記事一覧

進む小児の在宅療養 鹿児島県、子ども専門の訪問看護施設誕生機に

病気や障害が重い子どもの在宅療養は、呼吸管理など手厚い看護と病状急変への備えが欠かせない。在宅を望む家族らの願いをかなえたいと2013年、鹿児島市に県内初となる小児専門の「鹿児島こども訪問看護ステーション」が誕生。他施設の取り組みも増え、県内の小児訪問看護は10年度の実人数52人から、13年度は320人と大幅に増えている。

 同ステーションは約60人が利用し、その半数が同じ法人内の小児専門医の往診を受けている。医療処置や心理的サポートで家族の安心と信頼を得ている。小児に特化した施設は全国でも珍しいという。

 重度障害児の在宅療養はこれまで、ニーズ把握の難しさなどから、高齢者などに比べて全国的に対応が立ち遅れていた。最近は医学の発達などで、在宅療養の可能性の幅が広がっている。

 鹿児島こども訪問看護ステーションは県内小児在宅医療のかなめも担う。在宅療養を推し進めようと、管理者の渡邉理恵看護部長(51)らが中心となり、関係機関の連携や情報交換、システム構築に大きな役割を果たしてきた。実績のある訪問看護ステーションは10年度の14カ所から13年度は33カ所に増加。延べ1万2626人が訪問看護を受けている。

 県も小児訪問看護の実地研修や講演会を実施。今後行う実態調査で、医療資源のニーズなど現状を把握し、環境整備を進める。

50歯科医院被害、数億円規模 ソフト会社が来院保証 患者紹介アプリ

スマートフォンのアプリなどを使い実質無料で新規患者の来院を保証するとうたったサービスを巡り、大阪のソフトウエア会社と全国の歯科医院が金銭トラブルになっていることが分かった。大阪、東京など少なくとも21都道府県の約50医院が「患者が来ない」「IT機器のリース契約だけが残った」と被害を訴え、医院側の損失は数億円規模に上る可能性がある。医院の一部は大阪府警など警察当局に被害相談を始めた。

 厚生労働省は「実質的な患者紹介ビジネスで不適切なサービスだ」としている。

 大阪市旭区のソフトウエア会社「アルファラインジャパン」が提供したサービスで、現在は休止中だ。

 歯科医院や契約書類によると、クーポンなどの特典付きで飲食店などを紹介する、東京のIT会社のアプリに医院の情報を載せることで、月10~20人の新規患者の来院を保証するという内容。医院のホームページを活用することもある。

 医院側はアルファ社に料金を直接払わず、IT機器のリース契約を結んだ大手リース会社に、月5万円前後のリース代を数年かけて計200万~300万円納める。アルファ社はリース会社にIT機器を売って対価を得ていたとみられる。

 契約時には毎月の新規患者数を10~20人に設定。患者がゼロならリース代金分を、足りなければその人数に応じた分をアルファ社が毎月返金するとしており、実質無料というのが特徴だ。来院数は医院に置いた専用機器に患者がスマホをかざしてカウントする。

 しかし、医院の多くが患者は来ていないと主張。さらに「返金も一切なく、リース契約の支払いだけが残った」と訴える。アプリに情報自体が載っていなかったケースもあったという。

 昨年10月に「被害者の会」を結成した東京の歯科医によると、大阪、東京、兵庫など21都道府県の約50の医院が被害を訴え、約10人が大阪府警や警視庁に被害を相談しているという。

 アルファ社は2007年創業。アプリを運営するIT会社の代理店業務などをしていた。代理人弁護士によると、約500の歯科医院と似た契約を結んでいたが、資金繰りが悪化、昨年12月に大阪地裁に破産手続き開始の決定を受けた。

 社長の男性は今年1月、毎日新聞の取材に「医院などに迷惑をかけて申し訳ない。患者の来院を報告しない医院があり、必要のない返金をして資金がなくなった。だます意図などない」と書面で回答した。

