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健康・長寿は「歯」と「口」から…歯科医師会が冊子

歯や口をきれいに保つことは全身の健康につながることを知ってもらおうと、日本歯科医師会は歯科医療と健康の関連を示す研究成果を集めた冊子を作り、同会のホームページに公開した。

 この冊子は「健康長寿社会に寄与する歯科医療・口腔こうくう保健のエビデンス(根拠)」。医学研究で世界最大の米国のデータベースを活用し、歯科医療や口腔保健が生活習慣病の改善などに効果があるか検証した1000以上の質の高い研究論文を選んで分析した。

 その結果、残った歯の数が多い人ほど寿命が長くなることや、歯周病の治療によって糖尿病患者の血糖コントロールに効果がみられることが確認できた。また、歯周病になると、心筋梗塞などを誘発する冠動脈疾患のリスクを高めることなども分かった。

 同会は、こうした内容を国の施策に反映させ、国民の健康増進に貢献していきたい考え。また、口腔保健の普及に力を入れる世界保健機関(WHO)も、近くホームページから冊子の英訳版を読めるようにする。

のどなくしても声を出す がん社会はどこへ 第2部 働き続けたい/1

東京の下町、葛飾区柴又の住宅街の一角にある小さなオートバイショップに独特の「声」が響いた。経営する鈴木裕司さん(68)が声帯を失ったあとに体得した、食道を使う声だ。話す際は、声が出やすいように、首の付け根に開けた10円玉大の呼吸用の穴に手をあてる。

 まだ現役世代の60歳の時、実兄と営んでいた自転車店をたたみ、自宅のガレージを店舗にした。古いオートバイを修復し、再び走らせる仕事で、長年の趣味が実を結んだ。しかし、開店後間もなく、耳の痛みがひどくなり、下咽頭(かいんとう)がんが分かる。

 咽頭がんは、音楽プロデューサーのつんく♂さんがかかった喉頭(こうとう)がんと同じ「のど」のがんだ。鈴木さんは発見時、進行した「ステージ3」。放射線治療などは「間に合わない」(医師)状態だった。告知後すぐに主治医から治療の選択を迫られた。声帯を摘出する▽声帯は残すが、栄養摂取のためおなかに穴を開ける「胃ろう」に▽治療をせず、痛みをコントロールする――だ。

 「生きる以外に選択はない」と、鈴木さんは声帯摘出を選んだ。主治医から「もう声は出ない」と言われたが、病院の待合室で、喉頭(声帯含む)を摘出した人を支援する公益社団法人「銀鈴会(ぎんれいかい)」(東京都港区)を紹介する本を見つけ、門をたたくことにした。

 ●食道をふるわせ

 銀鈴会は1954年に設立された。喉頭摘出者に新たな発声法を伝授し、「早期の社会復帰を手助けする」ことを目的に活動する。秋元洋一副会長は「がん患者は、体だけでなく心も病みがちですが、社会に参加することで立ち直ることができる」と話す。

 発声法は主に3種類。電動式器具を首に密着させる方法もあるが、広く採用されているのは「食道発声法」だ。食道などから空気を吐き出す際に、入り口部分を振動させて声を出す。早ければ半年の訓練で話せるが、途中で挫折する人も少なくないという。

 自らも喉頭を摘出した太田時夫専務理事は「噺家(はなしか)やミュージシャンが、声帯を残して命を失う。そんな話を聞くと、『ここに来てくれていれば』と残念でなりません」と話す。「元の声を失っても、その人にしかできない仕事があるはず。人生観は人それぞれだが、新たな声を得る可能性があることだけは知ってほしい」

 ●会話がリハビリ

 鈴木さんも努力して食道発声法を習得し、店を再開した。初めての客も来店するが、皆、話をよく聞いてくれる。「仕事で人と話すこと自体がリハビリなんです。家に閉じこもれば、発声力が途端に衰えてしまう」

 5年前には大腸がんも見つかり、腹腔(ふくくう)鏡手術を受けた。今は治療を終え、定期的に検査するが、がん再発の不安から逃れることはできない。「仕事をしていなければ、余計なことばかり考えて不安に押し潰されたかもしれない。そうなれば死ぬことを考えたかも」。笑顔が絶えない鈴木さんが、神妙な表情を見せた瞬間だった。

