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口腔ケアと肺炎予防

肺炎の発症メカニズムには「口腔・咽頭の細菌叢」、「誤嚥」、そして「個体(患者)の抵抗力」が関与する。かねてより、看護や介護の現場では口腔ケアの実践によって、肺炎の発症を抑えうることが経験的に知られていた。しかし、その抑制率などについてはっきりとしたEBMが得られていたわけではなかった。そこで、Yoneyamaらは介入疫学研究によってその効果を明確に示した。この研究は、全国11ヵ所の介護老人福祉施設の入所者を対象に行われ、歯科医療者によって口腔ケアを積極的に行った口腔ケア群と今までどおりの口腔ケアにゆだねた対照群の間で期間中の発熱発生率、肺炎発症率、肺炎による死亡者数を比較している。その結果、25ヵ月間にわたって検討が行われ、肺炎の発症率を40%に減少させ、肺炎による死亡者数をも50%に減少させたことを示している。

平成26年度「親と子のよい歯のコンクール北海道大会」開催

平成26年度「親と子のよい歯のコンクール北海道大会」の最終審査会
と表彰式が7月11日(金)かでる2・7にて行われた。対象となったのは、
前年度道内で3歳児歯科健康診査を受けた約37,460名の親子で、各市町
村・保健所・保健センターから推薦された中から、書類審査で6組の親
子にしぼり、最優秀賞を競った。

最優秀賞は田村雪絵さん、羽菜ちゃん親子(岩見沢市)で「親と子のよい
歯のコンクール」全国大会に推薦される。

第67回北海道学術大会開催について

本年は、8月23日(土)、24日(日)の2日間、札幌パークホテルにて開催、
メインテーマは「健康長寿のためのCare & Cure」です。少子高齢化に
よる疾病構造の変化、一生を通じた健康管理と歯科医療サービスの提
供について考える良い機会であると思われます。

特別講演は以下の2題です。
23日 演題名:長期経過から振りかえる「咬合保全」
講 師:東京歯科大学臨床教授 東京都開業 宮地建夫 先生
24日 演題名:歯科医療は生涯メインテナンス
   講 師:大阪府開業 岡賢二 先生

本年は診療報酬改定があったので、社保講習会もあります。
23日 演題名:今後の歯科医療のあり方 ~平成26年度歯科診療報酬を踏まえて

講 師:厚生労働省保険局 田口円裕 歯科医療管理官

さらにセミナー、一般口演、ワークショップ、ポスターセッション、
テーブルクリニック等、明日の臨床に役立つ多くのプログラムを用意
しています。デンタルショーでは器材展示、歯科専門書籍の販売も行
われます。多くの皆様の参加をお待ちしております。

平成26年度 北海道・東北地区歯科医師会担当理事協議会から

7月19日(土)ホテル青森にて開催された。日歯 堀常務理事から最近の
診療報酬改定からみる歯科医療の将来像とのタイトルで時局講演。ま
た日歯 瀬古口常務より医療の安全という観点から、地域住民との信
頼関係・マスコミ対応等の講演があった。日歯 大久保会長より「国際
情勢の雲行きが怪しいが、公的保険抑制にめげずに日本の歯科医療を
守っていかなければならない」という主旨の挨拶があった。

免疫不全のサイン「口腔カンジダ」【研修最前線】

ステロイド投与時の免疫状態をどう把握するか。
数値化されたモニタリング指標がない中で、注目すべきことは。
国立国際医療研究センターエイズ治療研究開発センターの渡辺恒二氏が解説する。


ステロイド投与時の口腔カンジダ

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渡辺 では、SLEでステロイドを導入した症例7の経過を追っていきましょう。ステロイド開始3週目に入り、ここまでは順調にいっています。しかしここで実習生が朝、先生方に話しかけました。「カンジタがある」と。