 IT会社の担当者は「サービス内容を知らされておらず、迷惑している」。リース会社は「一切コメントしない」としている。

ノロ患者、気管詰まり死亡 ワタミ運営の老人ホーム

東京都は19日、ワタミのグループ会社「ワタミの介護」が運営する有料老人ホーム「レストヴィラ東大和」(東大和市)でノロウイルスによる集団食中毒が発生し、入居者16人が下痢や嘔吐(おうと)などの症状を訴え、うち男性1人が死亡したと発表した。

 都によると、発症したのは76~95歳の男女。15日午前5時半ごろ、84歳の男性が心肺停止状態で見つかり、まもなく死亡が確認された。吐しゃ物を気管に詰まらせた窒息死だった。

 16人のほか、別の入居者や従業員計13人にも二次感染の疑いがあるが、亡くなった男性以外はいずれも快方に向かっている。

 発症していない調理担当の従業員からノロウイルスが検出されたため、多摩立川保健所は給食が原因の食中毒と断定し、ワタミの介護に3日間、同施設で給食を出さないよう命じた。

介護報酬、減額っていいこと? 事業者・利用者への影響は

介護保険サービスを提供した事業者に支払われる「介護報酬」が、4月から引き下げられる。収入が減る事業者には「介護崩壊」への強い不安が広がる一方、介護保険料やサービスの利用料が安くなるのも事実だ。介護の現場にどんな影響があるのか。

 ■事業者 経営に打撃、サービス休止も

 介護報酬引き下げは事業者には打撃で、サービス休止を決めたところもでてきた。

 富山県内でショートステイ(短期入所生活介護)を運営する事業者は、3月末で事業所を休止する予定だ。ここ数年、競合する事業者が増えて赤字が続き、減額改定が決め手になったという。

 ショートステイの基本報酬は約5~6%下がる。この事業所は職員10人弱の人件費を支払うめどもたたなくなった。利用者は1日7~8人。食道や肺の機能が落ちて食事介助に2時間近くかかるなど介護度が重い人も多く、休止後の受け入れ先を探し始めた。「消費税を8%に上げたのは社会保障の充実が目的だったはずなのに」。運営法人の幹部は声を落とす。

 認知症グループホームも基本報酬が約6%下がった。仙台市などで複数のグループホームを運営する「リブレ」は、職員の処遇改善のための加算をのぞくと、一つのホームで年間約300万円の減収を見込む。夜勤体制の加算は新設されたが、人手不足のなか、宿直できる人を確保する見込みはたたず、加算を取るのは簡単ではないという。

 介護度が重い人への対応に手厚くする方針にも懸念の声がある。訪問介護事業などを手がけるNPO法人「ACT昭島たすけあいワーカーズ大きなかぶ」(東京都)の事務局長・牧野奈緒美さんは「事業者が介護度の重い人ばかりを優先し、軽い人が見捨てられるのでは」と危惧する。

 訪問介護につく新たな特定事業所加算は、利用者のうち要介護3以上や認知症の症状が進んでいる人が6割以上いれば、報酬が上乗せされる。ただ、大きなかぶの場合、利用者の7割は要介護2以下の人だ。「軽度の人の介護度が重くならないように支える、という視点が欠けている」

 改定の目玉の一つが、介護職員の給料アップのための処遇改善加算の拡充だ。1人月額1万2千円相当を上乗せできるようにすると国は説明する。認知症デイサービスやグループホームなど7事業を運営するNPO法人「暮らしネット・えん」(埼玉県)でも、4月からこの加算で職員の賃上げをはかる計画だ。ただ代表理事の小島美里さんは「加算はいわば『おまけ』。3年後の報酬改定で維持されるかもわからない。処遇改善のためのお金は基本報酬に入れるべきだ」と言う。

