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レンサ球菌咽頭炎:流行警報レベルに 中北保健所峡北支所

23日、喉の痛みや発熱を引き起こすA群溶血性レンサ球菌咽頭炎の流行が、中北保健所峡北支所管内(北杜、韮崎、南アルプス市)で警報レベルに入ったと発表した。

 県健康増進課によると、13~19日に同支所管内の五つの医療機関で41人の患者が報告され、警報の基準となる1医療機関当たり8人を超えた。同じ期間に県全域では69人の患者が報告された。県は「感染者との接触は避け、手洗いとうがいを徹底してほしい。症状がある場合、早めに医療機関の受診を」と呼び掛けている。

声帯摘出、再び話せた 食道を振動させる発声法 「生きがいも取り戻す」

音楽プロデューサー、つんく♂さん(46)の声帯摘出公表をきっかけに、声帯の代わりに食道を振動させて声を出す「食道発声法」に注目が集まっている。声が出なくなれば生活に大きな影響を及ぼす。声帯や喉頭の摘出後、発声法を身に付けた人たちは、声ばかりか「生きがいも取り戻せた」と喜んでいる。

 「お茶を口に含んで空気と一緒に食道に取り込み、『あ』と、声を出してみましょう」

 声を取り戻そうとする人を支援する「銀鈴会(ぎんれいかい)」(東京都港区)の発声教室。「初心クラス」の男性に、自らも声帯を摘出して発声法を習得したボランティアの訓練士が、マンツーマンで指導に当たっていた。週3回開かれる教室には、喉頭がんや咽頭がん、食道がんなどで声帯や喉頭を摘出した約150人が通う。

 通常、声を出すためには、吸い込んだ空気を肺から吐き出し、喉頭にある声帯を振動させる。

 同会によると、食道発声法では食道に取り込んだ空気を、げっぷを出す要領で逆流させ、食道の入り口の粘膜を振動させて声を出す。練習を重ねれば、多くの人が1年ほどで会話できるようになるという。

 「最初は母音の発声から始めて、声が出せたら徐々に言葉の数を増やしていきます」と銀鈴会会長の松山雅則(まつやま・まさのり)さん(71)は話す。松山さんも58歳の時に喉頭がんで摘出手術を受け、食道発声法で声を取り戻した。

 がんが見つかって治療を受けたが、再発が判明。悩みに悩んで摘出を決断するまでが最もつらかったという。「食道発声法で初めて声を出せた時の喜びは、言葉で言い表せない。それからはどんどん練習が楽しみになった」と振り返る。

 手術で摘出した部位などにより個人差はあるが、スポーツ選手や腹式呼吸に慣れた音楽家は比較的上達が早いという。中には3カ月ほどの練習で会話できるようになる人も。上達すると歌が歌えるようにもなり、歌の発表会も開かれている。

 銀鈴会のような、全国約60の支援団体を統括する「日本喉摘者(こうてきしゃ)団体連合会」によると、同会所属の喉頭摘出者約7千人のうち、約5千人が食道発声法で会話をしているとみられる。年齢が若いほど習得率が高い傾向があるという。

 下咽頭がんで手術を受け、食道発声法を習得した銀鈴会専務理事の太田時夫(おおた・ときお)さん(70)は穏やかな声で語る。「教室で同じ境遇の仲間と練習に励んでいるうちに、不安や孤独感は消えていった。声を再び出せるようになり、生き生きと生活できるようになりました」

 ※声帯摘出後の発声方法

 食道を振動させる食道発声法の他に、電動式の人工喉頭を喉に当てて振動を音声に変換する方法、気管と食道を結ぶシャント手術で発声する方法がある。食道発声法は比較的自然な発声が可能で、器具に掛かる費用が必要ないといった利点があるという。

