記事一覧

医療ケア児 災害に備え サークルが避難訓練 甲府市

 人工呼吸やたんの吸引など医療的ケアが必要な子どもや重症心身障害児とその家族を対象とした「インクルーシブ防災避難訓練」が1日、甲府市下飯田2丁目の甲府支援学校で開かれた。医師や看護師、理学療法士らとともに、体験やクイズを通じて災害時の行動や備えを考えた。

 県内の療育に特化した親子遊びサークル「なーさんのひきだし」が、医療従事者の立ち会いの下で避難所体験を行い、個別の避難計画を考えてもらおうと初めて企画した。家族約10組が参加した。参加者は非常用持ち出し袋や携帯用の医療機器を持参し、足踏みポンプを使った吸引や非常食の試食を体験。小児科医や防災の専門家が講演と○×クイズを行い、避難先の決め方や予備電源を使う際の注意点などを確認した。

 災害時は医療機器に必要な電源が確保できる保証がなく、防災頭巾をかぶったり靴を履いたりするのが難しい子もいる。参加した甲府市の女性(38)は「食事のときに使っているミキサーも電源なしには動かせない。備蓄する非常食を本人が食べられるかどうか、事前に確認しておきたい」と話した。

 サークル代表を務める看護師の永井由香さん(47)=甲府市=は「慣れない環境で子どもが安心して過ごすためには何が必要か、事前のシミュレーションが大切。体験を通じて、自宅待機ができるか、どんな備蓄をすべきか、考えるきっかけにしてほしい」と話している。

厚生労働省イベントで日歯 子どもに歯科の魅力発信

日本歯科医師会は夏休みに子どもたちに歯医者の仕事や魅力などを知ってもらうコーナーを厚生労働省内に設けた。各省庁を紹介する「こども霞が関見学デー」のなかで行われ、多くの子どもたちが日歯ブースに集まった。

 参加者からは「思ったより楽しかった」「歯医者さんのお仕事に触れられてよかった」「実際に参加してみて、普段やれないことばかりで子供も大人も楽しめた」と和気あいあいとした雰囲気で行われた。
【歯科通信】

日歯 次年度制度・予算で要望 厚生労働省や内閣府など訪問

日本歯科医師会(高橋英登 会長)は、7月31日と8月1日、令和7年度制度・予算要望のため、厚労省、文科省、経産相、こども家庭庁、内閣府それぞれを訪れ、要望書を手渡した。

 厚生労働省関係では、国民皆歯科健診の実行化に向けた環境整備や、歯科医療提供体制の確保・整備、受給問題への対応などを求めている。

 文部科学省関係では、学校教育下での歯科保健教育の充実、学校歯科健診情報のPHRの推進、スポーツマウスガードの普及、経済産業省関係では、健康経営の視点での歯科口腔保健活動の推進などを要望。こども家庭庁関係では、妊娠期から子育て期における歯科の体制整備、内閣府関係では、大規模災害等に備えた巡回診療車やポータブル医療機器等の整備支援、物価高騰への対応を求めている。
【歯科通信】


医療広告ガイドラインに「矯正」「保存」が追加

医療広告ガイドラインに広告可能な歯科医師の専門性資格に「矯正歯科」および「歯科保存」を追記する見直し(改正)案が22日に開かれた厚生労働省の第4回医療機能情報提供制度・医療広告等に関する分科会で了承された。日時は明らかにされていないが、事務手続きが終わりしだいの改正となる。

 医療広告規制では、日本専門医機構か日本歯科専門医機構が認定する専門性について広告のできる事項に追加するとされており、6月20日の機構の理事会で矯正歯科専門医と歯科保存専門医の認定が行われていた。広告ガイドラインが改正されれば、歯科では口腔外科、歯周病、歯科麻酔、小児歯科、歯科放射線、補綴歯科と合わせて計八つが広告可能となる。
【歯科通信】

国家資格デジタル化へ-歯科は11月予定

これまで行われていた国家資格の諸手続きや資格者証の取得が6日からオンライン・デジタル化された。今回は介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士、公認心理士の四つで、11月から歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士、歯科医師臨床研修修了者を含む27資格も加わる見込み。

 5月27日施行の「マイナンバー法等の一部改正法」に伴うもので、マイナンバー制度の活用により氏名などの変更手続きや、デジタル資格者証の取得がオンラインでできるようになる。
【歯科通信】

日本歯科大新潟短大(新潟市中央区)の歯科技工学科新設など答申 大学設置・学校法人審議会が文科大臣に

大学設置・学校法人審議会は8月28日、2025年度に開学を予定する私立大2校の新設などを認めるよう盛山正仁文部科学相に答申した。新潟県関係では日本歯科大新潟短大(新潟市中央区)の歯科技工学科(定員20人)の新設が入った。

 事業創造大学院大(新潟市中央区)は、情報デザイン学部情報デザイン学科通信教育課程(定員1000人)の新設申請を取り下げた。事業創造大学院大は「サイバーセキュリティー対策や映像教材の質などを高める必要がある」と説明。25年3月に改めて申請し、26年4月の開設を目指すとした。

