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骨粗鬆症と歯周病

骨粗鬆症とは、骨がスカスカになり骨折しやすくなる病気で
自覚症状がありません。
閉経期以降の女性や高年齢の男性に多くみられ
長年の生活習慣が原因であることから
生活習慣病の1つと考えられています。
歯周病もまた、自覚症状がなく、生活習慣が原因の1つであり
本質的には骨の病気です。

骨粗鬆症は女性ホルモン「エストロゲン」の分泌量と関係が深く
急激に減少すると骨密度も急に低下します。
これは同じように歯を支える歯槽骨に対しても
危険因子になっていることが分かってきました。
骨粗鬆症やエストロゲン分泌低下並びにカルシウムの
摂取不足が歯周病を引き起こすわけではありませんが、
カルシウム摂取量が少ないと歯周病になりやすい
という報告がされています(米国全国健康栄養調査)。

歯周病治療を含め口腔環境を整えることにより
食事をきちんと摂ることができると
体力の向上に繋がり、運動が可能になってきます。
運動をすると骨が弱いマイナス電気を発生してカルシウムを呼び寄せたり
骨の血流が良くなり骨をつくる細胞の働きを活発にするなど
骨粗鬆症予防に効果的です。

和食では出汁を取ったり小魚を素材にした料理などはありますが、
乳製品を使った料理はあまりありません。
その上、日本の水は軟水が多くカルシウム含有率が低いため
植物も硬水で育ったものに比べカルシウムの含有率が低い傾向にあります。
更にストレスを感じると尿中にカルシウムが放出されてしまいます。
こういったことはカルシウム摂取量の低下につながり、
歯周病の危険因子の1つになりえます。
カルシウムの積極的摂取など食生活・栄養面からも
歯周病に取り組むことはとても重要になってきます。

歯科医、2029年には1万4千人過剰…合格基準引き上げも検討

歯科医師が2029年に約1万4000人過剰となるという推計を厚生労働省がまとめた。厚労省は文部科学省と連携し、歯学部定員の削減や国家試験の合格基準引き上げを検討する。

 歯科医師は14年で約10万人おり、20年間で約2万人増えた。開業する歯科医師も多く、診療所数は約6万9000で、「(5万店超の)コンビニエンスストアより多い」と指摘される。競争激化から診療所の経営が厳しさを増す中、不必要な診療が行われたり治療が長引いたりする懸念がある。

 厚労省は、将来の歯科医師の過不足を把握するため需給見通しを試算した。現行の歯科医師数や国家試験の合格者数から、将来の歯科医師数を推計。少子高齢化を踏まえた推定患者数や歯科医師が1日に診る患者数などから、必要となる歯科医師数を算定した。

 1日に診る患者数を厚労省や日本歯科医師会の調査を基に3段階で想定すると、17年は3100人不足~1万5600人過剰、29年は600~1万8100人過剰と幅が出た。厚労省の有識者検討会が、中間的な想定が精緻で妥当と結論づけたため、最終的な推計値は17年で1万1300人、29年で1万4100人過剰になるとされた。

水素水、効能表示の改善要望 国民生活センター

水素が高濃度に含まれているなどとして販売されている「水素水」やその生成器の一部商品について、国民生活センターは15日、商品パッケージや広告で健康効果をうたうものがあり、健康増進法や景品表示法などに抵触する恐れがあるとして、業者に文言の改善を要望したと発表した。

 同センターは、特に多く流通している水素水10商品と生成器9商品について、パッケージの表示やホームページの商品説明、パンフレットなどを調査。「悪玉活性酸素を無害化する」など、体に効能があると受け取れる表現が計12商品に見つかったという。

 これまで水素水で、効能を表示できる特定保健用食品(トクホ)や機能性表示食品として許可、届け出されたものはない。

包括ケア推進へビジョン案答申 介護、認知症対策盛る 協議会、市長に

2017年から10年間の高齢者施策の方向性を示す「福井市地域包括ケアビジョン」案が15日、東村新一市長に答申された。人生の最期まで住み慣れた地域で暮らせるよう、在宅医療や介護サービスの充実、認知症の本人や家族への支援、進行抑制などの体制づくりを盛り込んだ。ビジョンの策定は同市で初めて。

