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シンポジウム「歯科医療が支える超高齢社会ニッポン」

3月29日(日)に開催したシンポジウム「歯科医療が支える超高齢社会ニッポン~健康寿命延伸のための歯科医療」(主催:日歯、制作:NHKグローバルメディアサービス)の模様が、6月6日(土)午後2時より、NHK Eテレの「TVシンポジウム」内で放送予定です。
本シンポジウムでは、福祉ジャーナリストでキャスターの町永俊雄氏をコーディネーターに、大久保満男・日歯会長、秋山弘子・東京大学高齢社会総合研究機構特任教授、作家であり博物学者の荒俣宏・武蔵野美術大学客員教授が登壇。歯科訪問診療を例に挙げながら、地域歯科医療を支える歯科医師会の事業活動を紹介し、超高齢社会における歯科医療の役割や可能性について、様々な視点で語り合います。
是非ご覧ください。

<放送予定>
平成27年6月6日(土)午後2時~3時
NHK Eテレ TVシンポジウム「高齢者は歯が命 ~健康寿命と歯科医療~」

摂食障害治療、整備に遅れ 支援センター設置が難航 自治体負担がネックに

拒食症や過食症など摂食障害の治療充実を図るため、厚生労働省が昨年度中に実現させるはずだった全国5カ所の治療支援センター設置が難航している。国と折半で事業費を負担することに都道府県が難色を示しているためだ。ようやく静岡県と宮城県が名乗りを上げたが、残る3カ所の見通しは立っていない。治療拠点の整備は患者や家族の悲願。厚労省は「一カ所でも多く設置できるように理解を求めていきたい」としている。

 ▽死の危険も

 摂食障害は、心理的な要因で食事の取り方に異常が生じる病気。食事の量を極端に制限する拒食症と、発作的大食いを繰り返す過食症に大きく分けられる。若い女性に多いが、やせていることを礼賛する社会的風潮を背景に、児童や中高年の女性、男性の発症も増えている。特に拒食症は栄養失調などの合併症で7~10%が死亡し、自傷行為や自殺に走る人もいる。

 摂食障害の正確な患者数は不明だが、厚生省(当時)の研究班が1998年に実施した疫学調査では推計約2万3千人。80年からの20年間に約10倍に増加したとされる。また、2009~10年の厚労省研究班による調査では、女子中学生の100人に2人が摂食障害とみられている。

 適切な治療を受けないと死に至ることもある病気だが、医療体制は極めて貧弱だ。公的な専門治療機関がなく、専門医も不足。数少ない専門外来に患者が集中し、初診まで数カ月待ちというケースも珍しくない。

 ▽患者の期待

 現状を打開しようと13年、専門医の有志らが治療拠点整備を求める約2万4千人分の署名を国に提出し、今回の事業計画につながった。「患者さんには行き場がない。それだけに事業化が明らかになった時の喜びと期待は大きかった」と摂食障害の治療に取り組む鈴木真理(すずき・まり)・政策研究大学院大教授は振り返る。

 計画では、精神科や心療内科の外来があり、救急対応もできる既存の総合病院5カ所を治療支援センターに指定。入院治療が必要な急性期の患者を受け入れるほか、地域のクリニックからの相談に応じたり、患者・家族への支援、住民への啓発活動を担ったりする。

 また、支援センターで得た知見やデータを集約し、治療プログラムや指針を開発する全国基幹センターも1カ所設ける。

 3年間のモデル事業として昨年度スタート。基幹センターは国立精神・神経医療研究センター(東京)に置かれたが、支援センターの設置場所が決まらなかった。

 ▽ノウハウ習得

 ネックは1カ所当たり約600万円の運営費の半分を自治体が負担する仕組みだ。いくら病院が積極的でも、自治体で予算が確保できないと手は挙げられない。

 「地域の患者さんの状況を一番把握しているのは自治体。保健所などと連携して普及啓発にも頑張ってほしいが、なかなか理解が得られない」と厚労省精神・障害保健課の担当者は話す。