 では対応はどうすべきでしょうか。カンジタの特効薬であるフルコナゾールを飲ませておけと答える。それからカンジタの診断のために培養をとりあえず取っておこうと言う。カンジタ菌血症も念頭に血培培養を指示する。食道病変のリスクを考えて上部消化管内視鏡をオーダーする。それとも、気持ちを新たにして身構える。さて、どのような対応が考えられるでしょうか。


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 答えはこんな感じです。フルコナゾールは別に飲んでもいいと思いますが、一番大事なのは、気持ちを新たにして身構えるということですね。好中球減少であれば血液検査で好中球を数確認できるのですが、ステロイド投与時、細胞性免疫不全の患者さんを診療する点で難しいのは、免疫状態を(血液検査の)数値では測れないという点です。ですから、予防のうがいでフロリードゲルを使用しカンジタを消してしまうと、それは免疫不全のサインを消してしまうことになってしまいます。繰り返しになりますが、最初の質問で提示した抗真菌薬でのうがいはあまり良いことはないということになります。


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 ステロイド投与時の免疫状態については、数値化されたモニタリング方法がありませんので、モニタリングが難しいのが実情です。どうやってモニタリングするかというと、カンジダのような口腔感染もそうですし、カリニ肺炎を発症した場合には(それだけ細胞性免疫が低下していることを意味しますので)他の日和見感染症を発症する率も高くなります。発症した日和見感染や reactivation されている病原体から免疫状態を類推します。

 一方で、ステロイドの総投与量や投与期間からどのような日和見感染症に注意すれば良いかある程度予想でき、各領域のガイドラインでは解説されています。それを参考にまずはステロイドを始める前から、どう診療していくか大まかに計画していくことも大事になります。

 たとえ無症状であっても、reactivation の血清マーカー測定や画像検査を計画する。早め早めに、何か出てくる前に、「これに今度は注意したほうがいいな」と考えていく。その心構えが大切です。

【北海道】北大研究費不正 59人関与…最終報告

北海道大は15日、少なくとも2004年度以降、教員59人が研究費の不正経理に関与していたと発表した。不正経理の総額は約5億3500万円に上る。架空発注で支払った物品代金を出入り業者に管理させ、後で引き出す「預け金」の手口が9割を占めた。

 北大は昨年11月、04年度以降に教員44人が計約4億8000万円の不正経理に関わったと発表。今回は調査最終報告として、新たに教員15人の約5000万円分の不正経理が判明した。今回の不正経理を含め教員56人について停職や出勤停止、訓告などの処分を行った。残る3人は退職した。

 教員59人のうち1人(元教授)は、1600万円以上の私的流用をした疑いがあるとして昨年6月に刑事告訴した。新たに判明した15人の中に、私的流用は確認されていないとしている。

 北大は15日、学内で記者会見し、山口佳三学長ら8人の理事が給与1か月分の10分の1を自主返納すると発表した。山口学長は「大学教員がこのような事態を招き、国民の皆様に深くおわびする」と頭を下げた。

 文部科学省の全国調査によると、13年11月末時点で、47の大学や研究機関で計約5億7500万円(154人分)の不正経理が確認され、うち北大分は約3億6500万円で、約6割を占めていた。

脂肪燃焼サプリ根拠なし 「千人成功」は水増し

「脂肪を燃焼させ、千人に1人しかダイエットに失敗しない」などとサプリメントの効果を宣伝したのは根拠がなく、景品表示法違反(優良誤認)に当たるとして、消費者庁は17日、東京都板橋区の通信販売会社プライム・ワンに、再発防止などを求める措置命令を出した。

 約千人が成功したとうたいながら、サプリを実際に飲んだモニターは164人しかいなかった。広告でやせたと体験談を語り、写真を掲載した女性たちも、実際はサプリを飲んでいないモデルだった。効能を証言した医師は実在しなかった。

 消費者庁によると、同社は2012年8月~13年1月に女性向け漫画雑誌2誌の広告欄で、サプリ「トリプルバーナー」を飲めば「余分な脂肪は1グラムも残さない」などと宣伝。含まれる成分に関する報告を消費者庁に提出したが、同庁はダイエット効果の根拠とは言えないと判断した。