 ■利用者 負担は減少、質の維持に懸念

 利用者目線で考えると、また違う見方もでてくる。介護報酬が下がれば、65歳以上の高齢者や、40~64歳の人が負担している介護保険料は、いずれも抑制されるからだ。

 税や保険料から介護事業者に支払われる費用は、制度が始まった2000年度の3・6兆円から10兆円(14年度)に増加。65歳以上が払う保険料(全国平均の月額)でみると、2911円(00~02年度)から4972円(12~14年度)にまで上昇。10年後には、8200円程度まで上がると厚労省は予想する。

 65歳以上が支払う介護保険料は15年度から全国平均で5800円程度になると見込まれていた。それが介護報酬引き下げで230円程度値上げが抑えられ、5千円台半ばにとどまる見通しだ。

 また介護サービスの値段である介護報酬が下がれば、その原則1割を負担する利用料も連動して減る。

 ただし負担が減ればいいということでもない。介護をしてくれている事業者が経営に行き詰まったり、サービスが悪くなったりすれば、利用者やその家族にしわ寄せは向かう。いま介護が必要ない人でも、将来必要になったときに、利用できるサービスが減ってしまうかもしれない。結果として、家族の介護の負担が重くなり、高齢者の世話のために仕事を辞める「介護離職」などが増える恐れもある。

 (森本美紀、有近隆史、立松真文)

 ■国の狙いは? 介護度重い人の在宅支援強化

 厚生労働省は6日に2015年度~17年度の介護報酬の額を公表した。全体では2.27%の引き下げで、個別のサービスの値段も決まった。

 企業のもうけにあたる「収支差率」が高い特別養護老人ホームなどの施設に限らず、在宅サービスも含めて基本報酬は軒並み減額となった。一方、介護職員の給料増額にあてる加算は拡充。さらに認知症や介護度の重い人を支える「24時間定期巡回・随時対応型サービス」などの在宅サービスでは、様々な「加算」を手厚くし、加算を含めれば増収になるようにした。

 安倍晋三首相は18日の参院本会議で「質の高いサービスを提供する事業者には手厚い報酬が支払われることとしている」と述べた。

国公立大入試は4・7倍 昨年から0・1ポイント減

文部科学省は19日、今春の国公立大2次試験の確定志願者数が昨年より9874人減の47万4546人だったと発表した。募集人員に対する倍率は0・1ポイント減の4・7倍。

 国立大(82大学377学部)の志願者は34万4992人で倍率は昨年と同じ4・3倍。公立大(82大学174学部)は12万9554人で0・2ポイント減の6・3倍だった。

 文科省は「少子化が進んでいることが影響しているのではないか」としている。

 学部系統別では、人文・社会系が昨年と同じ4・6倍だった一方で、医・歯系が5・5倍、薬・看護系が5・6倍といずれも0・4ポイント減り、理工系で0・1ポイント減の4・4倍になるなど、理系分野が昨年より下がった。

 センター試験の成績で門前払いする「二段階選抜」は、前期日程で27大学41学部が実施し、不合格者は3692人。中・後期日程では19日までに16大学20学部で2380人が不合格となった。

 東日本大震災で被害の大きかった地域では、岩手大が0・5ポイント増の3・4倍、東北大が横ばいの3・3倍、福島大が0・6ポイント減の4・6倍だった。

 2次試験は前期日程が25日から、中期日程は3月8日以降、後期日程は3月12日以降に行われる。

平成26年度医療連携推進事業研修会の御案内

演題①『地域包括ケアと多職種協働』
   ②『高齢者医療・介護とかかりつけ医との関わり』

 1:日  時 平成27年2月25日(水) 18:30~20:40(受付18:00~)
 2:会  場 旭川市市民文化会館 小ホール
        旭川市7条通9丁目50番地 ℡0166-25-7331
 4:参加対象 医療・介護職関係者
 6:参加費  無料