 そんな中、静岡県と宮城県が本年度の県予算に事業費を計上した。

 浜松医大病院での設置を予定する静岡県の担当者は「浜松医大はもともと摂食障害の治療に積極的。モデル事業で得たノウハウをほかの病院にも伝えてもらい、県全体の治療レベルをアップさせたい」と期待する。

 東北大病院を想定する宮城県の担当者は「被災地域で患者さんが増えているという話もあり、予算化に踏み切った」としながら「全国に数カ所なら、基本的には国が整備すべきだ」と注文も。

歯磨きしているのに虫歯になる…という人のための、正しいデンタルケア

ちゃんと歯磨きしているのになぜか虫歯になってしまう!――それ、ひょっとすると歯磨きのやり方が間違っているのかもしれません。

そこで今回は、歯科医師で「最先端のむし歯・歯周病予防を要求する会」代表の西真紀子先生に虫歯にならないための正しい歯磨きのやり方などを聞きました。

目次
私たちの歯は毎日「目に見えない虫歯」になっている!?
歯ブラシ・歯磨き粉の選び方
歯磨きのベストタイミング
虫歯にならないための歯磨きポイント
歯磨き以外にも!すべき虫歯予防

私たちの歯は毎日「目に見えない虫歯」になっている!?

私たちの歯は常に歯垢(プラークまたはバイオフィルム)に覆われています。歯垢の中には虫歯菌が1mgあたり約1億も潜んでいるといわれています。

私たちが食事をするたび、虫歯菌はその中にある糖類やでんぷんを摂取して酸を出し、歯の表面をうっすら溶かし始めます。このように、虫歯菌により歯の表面が溶けだしている状態のことを「脱灰」といいます。この脱灰状態を少しの間でも放置していると「初期虫歯」になってしまいます。

脱灰は、食後に分泌される唾液によって修復され元の健康な歯に戻ります(再石灰化)。つまり、私たちの歯は食事のたびに目に見えない虫歯状態になり、その後、唾液で修復されるという流れを繰り返しているのです。

ただし、脱灰は唾液で修復されますが虫歯菌が減少するわけではありません。口の中に糖類やでんぷんの食べかすが残っていると虫歯菌は酸を出し続け、脱灰がどんどん進行して唾液のみでは修復できなくなります。すると、歯が溶けた部分が黒ずみ、穴があくなどの症状があらわれます。この状態になると自然治癒は非常に難しいので、専門医による治療が必要です。

虫歯や歯周病を防ぐためにも、毎日の歯磨きは欠かせません。さっそく、虫歯を防ぐための正しいお手入れ方法をチェックしましょう。

eye 食べる幸せ、感謝の笑顔 リクエスト食で終末期ケア

「あした、何が食べたいですか」。終末期ケアに取り組む淀川キリスト教病院ホスピス・こどもホスピス病院(大阪市東淀川区)では金曜日の午後、管理栄養士の大谷幸子さん(65)が病室を回って笑顔で患者にこう問いかける。土曜日の夕食は「リクエスト食」で、患者一人一人が望むメニューを院内で調理して出している。

 黒川和子さん(92)は先月、転院してきて初のリクエスト食を口にした。前日、看護師に刺し身が食べられると聞くと「本当? うれしい」。昨年12月に胃がんが見つかった。それまでは、孫娘やひ孫らと回転ずしに行くのが楽しみだった。

 当日は調理師がマグロとタイの刺し身や茶わん蒸しなどを病室に届けた。まずタイを1切れ。「歯ごたえがあって、おいしい」。大好物のマグロに「大きいねえ」と笑みがこぼれた。30分ほどかけてすべてをたいらげると、目を閉じて手を合わせた。「生きて、おいしいものが食べられたことに感謝です」

