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抗菌治療の肺炎患者、死亡リスク因子同定- 予後改善に向けた治療開発の可能性も

名古屋大は、同大大学院医学系研究科の長谷川好規教授(呼吸器内科学分野)らの研究グループが、適切に初期抗菌薬が投与されていても予後不良となる患者のリスク因子を明らかにしたと発表した。肺炎発症前の自力歩行困難といったリスク因子を挙げており、研究グループは「予後改善に向けた治療開発につながる」と期待している。

歯科治療の女児死亡で和解 さいたま地裁

埼玉県新座市の歯科医院)で2010年、当時2歳の女児が治療中に脱脂綿を喉に詰まらせ死亡したとして、女児の両親が元院長(42)と同院を経営していた医療法人に計約7800万円の損害賠償を求めた訴訟は3日までに、さいたま地裁(高野輝久(たかの・てるひさ)裁判長)で和解した。

 和解は2日付。原告側代理人への取材で分かったが、内容は明らかにしていない。

 訴状によると、女児は10年6月、上前歯を負傷して同院を受診。元院長が上唇と歯茎の間に円筒状の脱脂綿(直径約0・8センチ、長さ約2・5センチ)2個を挿入、うち1個を誤って女児の口の奥に落として気道をふさぎ、女児は搬送先の病院で死亡したとしていた。

 元院長は、業務上過失致死罪に問われ、さいたま地裁で昨年10月に罰金80万円の判決を言い渡され確定している。

誤った薬飲まされ女性死亡 埼玉県熊谷市の特養、過去の事故も県に報告せず

熊谷市平戸の特別養護老人ホームで昨年12月、入所者の女性=当時(88)=が誤って渡された別の入所者の薬を服用後に嘔吐(おうと)し、誤嚥(ごえん)性肺炎で死亡していたことが4日、県などへの取材で分かった。県は同施設に再発防止と改善を指導。県警は業務上過失致死の疑いもあるとみて調べている。また、この事故を含む昨年発生した8件の事故について、施設が県への報告義務を怠っていたことも判明した。

 同施設や県によると、女性は入所翌日の昨年12月19日、朝食時に別の入所者が服用しているパーキンソン病治療薬を飲み、約1時間半後に嘔吐。病院に搬送され、3日後の22日に死亡した。診断の結果、薬の副作用で嘔吐した可能性が高いという。

 薬はケースに入れられ、朝食のお膳に乗せて女性に渡し、ホームヘルパー2級の資格を持つ男性職員(48)が飲ませた。別の入所者の名前を呼んだ時、女性が「はい」と応答したため、誤配してしまったという。女性は認知症を患い意思決定ができない状態で、高血圧のため血圧降下剤などを服用する予定だった。男性職員は事故後、体調不良などを訴え退職した。

 事故原因について、施設長は「職員の認識不足。利用者の方の顔と名前が把握できていなかった」と説明。チェック体制にも不備があった点を認め、謝罪した。施設は再発防止に向けて服薬に関するマニュアルを見直し、本人確認の徹底や職員の増配などの措置を講じているという。

 県が事故を把握したのは女性が死亡して1カ月後の今年1月16日で、女性の遺族からの通報が発端だった。県は同28日、施設の立ち入り調査を実施し、2月26日に文書で改善を指導。ほかにも過去1年で誤嚥事故など7件の事故が未報告だったことが発覚し、管理責任者の処分を求めた。

 

母乳育児が歯の健康に有益

乳児を母乳で育てると、後に噛み合わせ異常が起きる可能性が低減するという。オーストラリア、アデレード大学のKaren Peres氏らの研究で示され、論文が「Pediatrics」オンライン版に6月15日掲載された。

 Peres氏らは小児1,300人超を5年間追跡し、生後3カ月時、1歳時、2歳時の母乳育児の状況を調べた。また、生後3カ月、1歳時、2歳時、4歳時でのおしゃぶりの使用頻度も尋ねた。小児の約40%は4年間、日常的におしゃぶりを使用していた。

 5歳時点で、小児らに開咬、交叉咬合、過蓋咬合、中等度~重度の噛み合わせ異常など、歯や顎の位置異常がみられるかを調べた。

 過蓋咬合のリスクは、生後3~6カ月に母乳のみで育てられた小児ではそうでない小児に比べて3分の1低く、6カ月以上の母乳歴がある場合は44%低くなっていた。同様に、中等度~重度の噛み合わせ異常のリスクも、それぞれ41%、72%低くなった。

 開咬、過蓋咬合、中等度~重度の噛み合わせ異常は一般に、ほとんどまたは完全に母乳で育った小児で少なかった。ただし、ほとんど母乳育児の児でも、おしゃぶりを使うと噛み合わせ異常の可能性がやや高かった。

 今回の研究は母乳育児と歯の健康の因果関係を証明したものではないが、「母乳育児は、口腔の筋発達や鼻呼吸を助ける。また、不正咬合の危険因子と考えられているおしゃぶりの使用率も低くなる」とPeres氏は話している。

豪の歯科、衛生管理不十分 患者にエイズ検査呼び掛け

【シドニー共同】オーストラリア東部のニューサウスウェールズ州政府は2日、シドニーの4カ所の歯科医院で衛生管理が不十分だったとして、治療を受けた約1万2千人に対し、HIV(エイズウイルス)や肝炎に感染していないかどうか検査を受けるよう呼び掛けた。