高齢者、交流少ないと健康リスク 日本福祉大など調査

同居者以外の人との交流が週に1回未満のお年寄りは、要介護や認知症のリスクが高くなり、月に1回未満だと死亡リスクも高くなるという研究成果を、日本福祉大や千葉大の研究チームがまとめた。社会的な孤立と健康状態との関連はこれまでも指摘されてきたが、この研究で交流の頻度が具体的に示された。

 研究チームは2003年に愛知県に住む65歳以上の健康な男女約1万2千人を対象に、同居者以外の人と会ったり、手紙やメールを出したり、電話をしたりする頻度を調べた。

 約10年間、追跡調査したところ、2272人が自力での立ち上がりや歩行が困難な「要介護2」以上となり、1986人が認知症を発症、2920人が死亡した。

 交流頻度と健康リスクとの関連を性別や年齢、世帯構成、病気の有無などの影響を取り除いて分析した結果、同居者以外との交流が月1回~週1回未満の人は、毎日頻繁に交流している人に比べて、要介護2以上となるリスクが1・40倍、認知症の発症リスクが1・39倍だった。月1回未満では死亡リスクが1・34倍。週1回以上のお年寄りは、統計的に明確な差がなかった。

虐待予防 歯科健診で 健康状態をチェック、早期発見 食生活改善も指導、取り組みが注目

ボランティアでの歯科健診を通じ、児童虐待の防止や食生活の改善に取り組む歯科が増えている。児童虐待について、全国の児童相談所が受けた相談対応の件数は2013年度に7万3765件(前年度比10・6%増)と年々増えており、虐待を早期発見する端緒として、医療機関の役割が注目されている。

 兵庫県西宮市の幼保一体型施設「夙川プリスクール」で今月15日、「夙川マサト歯科」の内藤真人院長(52)が5歳児と対面し、歯や舌の健康状態をチェックしながら、「ごはんはおいしい?」「何が好き?」などと会話を交わした。内藤院長は「虐待や育児放棄を受けている子は、虫歯が多かったり、頬に傷があったりすることが多い。待っている時の様子も見て、生活に問題がないか判断している」と話す。

 大阪市旭区の「高殿歯科」も近くの児童らに無料での健診を呼び掛け、入り口に子供が描いた絵を展示するなどの工夫もしている。歯科医の梅村哲弘さん(34)は以前、幼稚園の健診で大半の歯が根元しか残っていない状態の児童を見て、「まともな治療を一度も受けないまま放置されている。虐待を受けていると感じた」という。

 日本歯科医師会が昨年実施したアンケート調査では、全国で15都府県の歯科医師会が児童虐待に関して児童相談所などと連携。9都府県では、虐待の疑いがあるとして通告した事例があった。梅村さんは「親に面と向かって『虐待ですよ』というのは難しいが、食生活の改善指導を通して子供の健康を守りたい」と話している。

スポーツデンティスト誕生

 スポーツの振興や競技力向上などのため、歯科学の観点から指導、助言する日本体育協会公認のスポーツデンティスト67人が初めて誕生した。

 2年前から同協会と日本歯科医師会が共同で養成講習会を開き、600人以上の歯科医の申込者から選ばれた第1期生。

 トップアスリートから一般のスポーツ愛好者までを対象に、医療機関での歯科診療に加え、スポーツ現場でのデンタルチェックや障害の防止、救護、競技力向上のための支援を行う。

