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胃切除後のQOL悪化に摂食制限

2014年8月11日 ソース:専門誌ピックアップ カテゴリ:消化器疾患・一般外科疾患
文献:Lee SS,et al.Long-term Shifting Patterns in Quality of Life After Distal Subtotal Gastrectomy: Preoperative- and Healthy-Based Interpretations.Ann Surg. 2014 Jul 28. [Epub ahead of print]

 胃癌患者127人の生活の質(QOL)データを基に、幽門側胃部分切除術後の健康関連QOLの長期的変動パターンを検証。患者の術前データと、年齢/性別で調整した健常者127人のデータに基づく検証結果の両方で特定された持続的QOL悪化要因は、摂食制限と身体醜形懸念だった。経済的困難が術前時に確認され、術後も36カ月以上持続した。

摂取しやすい介護食を開発

ハウス食品は、介護ニーズに対応し、食べる力が弱くなった要介護者に適したゼリー状食品を開発した。喉ごしのよい食感により、たん白質など不足しがちな栄養素を無理なく摂取できる。在宅介護や介護施設での活用を想定し、スーパーなどの小売りチャンネルなどを通じ、18日から市場投入した。

 新開発の食品は、「やさしくラクラクケア たんぱく質5g果実のゼリー」。食欲が低下し、噛む力や飲み込む力といった食べる力の弱くなったヒトが食べやすい設計手法を導入した。食欲低下は、必要な栄養素の不足につながるため、同食品では1個65グラム当たり、たん白質5グラム、鉄3・5ミリグラム、亜鉛6ミリグラムを配合した。エネルギーは80キロカロリー。

 日本介護食品協議会が制定した自主規格「ユニバーサルデザインフード(UDF)」に適合させ、UFD区分3とした。区分3は、「舌でつぶせる」柔らかさのある食品となる。ラベルには同協議会のマークを表示。

 要介護者ばかりでなく、健常人の日常食としても利用できる。

歯科医が「顔のしわ取り」急増…厚労省は困惑

歯科医がヒアルロン酸注射による顔のしわ取りに参入する動きが広がっている。

 普通は美容医療だが、歯科診療の延長で口周りのしわ取りも治療メニューに加えるというもの。歯科医過剰の時代、他との差別化による生き残り策の一環というが、厚生労働省は「一般的な歯科治療ではない」と困惑、歯科医によるしわ取りの実態について情報収集を始めた。

 ◆医師が一般的

 ヒアルロン酸によるしわ取りは、一般的には美容外科医ら医師が手がける。保険の利かない自由診療で、医師が海外の製剤を個人輸入するなどして行う。

 ところが、輸入代行会社ウェルハート(東京都千代田区)によると、2、3年前から歯科医の注文が増え始め、ゼロだった輸入希望者は今や500人近く。同社が開く歯科医向け美容治療セミナーも、毎月開催するほど希望者が多い。

 7月に都内で開かれたセミナーには、歯科医5人が参加。座学と実技に熱心に取り組んだ。講師の美容歯科医、清水洋利さんは「歯科治療の延長上の選択肢として希望者に行うなら問題ない。技術的にも、麻酔で日常的に注射をする歯科医には向いている」と話す。

 参加した40代の男性歯科医は「入れ歯をインプラント(人工歯根)にして上唇の縦じわが残り、気にする人がいる。美容外科より気軽な歯科で治療できれば喜ばれる」という。

 ◆過当競争

 厚労省によると、医療施設で働く歯科医は2012年時点で全国に約10万人おり、人口10万人当たりの数は40年前の倍ほど。歯科診療所は約6万8000という過当競争の時代だ。

 そもそも顔のしわ取りは、歯科の診療領域なのか。関係者が根拠としているのは、厚労省の専門家会議が1996年、歯科の診療領域の一つに「口唇」を挙げたこと。解剖学的に口唇とは、唇だけでなく口周り全体を指すため、鼻の下やほうれい線のしわ取りも治療対象になるという解釈だ。日本歯科医師会も違法行為には当たらないとしている。

インプラント・院内感染対策・偶発症対策に関する情報提供

厚労省より日本歯科医学会に委託している歯科保健医療情報収集等事
業において歯科保健医療サービスに関する指針等がまとめられ、情報
提供されましたので、お知らせいたします。