 州政府は、医院の器具の消毒などが不十分で衛生管理に規則違反があったと判断。同日までに歯科医師6人を停職処分とし調査を続けている。患者の苦情で発覚した。

 州政府は「実際に感染が確認された事例はなく、可能性は低い」としつつ「B型、C型肝炎やエイズに感染した潜在的な危険がある」と指摘した。

睡眠時間5時間未満、交代制勤務…メタボになる7習慣

食事や運動だけでなく、睡眠、休養の悪い生活習慣が重なるほど、メタボリックシンドロームなどの発症リスクが高くなることが、大分大の井谷修准教授らの研究でわかった。宇都宮市で開かれている日本睡眠学会で3日午後に発表する。
 井谷准教授らは、地方公共団体に勤める男性(18~65歳、約3万9000人)の1999~2006年の健康診断と問診のデータを解析。生活習慣と病気などとの関連を調べた。
 その結果、〈1〉睡眠時間が5時間未満〈2〉交代制勤務をしている〈3〉休日が取れない〈4〉いつもおなかいっぱい食べる〈5〉あまり歩かない〈6〉アルコールを1日日本酒3合以上飲む〈7〉たばこを吸う――の七つの危険な生活習慣があると肥満や高血圧、メタボを発症しやすくなることがわかった。
 メタボでなかった人が7年間でメタボを発症するリスクは、危険な生活習慣が重なるほど高くなり、0~1個の人に比べ、2~3個は1・22倍、4~5個は1・42倍、6個以上では2・04倍になった。
 井谷准教授は「運動だけでなく、きちんと睡眠や休みを取ることが生活習慣病の予防になる。交代制勤務の人は特に気をつけてほしい」と話している。

自殺の男、年金に不満 ガソリン携行缶押収 巻き添え女性は窒息死

神奈川県小田原市を走行中の東海道新幹線で起きた放火事件で、自殺した東京都杉並区の職業不詳林崎春生(はやしざき・はるお)容疑者(71)が年金の受給額に不満を漏らし、「生活できない。年金事務所で首でもつろうか」と、周囲に話していたことが1日、知人の女性への取材で分かった。6月中旬には顔見知りの区議に生活苦の相談もしていた。

 神奈川県警は1日、殺人と現住建造物等放火の疑いで林崎容疑者宅を家宅捜索。ガソリン運搬などに使われる金属製の20リットル入り携行缶1個を押収した。事件にガソリンを使った可能性が高いとみており、携行缶の購入先を調べ、ポリタンクに入れて車内に持ち込んだ液体の鑑定を進める。

 県警の1日の司法解剖で、林崎容疑者の死因は焼死、巻き添えで死亡した横浜市青葉区の整体師桑原佳子(くわはら・よしこ)さん(52)は気道熱傷による窒息死と分かった。林崎容疑者のポケットからは、自由席の乗車券や携帯電話が見つかり、リュック内の手帳には年金相談先の電話番号を手書きで記した紙片が挟まっていた。

 知人の女性によると、林崎容疑者は2カ月ごとに受け取る年金の額について「35年間払っているのに24万円しかもらえない。税金や光熱費を引くとほとんど残らない」とこぼし、事件前日の6月29日には、ポリタンクを持って「ガソリンスタンドに行く」とも語っていた。「暑いのにどうして(燃料が)必要なのか」と聞いたが、明確な返答はなかったという。

 県警によると、事件現場の1号車の車内カメラには、林崎容疑者が持っていたリュックサックからポリタンクを取り出し、中の液体を体にかける様子が写っていた。前日には自宅近くのガソリンスタンドの店員がポリタンクでの販売を断っていたことも判明した。

 林崎容疑者がその後、何らかの手段でガソリンを購入し、ポリタンクで車内に持ち込んだとみて、県警は事件に至る経緯を詳しく調べる。

 事件は6月30日午前11時半ごろ、新大阪行きの新幹線車内で発生。県警によると、カメラ映像から林崎容疑者が始発の東京駅から乗り込んでいたことも1日分かった。消防によると1号車は前方の天井パネルが数メートルにわたって剥がれ落ち、周囲が真っ黒になっていた。

生活「苦しい」、過去最高62.4%=平均所得は1.5%減―厚労省調査

2013年の1世帯当たりの平均所得が前年比1.5%減(8万3000円減)の528万9000円となったことが2日、厚生労働省の国民生活基礎調査で分かった。生活が「苦しい」と感じている世帯の割合は14年7月時点で過去最高の62.4%に上り、同省は、同年4月に消費税率を8%に引き上げたことなどが影響していると分析している。
 1世帯当たりの平均所得はここ10年で最も低く、データが残る1985年以降では4番目の低さ。非正規雇用の増加などが背景にあるとみられる。
 世帯種類別の平均所得は、65歳以上の人のみか、65歳以上と18歳未満で暮らす「高齢者世帯」は2.8%減の300万5000円。18歳未満の子供のいるすべての世帯で見た場合は3.4%増の696万3000円だった。
 生活意識は、「大変苦しい」が29.7%、「やや苦しい」が32.7%。両者の合計が「苦しい」で、今回までの最高は11年7月時点の61.5%。一方「普通」は34.0%で、「ややゆとりがある」3.2%、「大変ゆとりがある」0.4%だった。 

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