 同社は10年2月から、この商品を1カ月分約1万円で販売し、これまでに約1億6千万円を売り上げた。「商品の信頼性が高まると思ってモニターの人数を増やし、存在しない専門家の話を載せてしまった。おわびし、再発防止に努めたい」としている。

永久歯が足りない! 10人に1人が先天欠如 放置すれば顔の変形も 「医療新世紀」

永久歯が何らかの原因で作られず、欠損してしまう状態は「永久歯の先天欠如」と呼ばれる。国内では、1本~数本の永久歯が生えてこない子どもが10人に1人程度いるとみられる。成長期に歯の欠損を放置すると、歯並びやかみ合わせの異常ばかりでなく、顎や顔の変形にもつながりかねない。治療には将来を見据えた長期的な計画が必要だ。異常に気付いたら、小児歯科や矯正歯科の専門医に相談したい。

 ▽大規模調査

 2010年11月、日本小児歯科学会が永久歯先天欠如に関するデータを公表し注目された。全国7大学病院の小児歯科が中心となり、07~08年に実施した国内初の大規模調査。虫歯などで歯科を受診した7歳以上の子ども1万5544人のエックス線写真を精査した結果、10・1%に当たる1568人(男子685人、女子883人)に先天欠如が見つかったという報告だ。

 研究代表者で、現在は同学会理事長を務める山崎要一(やまさき・よういち)・鹿児島大教授は「少ない数ではありません。小児期の重大な歯科疾患であることを社会に示しました」と話す。

 乳歯は上下合わせて20本。永久歯は親知らずを除いて28本あり、このうち20本は乳歯の代わりに生えてくる。胎児期から出生後9カ月までの間、「歯胚」と呼ばれる永久歯の"芽"が顎の骨の中で形成され、これが育って歯肉表面に顔を出す。ところが歯胚がもともと作られず、永久歯が生えてこない場合がある。先天欠如だ。

 ▽原因不明

 調査では、エックス線写真に歯胚が写っているかどうかを調べた。その結果、欠如は上顎より下顎に多くみられ、特に下顎の第2小臼歯の欠如率(左側3・26%、右側2・84%)が高かった。

 先天欠如の原因は、ごく一部の患者で遺伝の関与が認められる以外は解明されていない。栄養不足や退化など、さまざまな説があるが、いずれも根拠に乏しいという。原因が分からないから予防するすべもない。

 欠如の影響は深刻だ。乳歯が残っている間は問題ないが、乳歯の喪失後に欠損部を放置していると、周囲の歯が移動したり傾いたりして、歯並びやかみ合わせがどんどん悪くなる。

 食べにくさから欠損部とは反対側の歯ばかり使っていると、顎の骨や咀嚼(そしゃく)筋の発育にも影響が及び、顔がゆがんでしまうこともある。「大人と違って成長途上の子どもの骨は歯がない状態に適応して変形しやすい。欠損部には汚れがたまりやすいため、虫歯や歯周病のリスクも高まります」と山崎教授は解説する。

 ▽パノラマ写真

 先天欠如が見つかった場合に大切なのは、長期的な治療計画を立て、適切な時期に適切な治療を行うことだ。欠損があるからといって、むやみにブリッジやインプラントを施せば、成長過程の歯や骨をかえって傷めてしまう。いずれはこうした治療が避けられなくなるにしても、時期を極力先延ばししたい。そのためには、残っている乳歯を大事にしながら、歯並びやかみ合わせに異常が生じないように管理を続けることが重要だという。

 だが、先天欠如を治療できる歯科医は全国的に少ない。治療の多くは自費診療で、患者の経済的な負担も大きい。治療環境は十分ではない。

 また、現状では虫歯などの治療の際にエックス線写真を撮り、たまたま先天欠如が発見されるケースが多い。

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