 内田温久(はるひさ)さんは一昨年秋、胆管がんで余命1年と言われ、今年2月に転院してきた。その月、院内のパーティールームに経営する会社の仲間や同級生ら20人が集まった。すき焼きと寄せ鍋がテーブルに並び、内田さんも肉2切れと白菜を口にした。

 その日の夕食はリクエスト食で、海鮮ちらしずしを食べた。長女に少しずつ口に運んでもらい、「ほんまにおいしい。病院ですしとは幸せ者やなあ」と穏やかな笑顔になった。その8日後、内田さんは家族に見守られて静かに息を引き取った。63歳だった。

 家族との思い出が詰まっていたり、懐かしい母親の味だったり。池永昌之副院長は「食べることと生きることは密接に結びついている。リクエスト食に人生が反映されることもあり、心のケアにもなる」と語る。大谷さんは2009年に夫を肝臓がんで亡くした。入院した時は手遅れで、好きなものが食べられなかった。大谷さんは「たとえ少しでも、食べられるうちに望むものを食べてほしい。医師や調理師と相談しリクエストに可能な限り応えたい」と話している。

市民公開講座の案内

ファイル 4044-1.pdf

旭川歯科医師会からの案内です。ファイルを開いてご覧ください。

未承認の歯漂白剤、ネット販売…薬事法違反疑い

日本では未承認の歯の漂白剤をインターネットで販売したとして京都府警は21日、神奈川県大井町、オンラインショップ経営・遠藤義竜容疑者(38)を薬事法(現・医薬品医療機器法)違反の疑いで逮捕した。

 容疑を認め「海外から輸入した。2年間で約150万円を売り上げた」と供述しているという。

 発表では、遠藤容疑者は昨年11月、ネットのショッピングサイトで、厚生労働大臣の承認を受けていない米国製の漂白剤「OpalescencePF」を大阪府吹田市の女性(50)ら2人に各1個(1760円)販売した疑い。

 漂白剤は歯の表面を削る機能があるため医療機器の扱いを受ける。この商品を含む多くはジェル状で、歯型に詰めたうえで装着して使う。日本でも一部の商品は承認されているという。

健康・長寿は「歯」と「口」から…歯科医師会が冊子

歯や口をきれいに保つことは全身の健康につながることを知ってもらおうと、日本歯科医師会は歯科医療と健康の関連を示す研究成果を集めた冊子を作り、同会のホームページに公開した。

 この冊子は「健康長寿社会に寄与する歯科医療・口腔こうくう保健のエビデンス(根拠)」。医学研究で世界最大の米国のデータベースを活用し、歯科医療や口腔保健が生活習慣病の改善などに効果があるか検証した1000以上の質の高い研究論文を選んで分析した。

 その結果、残った歯の数が多い人ほど寿命が長くなることや、歯周病の治療によって糖尿病患者の血糖コントロールに効果がみられることが確認できた。また、歯周病になると、心筋梗塞などを誘発する冠動脈疾患のリスクを高めることなども分かった。

 同会は、こうした内容を国の施策に反映させ、国民の健康増進に貢献していきたい考え。また、口腔保健の普及に力を入れる世界保健機関(WHO)も、近くホームページから冊子の英訳版を読めるようにする。

のどなくしても声を出す がん社会はどこへ 第2部 働き続けたい/1

東京の下町、葛飾区柴又の住宅街の一角にある小さなオートバイショップに独特の「声」が響いた。経営する鈴木裕司さん(68)が声帯を失ったあとに体得した、食道を使う声だ。話す際は、声が出やすいように、首の付け根に開けた10円玉大の呼吸用の穴に手をあてる。

 まだ現役世代の60歳の時、実兄と営んでいた自転車店をたたみ、自宅のガレージを店舗にした。古いオートバイを修復し、再び走らせる仕事で、長年の趣味が実を結んだ。しかし、開店後間もなく、耳の痛みがひどくなり、下咽頭(かいんとう)がんが分かる。

