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療養中でもおいしくがん患者の口腔ケア

旭川医科大学病院(緑が丘東2の1)は、がん患者サロンを11月28日(金)午後1時から開きます。テーマは「がんの療養と口腔ケア」。がん療養中は、さまざまな要因で口の中のトラブルが発生しやすいもの。適切なケアでおいしく食事が摂れるようになります。講師は同院緩和ケア認定看護師の笹田豊枝さん。場所は同院3階輸血部カンファレンス室で、時間は30分程度。参加無料。駐車場も無料で利用できます。申し込みは同院腫瘍センター(℡0166-69-3232)まで。

こども歯みがき教室

内容 講話、個別歯磨き指導
 日時 12月2日(火) 午前10時から
 場所 キッズルーム(第二庁舎5階)
 対象 3歳以下の子と保護者
 定員 6組
 申込 健康推進課 ℡25-6315

家庭用バイトブロック(開口保定器)の機械的性質からみた有効性と安全性

要旨:市販されている家庭用バイトブロックの安全性や有効性について、具体的な検討がされていない。そこで本研究は、市販されている家庭用バイトブロック(5種類)の破断荷量、破壊状態、咬んだときの表面の硬さと変位量を評価し、比較した。対象のバイトブロックの材質はポリサルフォン、ナイロン、ポリウレタンスポンジ、ウレタンゴム、シリコンであった。破断荷量および破壊状態の評価は、コバルトクロム合金製実験用治具(歯式:上下顎左側2~6)を作製し、万能試験機に装着し、圧縮試験を行った。
    試験回数各バイトブロックを5個用意し、計5回のデータを得た。破断荷量の平均値は、すべてのバイトブロックにおいて200kgfを上回り、実験用治具が咬合接触しても完全離断することはなかった。破断荷重後のバイトブロックの外形は、ポリサルフォンとナイロンは亀裂が入り、元の外形をとどめなかった。ポリウレタンスポンジとウレタンゴムは咬合痕を認めるものの元の外形に近い状態まで復した。咬んだときに表面が最も硬いのはポリサルフォンで、次がナイロン、ウレタンゴム、ポリウレタンスポンジ、シリコンの順であった。
    今回の実験対象となったバイトブロックは、医療や介護の現場で使う際に完全離断となる危険性が低く、特にウレタンゴム、ポリウレタンスポンジ、シリコンは、歯の損傷の危険性も低いことが示唆された。

 諸言:市販されており、個人で購入および使用が可能なバイトブロック(家庭用バイトブロック)は、歯科医療や介護の現場において、障害者や要介護高齢者などの開口保持困難な者の対しての介助歯磨き、検診、そして歯科治療の際に使われる。特に発達レベルの低い障害児・者は、介助歯磨き時に静止して開口を保持しておくことが困難なので、バイトブロックは不可欠である。しかしながら、重度心身障害児における介助歯磨き時のバイトブロックの噛み切りの報告があり、噛み切られない硬さが必要である。家庭用バイトブロックと異なるが、全身麻酔時に使用するバイトブロックの内筒が気道異物となり、呼吸状態が悪化した報告もあり、バイトブロックの破損は窒息を起こす危険性もある。
    また臨床的に金属性の開口器により臼歯部の歯の破折も経験し、咬む部分の表面の軟らかさが要求される。しかし軟らかい素材であると、咬んだときに開口量を保持できない。ヒトの歯を損傷させない程度の軟らかさ、いわゆる咬んだときの表面軟らかさを必要とする一方で、咬合力で破損および変形しない硬さと強さが必要である。現在、家庭での介助歯磨きのためのバイトブロックが市販されているが、バイトブロックが破損される荷重(破断荷重)や咬んだときの外表面の軟らかさについては明らかにされていない。またヒトの咬合力によるバイトブロックの変形量についても検討がなされていない。