 国は、医療や介護、生活支援などが一体的に提供できる「地域包括ケアシステム」の構築を推進している。同市では25年の構築を目指していて、ビジョンはケアシステムの目指すべき姿を示している。学識経験者や関係団体など19人でつくる地域包括ケア推進協議会が昨年6月から、検討を重ねてきた。

 ケアシステムの推進に当たり介護保険法では、医療、介護、介護予防、住まい、生活支援の5分野での施策を求めている。同市のケアビジョンはこの5分野に加え「認知症の人を支える体制の構築」を加えたのが特徴。若年性を含む認知症への理解促進や、発症予防、進行抑制のための体制整備などに取り組む。

 この日は市役所で、同協議会委員長の奥西栄介・県立大看護福祉学部教授がビジョン案を東村市長に手渡した。奥西教授は「地域包括ケアのコンセプトを市民にいかに理解してもらうかがポイント」と指摘した。

 市は年内にケアビジョンを策定する。具体的な施策は、3年ごとに策定する老人保健福祉計画と介護保険事業計画を併せた「オアシスプラン」に盛り込む

高齢者負担、圧縮で決着 医療・介護で政府、与党 8月から大企業保険料増

政府、与党は15日、来年度からの負担増を盛り込んだ医療・介護保険制度の見直しを決めた。焦点になっていた70歳以上の中間所得層が支払う外来医療費の限度額は、月額で2千円引き上げ、1万4千円にすることで決着。75歳以上の医療保険料も一部アップするが、いずれも当初の案から上げ幅を圧縮した。

 介護保険では、大企業社員の保険料負担が増える「総報酬割」という仕組みを来年8月から導入する。まずは負担額の2分の1が対象となる。

 これらの見直しにより、来年度予算で社会保障費の自然増を1400億円抑える政府目標は達成できる見通しとなった。

 患者が支払う医療費は、負担が重くなり過ぎないように「高額療養費制度」で限度額を設定している。年収370万円未満で住民税を課税されている70歳以上の人(約1243万人)は現在、外来で月1万2千円だが、2017年8月に1万4千円に引き上げる。厚生労働省は当初、2万4600円にする方針だったが、公明党の反発が強く、小幅増にとどめた。18年8月には1万8千円にする。

 また持病などで恒常的に外来医療費が多くかかる人への配慮として、年間の限度額を新たに設け、14万4千円(1万2千円の12カ月分)とする。

 高所得者も限度額を引き上げる一方、住民税非課税の低所得者は現在のまま据え置く。

 75歳以上の後期高齢者医療では、74歳まで夫や子らに扶養されていた人や比較的所得の低い人を対象に、17年4月以降、段階的に保険料を引き上げる。

 現役世代では、40~64歳が支払う介護保険料を収入に応じた「総報酬割」で計算する。17年8月から健康保険組合などが負担する金額の2分の1に反映させ、19年度に4分の3へ拡大、20年度に全面実施する。

 大企業の社員や公務員ら1272万人は負担が増えるが、中小企業を中心に1653万人は負担軽減につながる。

保険料軽減、一部は存続 75歳以上、17年度

政府、与党の医療保険制度見直しでは、75歳以上で扶養家族だった人や比較的所得が低い人の保険料を段階的に引き上げる一方、保険料を安くしている特例は2017年度も一部存続することになった。

 75歳以上が加入する後期高齢者医療の保険料は、定額部分と所得に応じた部分の合計。会社員や公務員の扶養家族だった人は、定額部分を特例で9割軽減している。厚生労働省は軽減幅を17年4月に5割に縮小する考えだったが、7割にとどめる。定額部分は現在の月380円から、7割軽減で1130円になる。

 定額部分の特例は19年度にかけて段階的に廃止するが、所得に応じた部分の保険料を徴収していない特例は当面、存続させる方針。

 低所得の人は、所得に応じた部分の軽減幅を見直す。年収153万~211万円では、現在の5割軽減を17年4月に2割軽減にし、18年4月からは全額徴収する。年収211万円の場合、保険料の総額は、現在の月4090円から18年度には6290円に増える。

アレルギー、食道や胃腸にも のどの詰まりや胸焼け、国内でも症例

食べ物や花粉によって食道や胃腸に炎症が起き、のどの詰まりや胸焼けにつながる「消化管アレルギー」の患者が、国内でも見つかるようになってきた。ステロイドによる治療や、アレルギーの原因となる食材を取り除いた食事療法が試みられている。