 妻(67)は薬剤師として働き、鈴木さんの収入は、自分や孫に使うこともできる。今は週3回、銀鈴会の指導員も務め、自分の経験も伝える。

 ●仕事と両立に壁

 2012年度から5年間を対象とする国の「がん対策推進基本計画」には、がん患者への就労支援が盛り込まれており、厚生労働省は昨年2月、検討会を設置し、支援の仕組みづくりが進む。

 ただ、がん患者がいったん休職して復帰し、さらに治療と仕事を両立するには、依然として多くの壁がある。

 がん患者の治療と仕事の両立に向け、病院としての取り組みを研究する聖路加国際病院(東京都中央区)の山内英子ブレストセンター長は指摘する。「雇う側と患者が同じテーブルに着く土壌はようやくできつつあります。一方で、がんに対するマイナスのイメージは根強く、病を公表できない患者もまだ多い」【三輪晴美】

    ◇

 がん患者にとって仕事は、暮らしと治療を支える手段だけでなく、病に対する不安やつらさを紛らし、社会で自らの存在を確かめつつ生きる力となる。日本人の2人に1人ががんになる時代。さらに、新たにがんが発覚する約30%は、15歳から64歳の働く世代だ。がんになっても仕事を続けられる環境を作るにはどうしたらいいのか。悩める患者や雇用側を訪ね、今、何が必要かを探る。=つづく

子育て相談(予約制)

内 容   身体測定、育児・栄養・歯科相談(当日の朝、必ず体温を測ってきてください)
 日時・場所 ①6月 2日(火)=東地区体育センター(豊岡2の5)
       ②6月 9日(火)=第二庁舎3階
       ③6月22日(月)=永山公民館(永山3の19)
       ④6月29日(月)=神楽岡地区センター(神楽岡12の2)
 受付時間  ①④午前9時30分~11時 ②午前9時~11時 ③午前9時40分~11時
 対象    0歳~就学前の子
 申込    5月20日(水)から子育て相談課
 電話    26-2395

ラジオに出演

FMリベールスタジオ
  平成27年5月27日(水)12時30分から生放送(15分間~20分間程)

抜いた歯や脂肪、再生医療の原料に? 有識者会議が報告

手術などで取り出した歯や脂肪などの細胞を加工して他人の治療に使う「再生医療製品」について、経済産業省の有識者会議は19日、原料となる細胞を入手する際の課題や対応策をまとめた。これを受け、経産省は製品開発するバイオ企業の支援を進め、再生医療製品の普及を目指す。

 昨年11月に施行された医薬品医療機器法(旧薬事法)では、再生医療製品という分野を新たに作り、条件付きで早期に承認する仕組みが出来た。この日取りまとられた報告書によると、今後は抜いた親知らずの細胞を培養して脊髄(せきずい)損傷を治療したり、脂肪吸引で集めた細胞を加工して心筋梗塞(こうそく)や肝硬変の手術に使ったりする再生医療製品が開発される可能性があるという。

 製品の原料は、患者本人ではなく他人の細胞を使えば、事前に準備できるためすぐに治療でき、費用も安く済む。一方で、拒絶反応のほか、提供者の同意取得や個人情報の保護など実務的な課題もあり、提供の手続きを仲介する機関が必要になってくるという。

 経産省はこの日、他人の細胞を再生医療製品に使うための工程や品質について検討する企業への支援策を公表。担当者は「再生医療製品が根付くように応援していきたい」とした。(合田禄)

8割が患者・家族から暴力や暴言◆Vol.1

「最近、ハードクレーマーが激増している」。そんな声が、m3.com編集部が今年3月に実施した医師調査で寄せられた(『「外来にレコーダー必須」「1年後の返戻、対応困難」◆Vol.18』を参照)。理不尽な要求をする患者とのトラブルは、最近では、患者の高齢化や認知症患者の増加を背景にしたケースや、医療を否定する内容の本やニュースの影響を受けたとみられるケースも指摘されている。