口腔用スポンジブラシ使用後の洗浄・乾燥が付着歯数におよぼす影響

諸 言
 健康人における口腔内の清掃は、歯ブラシ、歯間ブラシやタフトブラシなどを用いてセルフケアにより実施される。しかし、周術期や要介護高齢者における口腔管理では、術前の歯科衛生士による機械的歯面清掃や、看護師ならびに介護士などの介助者による入院中の舌および口腔粘膜の清掃が実施される。
 特に口内炎が多発するがんや造血幹細胞移植時の患者等では、感染管理の面から口腔粘膜清掃が重要であり、その際には口腔ケア用スポンジブラシ(SB)が使用される。また、がんの周術期や要介護高齢者における口腔管理は、誤嚥による発熱や肺炎の予防につながり、全身管理のうえからも重要な項目として注目されている。
 これらの患者では、服薬による唾液分泌の低下や人工呼吸器の装着、経管栄養のチューブ装着などにより、口腔内が乾燥する場合が多く、唾液による自浄作用が低下することから口腔粘膜が汚れやすくなるため、SBによる口腔清掃が必要となる。SBは感染管理上、使い捨てとなっているが、現場では複数回使用する場合も見受けられる。そこで、本研究では、SB使用後のSBへの付着菌数を明らかにすること、およびSBの洗浄、水切りの有無、SBのキメの粗さ、さらに乾燥時間が付着菌数におよぼす影響を細菌学的に評価したので報告する。

 考 察
 SBは感染管理上、使い捨てとなっている。しかし、使用後の洗浄により、外観上、使用前のものと同じように見えることやコスト面から、SBを複数回使用する場合も見受けられる。しかし、SBはスポンジの構造上、小孔が多数存在し、使用後は口腔内の細菌が小孔内に残存することが予想される。SBに付着した口腔内細菌は、通常臨床現場で実施可能な条件として想定した洗浄および乾燥により、ある程度菌数が低下することが示されたが、完全に除去することはできなかった。また、分注水洗浄よりも流水洗浄のほうが10倍以上、付着菌数が低下したが、流水洗浄後でも104CFUレベルの菌数を検出した。
 洗浄後から4時間乾燥後においては、同様に流水洗浄のほうが付着菌数は低下したが、菌数レベルは103CFUレベルであった。十分な乾燥によるSBの付着菌数は、72時間後で、約103CFUレベルで検出され、完全に細菌を除去できなかった。
 2012年イギリスでは、繰り返し使用していたスポンジブラシヘッド部分の脱落による飲み込みのために窒息、それに伴う死亡事故が発生しており、口腔ケアに用いるスポンジブラシの繰り返し使用を禁止している。本試験における使用後のスポンジブラシの細菌学的な見地からは、感染リスクを高める可能性があることから、またスポンジブラシヘッド部分の飲み込みのリスクも加え、スポンジブラシの使い捨てを徹底することが重要である。

 結 論
 口腔用スポンジブラシの使用後の付着菌数は、洗浄や保管条件により低下するが、完全に除去することは困難であった。スポンジブラシの再使用は感染リスクを高めることから、使い捨てを徹底することが重要である。

医療的ケア必要な子を知って

1歳半の第2子は、小顎症(しょうがくしょう)を主としたハンディを抱えています。生後2時間で気管切開をして、生後6カ月で管から栄養を入れる胃ろうを施しました。いわゆる要医療的ケア児です。

 医療が発達し、新生児集中治療室(NICU)も増床・増設され、多くの命が助かるようになりました。我が子も約半年間、NICUでお世話になりました。しかし、退院した後の地域の受け皿が圧倒的に足りません。医療的ケアを行える人は法で定められているため、そういう人がいない多くの保育園は、第2子のような子どもは入れてくれません。

 こうした子どもの側にいると、心が傷つくことがあります。じろじろ見て逃げたり、逆に見ないようにしたりする人がいます。尋ねてもらえれば、説明して、理解してもらえるのにと思います。

 私自身も要医療的ケア児の生活は知りませんでした。でも当事者になって、夜も眠れず、ぎりぎりの状態で命と向き合っている母親がたくさんいると知りました。ケア制度の充実はもちろん大切ですが、まずは、医療的なケアが必要な子どもたちの存在をどうか知ってください。

過去ログ