喫煙率14・8%、過去最低 国民健康・栄養調査

厚生労働省の2022年国民健康・栄養調査で、たばこを習慣的に吸っている20歳以上の男女の割合は14・8%だったことが28日、分かった。前回19年調査(16・7%)を下回り、03年に現行の設問になって以降の過去最低を更新した。

 政府の健康づくり計画「健康日本21(第2次)」で定めた22年度の目標値12%には達していないため、厚労省担当者は「啓発を通じ、喫煙をやめたい人のモチベーションを保てるようにしたい」としている。

 20歳以上の喫煙率の男女別は、男性24・8%(前回比2・3ポイント減)、女性6・2%(1・4ポイント減)で、いずれも過去最低となった。年齢別で最も高いのは男性が30代の35・8%、女性は40代の10・5%。喫煙者のうち、たばこをやめたいと思う人は25・0%だった。

 受動喫煙の機会がある人の割合も調査。対策を強化した改正健康増進法の施行が影響したとみられ、場所別では前回19年に比べ、飲食店は半減の14・8%、遊技場は3分の1程度の8・3%となった。一方、高かったのは路上23・6%(3・5ポイント減)や職場18・7%(7・4ポイント減)だった。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響による体重や生活習慣の変化を尋ねたところ、体重が増えたとした男性は13・2%、女性は16・7%。1週間あたりの運動日数が減ったと回答したのは男性が12・7%、女性が13・8%となった。

 調査は22年11、12月に実施し、全国の約2900世帯から回答を得た。コロナの影響で20、21年は調査中止となったため、今回は3年ぶりに実施した。

「歯が痛い」で救急車、7割が「軽症」出動 重症搬送が遅れる恐れ、対策に有料の「民間救急」

高齢化の進展に伴い、滋賀県内で救急車の出動件数が大きく増加している。2023年は7万5766件(速報値)と過去最多を更新し、この30年でおよそ3倍に増えた。昨年初めて2万件を超えた大津市では、入院には至らない「軽症」での出動が約7割を占めており、市消防局が「救えるはずの命を助けるため適正に利用して」と市民へ呼びかける事態にもなっている。限られた救急車が緊急性の高い患者に使われるようにと、県内では軽症者や転院患者を企業が有料で搬送する「民間救急」の利用も広がっている。

 県の集計によると、23年の出動件数は前年から約4400件増加し、2年連続で過去最多を更新した。大津市でも昨年の救急出動が2万795件と最多を記録。利用者は65歳以上が全体の約65%を占めており、高齢化の進展が出動増加の主な要因という。

 市消防局によると、入院の必要がなく診察後に帰宅する「軽症者」が約7割を占めた。症状に緊急性は無いものの、高齢者などが自力で移動できずに救急車を呼ぶケースもあるという。119番通報があってから現場到着までにかかった時間は平均9分47秒で、13年の7分51秒と比べて約2分間長くなった。

 同局は「このような状態が続けば、心肺停止状態や大ケガなどで緊急搬送する必要がある人のもとに、救急車の到着が遅れてしまう可能性がある」とする。救急車を呼ぶかどうかの判断には、総務省消防庁の「全国版救急受診アプリQ助」などを活用するよう呼びかけている。

■広がる「民間救急」の利用

 高齢化で救急車の出動件数が増え続ける中、緊急性の乏しいケースを含む全ての搬送を、消防機関が無料で担い続けるべきなのか。一部自治体では病院側が軽症の受け入れを有料にするなど新たな動きも出ている中、滋賀県では企業が有料で搬送する「民間救急」の利用も広がっている。

 中には、歯が痛いと救急車を呼ぶ人や、同じ人が何度も繰り返し要請してくるケースも。軽症者への対応が増え続けると救急車の到着が遅れる恐れもあり、同社は「高度な技術を持つ民間救急を増やし、消防と民間ですみ分けをしていく必要がある」との思いで事業を拡大してきた。

 特に同社が重視するのは、患者が病院間を移動する「転院搬送」を民間が担うことだ。

 総務省消防庁の集計によると、2023年は全国の救急出動件数のうち7・3%を転院搬送が占めた。自前の救急車を持つ病院でも人手が確保できないなどの理由で、消防に搬送を要請する例は後を絶たないという。

 全国的に救急の態勢がひっ迫する中、国は「緊急性の乏しい転院搬送については、本来消防機関が実施するものではない」とし、適正な利用を求める通達を16年に出した。しかし、病院側の態勢や意識の改善は十分には進まず、件数は増加傾向が続く。

 一方、同社は県内の基幹病院とも連携して転院搬送を担っており、時には北海道まで送ることもある。費用は患者負担だが、手厚いケアに感謝の気持ちを示す利用者が多いという。

 全国の消防では今、一定の要件を満たす民間事業者を「患者等搬送事業者」として認定する動きも広がってきた。例えば大津市消防局では3社を認定しており、県内では近年、民間救急へ新規参入する企業も出ている。一方で、消防と民間が日常的に連携する態勢整備は十分に進んでおらず、事業者によって知識や技術に差があるのが実情だ。

過去ログ