現時点での日本歯科医学会としての指針等が示されており、Q&Aを含め、
大変明確で判りやすい内容ですので、患者への情報提供にもご活用くだ
さい。

※厚生労働省ホームページよりダウンロード可能です。
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/shi
ka_hoken_jouhou/index.html

北海道厚生局より

再生医療等の安全性の確保等に関する法律(再生医療新法)等に係る説
明会が開催されます。関係の方は申し込み、ご参加よろしくお願いし
ます。

日時:平成26年9月8日(月)14:00-16:30
場所:札幌第1合同庁舎2階講堂(札幌市北区北8条西2丁目)

説明会の詳細、申し込みなどはこちらから
http://kouseikyoku.mhlw.go.jp/hokkaido/iji/saiseiiryousetumeikai.html

再生医療新法の概要はこちら(厚労省PDF)
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikag
akuka-Kouseikagakuka/0000032904.pdf

中医協総会開催、議題は歯科鋳造用金属価格の改定、特別調査案など

7月30日(水)開催の中医協総会(第280回)で歯科用貴金属価格の一部に
ついて10月に改定することが了承された。貴金属価格は金や銀、パラ
ジウムなど素材価格の変動幅が告示価格の±5%を超えた場合に、6カ月
ごとに随時改定されるが、今回はパラジウムの高騰などを受け、歯科
鋳造用金銀パラジウム合金(金12%以上JIS適合品)など6つの価格を改定
する。歯科鋳造用金銀パラジウム合金は、今年4月改定時の告示価格
1,078円から1,190円に引き上げる。総会ではこの他、平成26年度診療
報酬改定の結果検証に係る特別調査(平成26年度調査)の調査票案につい
て協議された。 この中で、歯科診療所に対しては「歯科訪問診療の実
態調査」が提案されている。

詳細はこちら 厚生労働省ホームページ
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000051780.html

急増する「逆流性食道炎」 生活習慣改善で重症化防ぐ

毎日新聞社 2014年8月14日(木) 配信
どうすれば安全安心:急増する「逆流性食道炎」 生活習慣改善で重症化防ぐ

 ◇高脂肪食で胃酸が増加/暴飲暴食、夜型化も原因/ピロリ菌減った影響も

 「逆流性食道炎」で病院を訪れる患者が近年、急激に増えているという。我慢できないほどではないものの、胸やけや胃のもたれが頻繁に起きるのはつらいものだ。この苦痛から解放されるにはどうしたらいいのか。豊富な治療経験を持つ医師に、治療法や予防法などを聞いた。【小林祥晃】

 あるサラリーマン男性。50歳を過ぎたころから、油ものを食べたり、飲み過ぎたりすると、必ず胃がもたれ、胸やけするようになった。若いころは仕事も遊びもバリバリこなしていたのに、今は胃腸薬が手放せない。部下の指摘で、無意識のうちによく胸をさすっていることに気付いた――。

 どこにでもいそうなこのお父さん、逆流性食道炎の可能性が極めて高い。日本医科大千葉北総病院の消化器内科部長、岩切勝彦さんによると、他にも典型的な症状として、食事の1~2時間後に「みぞおちの上がチリチリする」「げっぷとともに口の中が酸っぱくなる『呑酸(どんさん)』がある」などが挙げられるという。

 さらに「胸が痛む」「のどの奥に違和感がある」「せきが出る」「声がかすれる」といった、一見胃腸とは関係なさそうな症状が出ることもある。岩切さんは「患者は近年、激増しています。消化器内科を訪れる4人に1人はこの病気。もはや国民病です」と言う。

 逆流性食道炎が起きる仕組みはこうだ。食道と胃のつなぎ目の周囲には「下部食道括約筋」という筋肉があり、健康な人ではこの筋肉が食道を締め、胃の内容物が食道に逆流しないよう「弁」の役割を果たしている。ところが、暴飲暴食やきつい服装の締め付けでおなかに負担がかかると下部食道括約筋が突然緩み、げっぷなどとともに胃酸や胃酸を含む内容物が逆流、食道がただれて炎症を起こしてしまうというわけだ。「水を飲むと一時的に酸が流れるのでスッキリする。そんな人はまず、逆流性食道炎を疑って間違いないと思います」

 それにしても、なぜ急増しているのか。岩切さんはまず、生活習慣の変化を挙げる。「現代人の高脂肪、高カロリーの食事は消化しにくく、結果的に胃酸の分泌を増やします。それに加えて、生活の『夜型化』が大きい。終電まで働き、寝る前にご飯を食べる、または深夜まで飲んでそのまま寝る、といった生活は最悪です」

