとの要望が相次いだため紙版を製作した。

 ハンドブック(860円、送料別)はMCIの症状や治療法、適切な運動や食事、機能訓練などを紹介。生活ノート(820円、同)では身体活動や栄養などの毎日の取り組みを記録できる。

AIで口腔がんを検出―スマホ活用の診断支援(東北大)

6月25日東北大学大学院歯学研究科は、スマートフォンを用いた口腔がんの診断支援をめざして株式会社NTTドコモとの共同研究でAI技術を用い、デジタルカメラの画像から口腔がんを検出できる技術を開発したと公表した。

 本研究は一般の歯科医院や患者個人において、口内炎などの口腔粘膜疾患と口腔がんの精査が必要な疾患の鑑別を行う診断補助機器の開発を前提としている。デジタルカメラにより撮影された舌の病態写真を用い、AI技術による口腔粘膜疾患診断支援を行う疾患検出モデルを構築した。口腔がん検出モデルにおいて感度93.9%、特異度は81.2%と高い診断精度で口腔がんを検出した。
【歯科通信】

金パラ告示価格 9月から1グラム3,045円に 歯科用貴金属価格の随時改定で

歯科鋳造用金銀パラジウム合金の告示価格が9月から1グラム3,045円と、現在より285円引き上げられる。17日の中医協総会で報告されたもので、歯科用貴金属9品目全ての価格が引き上げられる。

 特に「歯科鋳造用14カラット金合金インレー用」「同鉤用」「歯科用14カラット金合金鉤用線」は1,068円増となっている。なお、随時改定は、6月の診療報酬改定までは1月、4月、7月、10月に行われていたが、今後3月、6月、9月、12月に行われる。
【歯科通信】

「開業医誘致に補助金」数千万円から1億円超も

医師の地域偏在が叫ばれて久しい。地域枠や専攻医のシーリングなど、若い医師を地方へと誘うべく全国レベルでも対策は行われているが、大都市への集中傾向を押しとどめることは難しい。規制的な手法が議論されたこともあるが、自由開業制を基本とする日本の医療制度では、導入へのハードルが高い。

 医師不足に悩む地方自治体も手をこまねいているわけではない。最近、活発化しているのが補助金を出し、開業医の誘致を図る自治体だ。新規開業にかかる費用への補助金は1件で1億円を超えるケースもあり、特に不足する産婦人科や小児科に診療科を限定している自治体もある。そうした各地の動きを追った。【なお、本稿は網羅的な調査ではない。また記事中の補助金には諸条件があり、詳細は当該自治体に要確認】

北海道名寄市、10月開業の内科診療所に補助

 北海道名寄市では6月定例議会で、建設中の新たな内科診療所(10月1日開業予定)への補助金計5350万円を盛り込んだ補正予算が可決され、今後具体的な手続きが進むことになる。制度について名寄市保健センターの担当者は「2017年頃に市内で(診療所の)閉院が続いたことがあり、開業医誘致条例を制定した」と話しており、今回が第1号となる。今年度までは内科に限って募集していたが、今後は診療科を限らず市内の医療体制を勘案してその都度検討するという。

 宮城県栗原市では施設整備にかかる費用として2分の1を助成。産婦人科は上限1億5000万円、小児科は上限1億円で、他に土地取得経費2000万円も補助する破格の条件を設定している。市民生活部健康推進課の担当者は、「産婦人科は市内になく、小児科は1軒あるが市域が広いため不便さもあった」と話す。2023年に制度を利用して小児科診療所が1軒開業した。静岡県湖西市も産婦人科に2分の1、1億円を上限に補助するとともに、市有地を10年間無償で貸し付けている。

高校生ら歯科衛生士の仕事体験 三重県立公衆衛生学院で体験会 津

三重県立公衆衛生学院は7月31日、津市夢が丘一丁目の同校で体験入学会を開いた。入学を希望する高校生や保護者など約110人が訪れ、在校生から指導を受けながら歯科衛生士の仕事を体験した。

 同校によると、同校は昭和49年創立の専門学校で、現在は3年制の歯科衛生学科1学科があり、同科の卒業生全員が歯科衛生士の国家試験に合格している。体験入学会は歯科衛生士について知ってもらう目的で年1回開いている。

 この日参加した高校1―3年の女子生徒約60人は、歯の模型を使用して歯科衛生士の仕事を体験。実際に治療の現場で使われている粉を用いて歯型を取ったり、虫歯治療で空いた穴に仮の詰め物を入れたりした。

 また、患者役となって同校の3年生から虫歯検査や歯みがきの指導を受けたほか、在校生から学校生活や入試に関する話を聞いていた。

 参加した私立津田学園高3年の森蔭ゆりなさんは「歯型を取るのが難しかった。学生のみなさんが明るく優しくて、自分もこんなふうになりたい」と話した。

人工透析患者 口腔管理で脳心血管病や感染症のリスクが低下

人工透析患者は、歯科未受診の人よりもメンテナンスを受けている人の方が、脳心血管病や肺炎などの感染症発生リスクが低い。東京医科歯科大学の研究グループが、順天堂大学との共同研究で明らかにした。
 
 人工透析患者は、年間粗死亡率が高く、脳心血管病と感染症が主な死因といわれている。研究グループは人工透析患者のレセプトデータを、「歯科未受診群」「歯科治療群」「メンテナンス群」に分類。脳心血管病の発生は急性心筋梗塞、心不全、脳梗塞の発生、感染症は肺炎もしくは敗血症の発生と定義して分析した。
 
 結果、メンテナンス群では、脳心血管病の発生と感染症の発生が未受診群と比べて有意に低いと判明。特に肺炎については、メンテナンス群だけでなく、歯科治療群も未受診群と比べて有意に低いことが分かった。
【歯科通信】

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