 競技中の事故防止に有効なマウスガード(マウスピース)の製作や普及にも取り組む。

 当面、千人程度の登録を目指すという。

歯周病の男性は心筋梗塞のリスクが約2倍。東京大学による日本初の縦断研究で明らかに。

東京大学大学院医学系研究科の野口都美客員研究員(研究当時は大学院生)と豊川智之准教授、小林康毅教授らの研究グループは産業保健現場の医師らと共同で、金融保険系企業の36~59歳の男性労働者3081人を対象に5年間の追跡調査を実施。歯肉出血、歯のぐらつき、口臭からなる歯周病スコアや他の指標について、多変量ロジスティック解析で心筋梗塞発症リスクを分析した。その結果、歯周病を強く疑われる男性はそうでない男性に比べ、心筋梗塞の発症が約2倍多いことが明らかになった。歯周病が心筋梗塞などの虚血性心疾患を引き起こすメカニズムは、歯周病細菌とその細菌が産生する要素、または歯周病により産生される炎症物質等が、歯肉の毛細血管を通じて全身の血管や心臓に運ばれ、動脈硬化や血管の閉塞をもたらすことが考えられている。この研究結果から、虚血性心疾患の予防に口腔ケアが重要ということが示唆された。あらためて、適切なセルフケアや歯科医院でのメンテナンスで歯周病の予防を推進させていかなければならない。

間違った管理方法は細菌増殖の原因に。歯ブラシを清潔に保つことが重要。

歯磨きには気を遣う人が増えてきているが、肝心の歯ブラシをきちんと管理していない人が意外に多い。歯ブラシに付着している細菌の数は数億以上とも言われ、管理状態によっては毛の中で食べかすが腐敗し、さらに細菌が繁殖してしまうという。では、歯ブラシの管理をどのようにすればよいのか。ポイントは水洗いと乾燥。使用後の歯ブラシはしっかりと流水で水洗いし、食べかすや細菌を洗い流すことが大切。特に、毛の根本は汚れがたまりやすいため、注意が必要だ。さらに、濡れた歯ブラシをしっかりと乾燥させること。いくら水洗いをしても完全に細菌を洗い流すことは不可能。歯ブラシが濡れていると、わずかに残った細菌がまた繁殖してしまうことになる。キャップをする人も多いが、乾く前にキャップをしてしまうと逆効果だ。

肥満は認知症を予防するのか

中年期に過体重あるいは肥満だった人では、正常体重または低体重の人に比べ認知症を発症しにくいことが、200万人近くを対象とした大規模研究結果から示された。

 過体重者や肥満者では、正常体重者に比べ15年後の認知症発症率が30%低かった一方、低体重者は正常体重者より認知症発症率が34%高いことが分かったという。

 研究を主導したスペインOXON Epidemiology社のNawab Qizilbash氏は、「過体重者や肥満者の認知症リスクが抑制されるとは予想外だった」と述べている。

 ただし、今回の後ろ向き研究は肥満と認知症リスク低下の関連を示しただけであり、因果関係を示したわけではない。

 同氏はまた、本研究では過体重者や肥満者における早期死亡リスク上昇がみられたことを踏まえれば、今回の予備的知見に基づいて認知症予防を体重増加の言い訳にすべきではないと指摘。「過体重や肥満に認知症予防効果があるとしても、その便益を得るだけの長生きはできないかもしれない」と述べている。

 「The Lancet Diabetes & Endocrinology」オンライン版に4月9日掲載された報告によると、今回の検討では、研究開始時に平均55歳だった英国の成人約200万人について、医療記録を約20年分解析した。15年間の追跡期間中に4万5,500人が認知症を発症していた。

 解析の結果、体重と認知症発症との関連は、被験者の生年や診断時年齢を調整後も認められることが分かった。認知症の危険因子として知られる飲酒や喫煙といった因子は、この結果にはほとんど影響していなかった。

 Qizilbash氏は、この関連性についての生物学的な説明はなく、さらなる研究が必要であるとしながらも、この知見からアルツハイマー病やその他の認知症の治療や予防への道が示される可能性があると説明。

 「認知症の発症機序や治療法開発に新たな考察を提供できる可能性がある。医師や公衆衛生の研究者、政策立案者も認知症ハイリスク者を特定する方法について再考が必要かもしれない」と述べている。

 この結果について同誌に付随論説を著した米ニューヨーク州立大学(SUNY)ダウンステート医療センター(ニューヨーク市)のDeborah Gustafson氏は、中年期の体重が15年後の認知症リスクに反映されるのかという点に疑問を提示。

 「解析対象数は多いが、方法論における疑問を考えるとこの結果が最終的な結論とはいえない。さらなる検討が必要だ」としている。

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