 ■ステロイド治療、有効

 島根県に住む50代の男性は昨春から胸焼けがするようになった。近くの診療所で処方された胃薬では改善せず、半年後にはのどの詰まりも気になり始めた。

 島根大病院(島根県出雲市)で、内視鏡検査や組織を調べた結果などから、「好酸球性食道炎」と診断された。口に入った食物や微生物によるアレルギー反応で、好酸球という白血球が食道の粘膜などで増えることで起きる。胸焼けや胸痛、うまく食べ物をのみ込めないなどの症状が出る。重症化すると、食道が狭まって食べ物が詰まるなどすることもある。

 プロトンポンプ阻害薬(PPI)という胃酸の分泌を抑える薬を2カ月飲んだが、効果はなかった。ぜんそくの治療で気道の炎症を抑える吸入ステロイド薬に切り替えると、1カ月ほどで収まった。男性は「つかえた感じがなくなった。調子が良い」と喜ぶ。

 好酸球性食道炎の患者は30~50代の男性に多く、半数はぜんそくや花粉症などアレルギーの治療歴がある。食物が原因で急激に生じるアナフィラキシーとは異なり、時間をかけて炎症が起きて症状が出てくるとみられている。

 島根大の木下芳一教授(消化器内科)によると、この食道炎は1990年ごろから欧米で患者が増え始め、日本では2006年に初めて確認された。島根県内の医療機関で内視鏡検査を受けた2万人を調べると、この食道炎がある人の割合は、10年には5千人に1人だった。別の調査では14年に約2500人に2人と報告されている。

 治療は、まずPPIを使って効果をみる。この薬で患者のほぼ半数が改善する。PPIが効かない場合、ステロイドを使った治療法が有効だとわかってきた。吸入ステロイドは患部の周辺にとどまり、その後分解されるため、副作用の影響が少ないという。

 消化管アレルギーは、食道炎だけでなく、胃や小腸で起きる胃腸炎もある。胃腸炎は腹痛や下痢などがあり、乳幼児から高齢者まで幅広い年齢で発症する。吸入ステロイドでは患部に届かないため、全身に効くステロイドを治療に使う。

 ■何が原因?順番に食べ特定

 消化管アレルギーは、原因となる食品を特定して取り除けば、根治できる可能性が高い。ステロイド治療は、使い続けると骨粗鬆症(こつそしょうしょう)やうつ病の副作用が出る恐れがあり、薬を減らすと再び症状が出ることもある。

 血液検査では原因物質を特定できないことが多いため、実際の食事で調べる。まず、アレルギーを起こしやすい6種類の食品(小麦、大豆、ミルク、ナッツ、卵、海産物)を除いた食事をとる。それで症状がなくなれば、除去した食品から1種類だけを加え、再発しないか2週間ほど経過を見守る。アレルギーの症状が出なければ、1種類ずつ試していき、症状が出る食品が見つかるまで切り替えていく。ただ、複数の食品が原因の場合もある。

 欧米で患者が多い食道炎では、この食事療法の効果が確認されている。米国の研究グループは2012年、患者50人のうち78%で、上昇していた好酸球の値が50%以上減少し、94%で嚥下(えんげ)障害が軽くなったと報告している。国立成育医療研究センター研究所免疫アレルギー・感染研究部の野村伊知郎室長によると、胃腸炎では有効性を確かめている段階という。

 治療を受けられる病院も限られる。原因となる食品の特定には入院が必要で、厳密な食事管理や、栄養士らとの連携が求められる。国内では現在、島根大病院と国立成育医療研究センターにとどまるという。

 野村さんが代表を務める厚労省研究班は、班員らにノウハウを伝え、食事療法を受けられる拠点となる医療機関を各地方で1カ所程度に増やすことを目指している。

高齢者、薬の飲み過ぎ防げ 生活習慣見直し、併用減

病気をいくつも持つ高齢者には、さまざまな種類の薬が処方される。臓器などの働きが低下した高齢者が、多くの薬を一緒に飲むと、意識障害や低血糖など「薬物有害事象」と呼ばれるトラブルを起こしやすい。今年1月には日本老年薬学会が発足し、医療関係者の間で高齢者の多剤併用を見直す取り組みが広がっている。【堀井恵里子】