 考察:今回の調査対象となった家庭用バイトブロックにおいてEが最も低い破断荷重で平均244.8kgfであった。CとDの破断荷量は、ヒトの最大咬合力の2倍以上、AとBは4倍以上であり、いずれもヒトの最大咬合力以上であることから、ヒトが破断させる危険性が低いことが示唆された。万が一強い咬合力が加えられ、上下の臼歯が咬合接触したとしても、今回の調査多少となった家庭用バイトブロックは離断しないものと思われる。つまりバイトブロックが離断し、誤飲・誤嚥による窒息の危険性は低いと判断された。バイトブロック表面の硬さは、歯の損傷に影響を与える。バイトブロック表面が硬い場合、咬合力が咬頭の一部や、一歯に力が加わり、歯の破損や脱臼の危険性があると考える。
    今回使用したすべての家庭用バイトブロックは購入直後のものであり、経時的な劣化による影響は明らかとなっていない。

旭川歯科学院専門学校 第3回オープンキャンパス

平成26年9月13日(土)、今年度第3回目のオープンキャンパスが行われました。今回のオープンキャンパスにおいて、本校の在校生(2年生)も参加しまして、来校者と一緒に体験実習を行うことで、とても和やかな雰囲気で進みました。

根を詰めず、口の脱力を

上下の歯、無意識に接触させる癖ありませんか?歯が長時間触れていると、顎の関節や歯に負担がかかり、かみ合わせの違和感や入れ歯の不調につながることがあるそうです。どうしたら防げるのでしょうか。
 ぐっと歯を食いしばっても、あごなどに負担がかかるが、長くは続かない。一方、軽い接触は長時間化しやすく、問題はより深刻化しやすい。こうした癖を「TCH」と名付けた。TCHがあると、口の周囲の筋肉が緊張を続け、関節に力が加わり続ける。歯や歯肉にも影響が出る。通常は、疲れを感じた脳が「歯を離せ」と命令を出すのだが、TCHの人はこの命令を抑え込んでしまい、脳が命令を出さなくなってしまう。木野さんらの調査によると、片方の歯だけでかむ癖がある人がTCHになるリスクはそうでない人の2.8倍。精密作業に従事している人は2.2倍だった。
 不調を感じ、TCHの改善をはかるにはまず、歯の接触は体に良くないことと自覚しよう。「歯を離す」と気付かせてくれる文字や絵をかいた紙を10ヵ所以上にはることを木野さんは薦める。同じデザインのものをパソコンの周囲や車内など目につく場所にはろう。紙を見たら力を抜く。これを繰り返すと次第に上下の歯を離すまでの時間が短くなり、触れると同時に離れるようになるそうだ。「コツをつかめば、約3ヶ月で条件反射が戻り、治る人が多い」と木野さんは話す。

急性期脳血管疾患患者の嚥下機能改善に影響を及ぼす因子の検討

諸 言
  わが国では、毎年約30万人に新たな脳卒中が発生しており、脳卒中患者の総数は約280万人に上る。発症後嚥下障害を来たす患者は、急性期では30~65%、慢性期まで遷延する患者は約10%といわれており、摂食嚥下障害の原因疾患の約半数を占めている。脳卒中急性期は、早期座位・立位訓練、早期歩行訓練、セルフケア訓練などと同様に摂食機能療法の重要性が示され、グレードAに位置づけられている。
  その中で、嚥下障害を有する脳卒中患者における発症7日以内の嚥下と食事に対する摂食機能療法は、6ヶ月後の予後を改善し、呼吸器感染症を減らすことが報告されている。したがって、脳卒中患者においては、急性期からの摂食機能療法がきわめて重要であるため、急性期病院では栄養サポートチームや摂食嚥下チームなどにより、摂食嚥下機能のスクリーニング、摂食機能療法など種々のアプローチが展開されるようになった。
  チームによるアプローチには、多職種の熱意が不可欠である。しかし、実際の臨床現場では、医療者側の熱意だけでなく、患者の意欲が得られなければ、十分な摂食機能療法の持続が困難であることを経験する。そこで、脳血管疾患患者の嚥下機能改善に影響する因子を、これまでの報告でみられた年齢や誤嚥性肺炎発症の有無等の身体状況に加え、うつや意欲といった精神状況も含めて検討した。
 結 論
  脳血管疾患患者において、嚥下機能改善群、不変・低下群の2群間で年齢や疾患発症前ADL、入院時Alb等に差はみられなかったが、入院時BMIは不変・低下群で有意に高値であり、ST介入時の意欲は改善群で有意に高値であった。ロジスティック回帰分析の結果、嚥下機能改善に影響するのは、入院時BMI、ST介入時の意欲であったことから、患者の体格や意欲が嚥下機能改善に影響する可能性が示唆された。摂食機能療法は、患者の意欲を高められるようなアプローチを他職種が連携して行うことの必要性が示唆された。