 食べてすぐ寝ると、胃の内容物が上がってきやすいためかと思えるが、それだけではなかった。「人は起きている間、20~30秒に1回ゴクンと唾液を飲み込みます。飲み込んだ後には、食道に逆流した胃酸や食べた物などを胃に押し出すような食道の動きが起きるため、少々の胃酸逆流は押し戻されます。ところが寝ている間は唾液の分泌が抑制されているため、唾液の飲み込みが起こりません。その結果、食道の動きが出現せず、逆流が起きると長時間食道が胃酸にさらされる」。そんな生活を長年繰り返していると、いつの間にか重症化してしまうのだ。

 岩切さんがもう一つ指摘するのは、ピロリ菌のない人が増えていることだ。「ピロリ菌がいると胃粘膜が萎縮や炎症を起こし、胃酸の分泌が減ります。かつては『加齢とともに胃酸分泌は減る』と言われてきましたが、それはピロリ菌陽性の人が多かったから。現代は衛生的な生活でピロリ菌のいない人が増えています。そういう人は胃酸が減らないので、逆流性食道炎は今後も増えるでしょう」

 治療法は、胃酸分泌を強く抑えるプロトンポンプ阻害薬(PPI)の処方が一般的だ。軽症なら、1日1錠飲めば4、5日で症状が消える人がほとんど。ただ「薬をやめて再び症状が出るようなら飲み続ける必要がある」という。

 市販の胃腸薬にも「胃酸を抑える」とうたう薬は多い。「H2ブロッカー」という成分を含む薬がよく知られているが、岩切さんは「H2ブロッカーは就寝中の酸は抑えるが、食後の酸を抑える効果は低い。逆流性食道炎には病院でPPIを処方してもらった方がいい」とアドバイスする。

 重症になると、PPIが効かない患者もいる。その場合、まれに胃の一部を食道に巻き付けて逆流を防ぐ手術をするケースもある。

 食生活や生活習慣と関わりが深い疾患なので、注意すれば予防することができる。岩切さんは「脂っこい食べ物だけでなく、甘い物や辛い物など胃酸の出やすい食べ物を控え、腹八分目を心がけること。そして就寝2~3時間前には食べないことです。また肥満気味の人や姿勢が前かがみになりやすい人は、胃が圧迫されて逆流が起こりやすいので、腹部を締め付けない服装や、姿勢を良くすることを心がけましょう」。軽症の人は、これら生活習慣の改善で再発を防止できることもあるという。

 命に関わる病気ではないが、慢性的な胸やけは生活の質を落としてしまう。しっかり治療して健やかな毎日を送りたい。

北海道内の小中高生、食物アレルギー倍増 花粉症が関連か

道内の小中高生のうち食物アレルギーがある児童・生徒の割合は、9年前の前回調査と比べ、ほぼ2倍の8%前後に増えており、全国平均を大幅に上回っていることが、日本医師会や都道府県などでつくる日本学校保健会(東京)の調査で分かった。原因は特定されていないが、専門家はシラカバ花粉症との関連性を指摘。道教委はこの結果を踏まえ、対策強化を進める。

 調査は2013年度、全国すべての公立小中高校を対象に行われ、食物アレルギー症状があると把握している児童・生徒数について、小中高それぞれの割合を出した。前回調査は04年度。

 道内の食物アレルギーのある児童・生徒の割合(13年度)は、小学生7・7%(全国平均4・5%)、中学生8・5%(同4・7%)、高校生7・4%(同4・0%)で、前回調査(04年度)の小学生4・1%(同2・8%)、中学生4・2%(同2・6%)、高校生3・3%(同1・9%)と比べ、それぞれ約2倍に増えた。都道府県別では前回に続き今回も、小中高とも全国で一番高い。前回と比べた伸び率も高く、全国平均との差が開いた。

 一方、複数の医療機関によると、道内に多いシラカバ花粉症は、症状がある人の1~2割にリンゴやモモなどでアレルギー症状が出るとされる。オホーツク管内美幌町で6月末、小中学生ら94人が給食のリンゴを食べ、口のかゆみなどを訴えた事例があり、シラカバ花粉症のある子が反応したとみられている。

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