 ◇意識障害や低血糖招く

 「お父さん、お国はどこ?」。先月14日、在宅療養支援診療所「たかせクリニック」(東京都大田区)の高瀬義昌医師が、区内の男性(83)宅を初めて訪ねた。雑談しながら、処方薬をチェックする。ぜんそくや骨粗しょう症などの薬が10種類、1日3回飲むものもある。高瀬医師は「薬をちょっと調整した方がいいね。1日1回ぐらいに変えていきたいね」と話しかけ、男性の反応を確かめた。

 高齢者は臓器の機能低下に伴い、代謝や排せつといった生理機能も落ちる。肝臓や腎臓の機能が低下すると薬が代謝、排せつされにくくなり、血液中の薬物の濃度が上がる。つまり、若い世代と同じ量を飲むと「飲み過ぎ」のような状態になる。種類も優先順位を付けて必要性を見直すことや、食事や運動など生活習慣の見直しで減らすことができる。

 昨年度、厚生労働省の中央社会保険医療協議会(中医協)でも議論された。同省の資料によると、75歳以上の患者で10~14種類の薬を処方されたのは20・2%、15種類以上も7・1%に上った。「薬を6種類以上飲む高齢者は薬物有害事象が多い」「有害事象には意識障害、低血糖、肝機能障害が多い」などの研究結果もある。

 高瀬医師は約380人の訪問診療をしており、新しい患者では本人の同意を得ながら薬を見直す。この日の男性は、飲み薬から吸入薬への切り替えもして「2~3カ月で6種類ぐらいに減らせるだろう」と考える。1日に飲む回数も減らしていく。また、予防接種を勧めたり、介護サービスの利用状況を確認したりして、重症化の予防にも気を配る。

 複数の病気を持ち、複数の医療機関にかかると、高齢者が抱える問題の全体像も見えにくくなる。そこで処方状況などをチェックする薬剤師の役割が重要だ。

 日本老年薬学会は、高齢者の病気や体の状況を理解し、薬を減らすことを含めた処方の見直しや服薬支援を担う「認定薬剤師制度」を作った。来年秋には200~300人が最初の認定を受ける見込みだ。

 同学会理事を務める大井一弥・鈴鹿医療科学大教授(病態・治療学)は「高齢者が要介護状態になる原因の4分の1が骨折、転倒、衰弱だ。それらの背景には、薬で便秘や食欲不振になって外出しないことによる筋力低下など、多剤併用もあると考えられる。そのような要介護者を増やさないことを目指していきたい」と話す。

 ◇院内、チームで対応

 病院でも、薬を減らす取り組みが始まった。国立長寿医療研究センター(愛知県大府市)は9月、「ポリファーマシー(多剤併用)削減チーム」を作った。医師、薬剤師、看護師のほか栄養士、リハビリにかかわる言語聴覚士といった多職種のメンバーだ。5種類以上を服薬し、同じ薬効の薬の重複投与が2種類以上ある入院患者を対象に、週1回検討する。栄養士は「食物繊維を取ることで下剤を減らせないか」、言語聴覚士は「薬ののみ込みはどうか」などを提案する。

 8月末、脳梗塞(こうそく)の治療後、リハビリのため転院してきた80代の女性は、14種類の薬を1日9回に分けて服薬していた。腎機能の低下が進んでいたため利尿薬を中止し、認知症と判断されていた症状は脳梗塞によるものと分かったため認知症薬をやめた。約3週間で6種類、1日2回まで減らし、多剤併用が原因とみられる抑うつなどの症状も治まったという。入院中は経過観察を続け、この女性は11月上旬に順調に退院した。逆に、血圧の維持ができず、薬を元に戻した例もある。

 退院後は地域の薬局と連携する。近くの薬局向けの説明会を開くほか、どのような理由でどんな薬を減らしたのかという記録を「お薬手帳」に貼り、薬局に引き継いでいる。

 チームの溝神文博薬剤師は「胃の調子が悪いと『薬がほしい』と思う患者もいる。このため、患者にも多剤併用の問題点や薬を減らした理由を説明することが必要だ」と指摘する。

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