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高齢者の虚弱 口周りに注意

 ちょっとした滑舌の悪さや食べこぼし、飲み物にむせるといった口周りのトラブルは、高齢者の体が弱っていく最も早いサイン。日本歯科医師会は、そうした不調をまとめて「オーラル・フレイル(口腔機能の低下)」と呼んで、早い段階での対処を、虚弱を予防するための国民運動にしようと提唱している。65歳以上の高齢者1900人余りで口腔や全身の健康状態、食生活、生活の質など224項目を3年にわたって調査。すると「歯の本数」や「食べこぼし、むせ」「かむ力」「食事の量」など多くの項目が、全身の筋肉量や筋力の低下、運動機能の低下などと強く関連していた。どうやって不調に気づき、対応をしたらいいのか。東京都健康長寿医療センター専門副部長で歯科医の平野浩彦さんは「硬い食べ物が食べにくい」「液体でむせる」「口が渇く」の三つの兆候を挙げ、「体の筋肉と同じ。食べる力も意識して使わないと衰える」と自助努力の必要性を指摘。食欲の低下を経て、栄養状態の悪化を生む。
 自分がしっかり食べ物をかめているのか、簡単に分かる方法がある。口の動きを測る簡単なテストもある。「パパパパ・・・」「タタタタ・・・」「カカカカ・・・」。パ、タ、カの3音を短時間でどれだけ細かく発音できるか。医学的にも確立した試験で、唇や舌の機能を示す。特に「カ」は舌の根元を使うため、飲み込む力と密接な関係があるという。
                     北海道新聞 2015.9.29

歯と口の健康アラカルト 一日に歯磨き何回しますか?

みなさんは1日に何回歯を磨くでしょう? 2回、3回? 1日24時間のうちの大切な時間を使っているのですから、効果のあるものにしたいと誰もが思うはずです。

 では歯磨きをする理由はなんでしょうか?細かくあげるとたくさんありますが、大きく二つあげられます。一つは虫歯を予防するため、二つ目は歯周病の予防と治療です。

 虫歯の原因は、歯の表面に付着している歯垢(しこう)(プラーク)にたくさん棲(す)みついている細菌が、糖分を分解してできる酸です。したがって、歯磨きをすることにより虫歯の原因となる細菌の塊である歯垢を取り除き、虫歯になる危険性をより少なくできると考えられます。

 歯周病の原因も歯垢中の細菌が主なものです。その細菌が産生する毒素などが骨(歯槽骨)を破壊し、ついには歯を失ってしまいます。歯磨きにより、口の中の細菌の数を減らし環境を改善することが、歯周病を予防あるいは治療するうえで最も大切です。

 さて、では1日に何回歯を磨けばよいのでしょうか? 先にお話したように、口の中の細菌の数を減らすことと、糖分などに細菌が接する時間を短くすることが重要なので、可能であれば食事の後あまり長時間放置せずに歯を磨くことができればよいのではないでしょうか。つまり、歯磨きの回数は食事の回数プラスαが理想的になります。このプラスαに必ず加えていただきたいのが、就寝前の歯磨きです。就寝中に口の中の細菌は最も増殖しやすいため、就寝前に細菌を減らすために歯磨きをすることは、もっとも大切な歯磨きとなります。少し疲れていても、ちょっと気分の悪い時でも、そのまま寝てしまわずにきっちり歯磨きしてから寝てください。

 歯磨きのポイントを、今回は回数(タイミング)に絞ってお話ししましたが、歯磨きを「している」のと「できている」のとでは全く話は違います。是非、自分にあった効果的なブラッシングが「できる」ようにかかりつけの歯科医院で指導を受けてみてください。(府歯科医師会学術部)

【兵庫】「やぶ医者大賞」の2氏が講演 養父市で11月

兵庫県養父市がへき地医療に奮闘する医師を表彰する「第2回やぶ医者大賞」に選ばれた女性2人による「へき地医療を考えるシンポジウム」が11月28日午後1時半から、養父市大屋町山路のおおやホールで開かれる。

 講師は香川県綾川町、国民健康保険綾上診療所長の十枝(とえだ)めぐみさん(50)と島根県西ノ島町、国民健康保険浦郷診療所長の白石裕子さん(47)。

 十枝さんは地域の保健師や栄養士らと密に連携し、地域全体で高齢者を支える「地域包括ケアシステム」の取り組みを進める。小児の肥満予防のための活動にも力を入れる。

 白石さんが勤務する隠岐諸島の西ノ島町は西ノ島1島からなり、町内すべての保育園医と小中学校医を引き受ける。島などで3医院を兼務し、乳児検診や母子保健事業、発達障害の子どもたちのサポートに取り組む。

 当日はシンポジウムに先立って表彰式があり、2人にそれぞれ奨励金50万円が贈られる。2人は順に講演した後、審査員を務めた県内外の医師らとのパネル討議に臨む。入場無料。同市保険医療課TEL079・662・3165

(竹本拓也)

旭川地区在宅ケアを育む会講演

 内容 口腔ケア、在宅訪問歯科
 日時 10月21日(水) 午後7時~8時30分
 場所 CoCoDe(宮前1の3)
 定員 60人
 申込 薮下 ℡0166-36-5455