 咽頭がんは、音楽プロデューサーのつんく♂さんがかかった喉頭(こうとう)がんと同じ「のど」のがんだ。鈴木さんは発見時、進行した「ステージ3」。放射線治療などは「間に合わない」(医師)状態だった。告知後すぐに主治医から治療の選択を迫られた。声帯を摘出する▽声帯は残すが、栄養摂取のためおなかに穴を開ける「胃ろう」に▽治療をせず、痛みをコントロールする――だ。

 「生きる以外に選択はない」と、鈴木さんは声帯摘出を選んだ。主治医から「もう声は出ない」と言われたが、病院の待合室で、喉頭(声帯含む)を摘出した人を支援する公益社団法人「銀鈴会(ぎんれいかい)」(東京都港区)を紹介する本を見つけ、門をたたくことにした。

 ●食道をふるわせ

 銀鈴会は1954年に設立された。喉頭摘出者に新たな発声法を伝授し、「早期の社会復帰を手助けする」ことを目的に活動する。秋元洋一副会長は「がん患者は、体だけでなく心も病みがちですが、社会に参加することで立ち直ることができる」と話す。

 発声法は主に3種類。電動式器具を首に密着させる方法もあるが、広く採用されているのは「食道発声法」だ。食道などから空気を吐き出す際に、入り口部分を振動させて声を出す。早ければ半年の訓練で話せるが、途中で挫折する人も少なくないという。

 自らも喉頭を摘出した太田時夫専務理事は「噺家(はなしか)やミュージシャンが、声帯を残して命を失う。そんな話を聞くと、『ここに来てくれていれば』と残念でなりません」と話す。「元の声を失っても、その人にしかできない仕事があるはず。人生観は人それぞれだが、新たな声を得る可能性があることだけは知ってほしい」

 ●会話がリハビリ

 鈴木さんも努力して食道発声法を習得し、店を再開した。初めての客も来店するが、皆、話をよく聞いてくれる。「仕事で人と話すこと自体がリハビリなんです。家に閉じこもれば、発声力が途端に衰えてしまう」

 5年前には大腸がんも見つかり、腹腔(ふくくう)鏡手術を受けた。今は治療を終え、定期的に検査するが、がん再発の不安から逃れることはできない。「仕事をしていなければ、余計なことばかり考えて不安に押し潰されたかもしれない。そうなれば死ぬことを考えたかも」。笑顔が絶えない鈴木さんが、神妙な表情を見せた瞬間だった。

 妻(67)は薬剤師として働き、鈴木さんの収入は、自分や孫に使うこともできる。今は週3回、銀鈴会の指導員も務め、自分の経験も伝える。

 ●仕事と両立に壁

 2012年度から5年間を対象とする国の「がん対策推進基本計画」には、がん患者への就労支援が盛り込まれており、厚生労働省は昨年2月、検討会を設置し、支援の仕組みづくりが進む。

 ただ、がん患者がいったん休職して復帰し、さらに治療と仕事を両立するには、依然として多くの壁がある。

 がん患者の治療と仕事の両立に向け、病院としての取り組みを研究する聖路加国際病院(東京都中央区)の山内英子ブレストセンター長は指摘する。「雇う側と患者が同じテーブルに着く土壌はようやくできつつあります。一方で、がんに対するマイナスのイメージは根強く、病を公表できない患者もまだ多い」【三輪晴美】

    ◇

 がん患者にとって仕事は、暮らしと治療を支える手段だけでなく、病に対する不安やつらさを紛らし、社会で自らの存在を確かめつつ生きる力となる。日本人の2人に1人ががんになる時代。さらに、新たにがんが発覚する約30%は、15歳から64歳の働く世代だ。がんになっても仕事を続けられる環境を作るにはどうしたらいいのか。悩める患者や雇用側を訪ね、今、何が必要かを探る。=つづく

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