禁煙指導研究会に出席しました

11月8日(土)開催の第16回北海道禁煙指導研究会に出席しました。本
研究会は北海道医師会の認定医生涯教育講座として指定されていると
のことで、当日は医師、歯科医師、薬剤師、看護師など医療従事者60名
を超える参加者があり、禁煙指導、治療に寄せられる関心の高さが感じ
られました。特別講演は札幌学院大学教授、北田雅子先生による「禁
煙支援にいかす動機づけ面接法」、禁煙指導における面接の留意点を
中心とした講演でした。その後、各方面より一般講演が5題、日本では
女性の喫煙率が諸外国よりも高い比率で、妊娠時の禁煙指導が重要で
あること、診療所における禁煙治療の成績評価など興味深い知見が報
告されていました。

不正咬合の予防にむけてご近所のお医者さん

私は中学校の学校歯科医を務めています。最近の学校健診では、何らかの歯列や咬合(こうごう)の乱れのある子どもは全体の60~70%にのぼり、治療勧告を行う子どももかなりの数に上ります。

 特に気になるのが、上顎(うわあご)が飛び出している上顎前突。おそ松くんのイヤミや、リス、ハムスターのような歯です。ものを飲み込む際、舌が上の前歯を押し、口は開けぎみ、猫背、うつぶせ寝といった習慣が連鎖していますが、元は舌の位置が上顎の口蓋(こうがい)部についていないことと口唇(こうしん)が十分に閉鎖できていないことから起こるものです。乳児期に母乳をうまく飲む、吸啜(きゅうてつ)、嚥下(えんげ)(のみ込み)のサイクルがうまくできていないことと、幼児期に前歯で捕食するトレーニングができていないことに起因しているように考えています。リンゴなどを前歯を合わせて毛抜きのようにかんでいく動きは口唇や舌の協同作業として重要なものです。これは前歯が開いている開咬という状態の予防としても効果的です。

 トレーニングとして取り入れたいのが、福岡の内科医今井一彰先生考案の「あいうべ体操」。あー、いー、うー、べーと1ストロークを4秒ずつくらい、毎食後10回で1日30回ぐらい行えば、舌はだんだん上顎にくっつくようになってきます。追加で上顎の固いところと喉(のど)の方の柔らかいところの境目を舌でなめる練習や、上顎に舌を付けて離すときにポッと音を出すポッピングという運動も併用されると効果的です。

 更に1口30~50回のそしゃく回数は、消化を助け、顎に刺激が加わり、顎骨の成長を促し。さらに嚥下の回数が増えることもあり、舌のトレーニングを補助することにもつながります。

 問題がある状態を正常な成長発育に戻していくことは大変重要です。早い時期に適切なトレーニングを行うことで、正常な機能と形態の範囲に戻すことができます。変形が著しい場合や成長後期、成人になれば、やはり矯正治療等の処置が必要になってきます。

 正常な機能と健康な成長発育のため、生活習慣や態癖を見直していかれてはいかがでしょうか。

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