リハビリ「やる気が重要」 生理学研、サル実験で確認

やる気や意欲をつかさどる脳の領域が働かないとリハビリの効果も下がることを、生理学研究所(愛知県岡崎市)などのチームがサルの実験で確かめた。リハビリ効果を高めるには、意欲を持って取り組むのが重要だと裏付けられた形だ。

 注目したのは、やる気をつかさどる脳の「側坐核(そくざかく)」という領域。健康なサルを使った実験では、ここの活動を薬で止めても好物のイモを指でつまむことができた。ところが、脊髄(せきずい)損傷から回復途上のサルで側坐核の活動を止めると、治り始めていた手のまひが出てイモをつまめなくなった。脳を調べると、運動をつかさどる別の領域の活動が低くなっていた。

 これまで、側坐核の働きは運動の領域とは無関係と考えられてきた。今回、けがからの回復といった非常時には、一定のつながりがあると推測されたという。

 チームの西村幸男准教授は「もうひとがんばりしなければ運動できないような時に、側坐核の活動が必要になるのではないか。患者さんがリハビリをする時には、やる気を支える心のサポートが大切」と話す。研究成果は米科学誌サイエンスで2日、発表した。

敬老の日②

さて、スマートフォンよりもさらに新しいコンピュータとして近年注目を集
めているウェアラブル端末に、高齢者向けの機能の研究開発の強化が進んでいま
す。
 東芝が今秋発売を予定しているリストバンド型生体センサー「Silmee W20/W21」
は、活動量や睡眠、脈拍、会話量、紫外線量などを測定、記録、管理できる他、
緊急時に本体のボタンを長押しすると登録先に緊急通知するなど、高齢者等を
想定した見守り機能を充実させています。
 また、東レとNTTが共同開発している「hitoe」は心拍数・心電波形などの
生体情報を取得できる機能素材を衣服に縫いこんだ文字通りの「着られる」端末
で、高齢者が機器を持ち運ばなくても見守りができるシステムとして実用化が期
待されています。スポーツ分野では既に商品化されており、医療分野の他、屋外
で作業する空港作業員の安全管理の実験も始められています。

 9月24日、安倍晋三首相は自民党本部で記者会見し、「強い経済、子育て支援、
社会保障」を「新3本の矢」と位置づけると説明しました。第3の矢の「安心に
つながる社会保障」のうちの、「高齢者の生涯現役社会の構築」については、就
業者数が毎年増えていることからもある程度は実現できるにしても、「介護離職
ゼロを目指して介護施設の整備や介護人材の育成を進め、在宅介護の負担を軽減
する。仕事と介護が両立できる」については問題が山積しています。ウェアラブ
ル技術の発達が、高齢者および家族、介護従事者の幸福につながることを期待し
ます。

敬老の日

総務省が敬老の日に合わせてまとめた9月15日時点の人口推計によると、65歳
以上の高齢者人口は前年比89万人増の3,384万人で、総人口に占める割合は0.8ポ
イント上昇の26.7%となり、人口、割合ともに過去最高を更新しました。また、
80歳以上の人口は前年比38万人増の1,002万人となり、初めて1,000万人を超えま
した。
 この他、
・日本の高齢者の人口の割合は主要国で最高で26.7%。次いで、イタリア(22.4
%)、ドイツ(21.2%)など。
・日本の高齢者の就業者数は11年連続で増加し、681万人と過去最多。就業率は
主要国で最高で20.8%。次いで、アメリカ(17.7%)、カナダ(12.9%)など。
・高齢者世帯のネットショッピングの利用割合は12.0%で12年前の5.7倍。電子
マネーの利用割合は29.4%で6年前の2.5倍。
・高齢者世帯の携帯電話(PHSを含む、スマートフォンを除く)の普及率は85.9%
で世帯主が65歳未満の世帯よりも21.3ポイント高い。一方、スマートフォンの普
及率は25.6%で世帯主が65歳未満の世帯よりも51.4ポイント低い。
のような調査結果が発表されました。
 ネットショッピング、電子マネーの利用割合は増えているとはいえ、スマート
フォンの普及率と同様、多くはないことがうかがえます。

「女性が輝く社会に向けた国際シンポジウム」

安倍晋三首相は8月に開催された「女性が輝く社会に向けた国際シンポジウム」
で、女性の経済的な自立を支援するため女子教育に2018年までの3年間で420
億円以上の政府開発援助(ODA)を拠出する方針を表明し、「女性も男性も
暮らしやすい社会を世界につくるため努力を惜しまない」と強調しました。
 また、同月に参院本会議で可決し成立した「女性活躍推進法」は、企業に女
性の登用を促すためのもので、女性の採用比率や管理職の割合など数値目標の
設定と公表を義務付け、2016年4月から制度を開始します。
 政府は指導的地位に占める女性の割合を2020年までに30%にする目標を掲げ
ていますが、民間企業の管理職に占める女性の割合は2013年時点で11%にとど
まっており、40%を超す米国や30~40%の欧州各国のほかアジア諸国と比べて
低い水準にあるのが現状です。
 一方、歯科界に目を向けると、2012年の厚生労働省のデータでは、歯科医師
数総数の男女比が78.5:21.5であるのに対し、若くなるほど女性の割合が増え、
29歳以下だと57.9:42.1になっています。女性の活躍が進んでいる職種と言え
るのではないでしょうか。

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