 突然のトラブルが起きた時、まず対応を迫られるのは現場の医師。どうすればトラブルを防げるのか、関心は高いものの抜本的な対応策はなかなか見つからないのが現状だ。

歯医者さんの隣に保育園を開設 福岡県大野城市、乳幼児ケアの充実目指し

歯医者さんのお隣は保育園―。福岡県大野城市白木原のはなだ歯科クリニックが6月1日から、医院に隣接して「キッズガーデン ル・タンデ保育園」を開設する。乳幼児に必要な食事や呼吸指導を行いやすくすると同時に、クリニックに勤める歯科衛生士らの育児を支えるのが狙いだ。歯科医院が保育園を隣接して開設するのは全国的にも珍しいという。

 はなだ歯科クリニックでは、30人近いクリニックのスタッフのうち理事長以外は全員女性。出産を迎えた女性の歯科衛生士が退職すると、新たな人材を見つけるのに苦労してきた。産前産後休暇や育児休業から復帰し、子育てしながら安心して働ける職場にしたいという思いがあった。

 同時に、これまでに3千人を超える歯の矯正に携わった花田真也理事長(46)は、かねて「乳幼児の頃から食べ方を指導したい」と考えていた。矯正が必要になる小学生以上の患者は、かみ方や飲み込み方が不自然だったり、鼻ではなく口で呼吸をしていたりする子が多いからだ。だが歯が生えそろわない子を受診させる家庭は少なく、乳幼児に関わる糸口を探していた。

 そこで思い付いたのが事業所内保育所の開設だった。事業所内保育所は、昨年の規制緩和によって従業員に限らず、保護者が雇用保険に入っている子どもであれば受け入れることが可能になった。当面は従業員と患者が利用できる保育園とするが、将来的には患者以外も利用できるよう体制を整えたいという。

 保育園では、口呼吸を鼻呼吸に変える「あいうべ体操」((1)「あー」と口を大きく開く(2)「いー」と口を大きく横に広げる(3)「うー」と口を強く前に突き出す(4)「ベー」と舌を突き出す)や、子どもの月齢・年齢別の保護者教室を実施していく予定だ。歯の成長に合った離乳食の進め方や食べさせ方もアドバイスする。

 花田理事長は「母乳や離乳食の段階で、歯並びに影響を与える。赤ちゃんから高齢者まで、生涯にわたって関われる歯科にしたい」と話している。

医療費支払いを負担に感じて受診ためらい死亡 秋田県央部の60代女性

秋田県央部の60代女性が昨年秋、医療費の支払いを負担に感じて医療機関の受診をためらい、がんで亡くなっていたことが明らかになった。亡くなる直前に救急搬送されたものの、手遅れだった。女性は国民健康保険の保険料(税)を滞納し、医療費を窓口でいったん全額支払わなければならない「被保険者資格証明書(資格証)」の交付を受けていた。

 昨年秋の夕方、女性は近くに住む親族を通じて「自宅で動けなくなった」と119番した。秋田市の中通総合病院に救急搬送され、末期がんと判明。手術ができないほど進行していた。

 女性はそのまま入院し、同病院医療福祉相談室の医療ソーシャルワーカーに「以前、腫瘍があると診断を受けた。ただ、医療費が払えないので通院しなかった」と打ち明けた。

 女性はアパートに1人暮らしで、パートを二つ掛け持ちしていた。支払う保険料は月1万3千円程度だったという。医療ソーシャルワーカーは「仮に払ったとしても、収入が少ないため、通常の自己負担(医療費の3割)も重荷になると考えたのではないか」と推測する。

 医療ソーシャルワーカーは女性の資格証について地元自治体へ相談。女性が重病であることを説明し、有効期限は短いが窓口負担が軽くなる「短期被保険者証(短期証)」に切り替えてもらった。女性は働けなくなって収入も途絶えたため、生活保護も申請する予定だった。だが、入院から約1週間後、息を引き取った。

 地元自治体によると、女性は保険料支払いの相談に訪れておらず、女性宅は民生委員の訪問対象でもなかった。このため女性の家計状況や健康状態を把握しておらず、行政のセーフティーネット(安全網)ですくい上げることができなかったという。

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