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8020達成率は微増の51.6%

 令和4年歯科疾患実態調査の結果(概要)が6月29日に厚労省より公表され、8020達成者率は51.6%(前回平成28年調査では51.2%)だった。45歳以上で20本以上の歯を有する者の割合は、年代別にみると一部を除いて増加傾向で、男女別では大差ないものの45~49歳、55~59歳をのぞいて女性の方が高くなった。

 平均現在歯数をみると、平均20歯を保有する年齢群は70~74歳へと前回の65~69歳と比較し、より高くなった。


【歯科通信}

物価高騰による影響等への支援策など求める 令和 6 年度制度・予算要望書を西村経産大臣に提出

日本歯科医師会は 8 月 2 日、西村康稔・経済産業大臣を訪問して、令
和 6 年度制度・予算に関する要望書を提出し、物価高騰による影響等へ
の支援策などを要望しました。面談には、高橋英登会長、蓮池芳浩副会
長、瀬古口精良専務理事、太田謙司・日本歯科医師連盟会長が出席しま
した。
要望では、経済産業省において、既に健康長寿社会の実現に向けて、
従業員等の健康管理を経営的な視点で考えられ、戦略的に実践する「健
康経営」を推進しているとし、日本健康会議の「健康づくりに取り組む
5 つの実行宣言 2025」でも、宣言 3 で健康経営に取り組む企業等の増加
が掲げられていることに触れました。また、宣言 4 では「加入者や企業
への予防・健康づくりや健康保険の大切さについて学ぶ場の提供、及び
上手な医療のかかり方を広める活動に取り組む、保険者を 2,000 保険者
以上とする」とされていることにも言及しました。

歯科健診を職場で提供すると欠勤日数が改善

 東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 健康推進歯学分野の増子紗代 大学院生、財津 崇 助教、相田 潤 教授の研究グループは、職場における歯科健診は歯科受診による欠勤日数の低下と関連することを世界で初めて明らかにした。6月24日、国際産業衛生誌「ジャーナルオブオキュペーショナルヘルス」のオンライン版で発表された。

「研究のポイント」
☆職場で歯科健診を受けた人は、歯科医院で歯科健診を受けた人に比べて、歯科受診による欠勤が少ないことが明らかになった。
☆職場で歯科健診が提供されている場合、健康教育や歯科疾患の早期発見・早期治療により、欠勤が少なくなる可能性がある。
☆歯科健診を職場で提供すると欠勤日数の改善があるため、産業保健や健康経営の中に歯科保健を入れていく一つの論拠になりうる。


【山田 宏のデンタルマガジン-Evidence Check】

歯科衛生士在宅医療増で不足 県歯科医師会学生に修学金

山梨県内で、歯科診療の補助や歯科保健指導を担う歯科衛生士の不足が深刻化している。病気予防への関心の高まりや高齢化に伴う在宅歯科医療の拡大に伴い、7月の求人倍率は4・6倍に上昇。県歯科医師会は本年度、県内唯一の養成機関である県歯科衛生専門学校(甲府市)の学生の県内定着を促すため、修学資金の貸付制度を創設する。

 県歯科医師会によると、近年は糖尿病などと歯周病との関連が知られ、歯科衛生士による歯石の除去やフッ化物の塗布などを希望する受診者が増加。歯科医や歯科衛生士が高齢者宅などを訪れる介護保険の居宅療養管理指導の利用者も2023年2月は672件で、記録が残る19年7月(481件)より約4割増えた。

 業務の増加に伴い歯科衛生士が不足し、従来の地域歯科保健活動などにも影響。県歯科衛生士会の永井鈴美会長は「地域から口腔ケアの指導を頼まれても断らざるを得ないこともある」と明かす。

 県歯科医師会によると、歯科衛生士の求人倍率は、記録が残る16年度末は2・6倍だったが、上昇が続き今年7月は4・6倍になった。一方で、県歯科衛生専門学校の卒業生の県内就職率は22年度は95・3%だったが、20年度は80・4%、21年度は85・4%と安定しない。担当者は「給与水準が高く就職の選択肢も多い都市部を希望する人が出始めている」と説明する。

 県歯科医師会は県と協力して県内定着を促すため、同校の学生を対象とした修学資金の貸し付けを9月に始めることを目指す。貸与額は月3万6千円(年額43万2千円)で、1学年当たり8人。卒業後1年以内に歯科衛生士として就業し、県内の医療機関で5年間勤務することで返還を免除する。経済状況や学力面など貸与の選定には一定の基準を定める。本年度の対象者には4月までさかのぼって支給する。

 歯科衛生士は女性が多く、結婚や出産などを機に離職する人が多いことから、県歯科医師会は本年度、復職希望者らを対象にした研修会をスタート。座学と実習を通して最新技術を伝え、復帰の環境を整える。永井会長は「職場を離れている期間が長く、不安に思っている人は多い。今後も手厚い復職支援が求められる」と話した。

マイナンバー保険証の誤登録によるトラブルを6割以上の医療機関が経験。

マイナンバー保険証の誤登録によりトラブルが相次いでいることを受け、全国保険医団体連合会が全国の医療機関にアンケートを実施したところ、オンライン資格確認の運用を開始した医療機関のうち、6割以上がトラブルを経験していることが分かった。
 トラブルの種類としては「無効・該当資格なしと表示され、被保険者の資格情報が正しく反映されない」が64.8%、「カードリーダー等に不具合でマイナ保険証を読み取れない」が46.9%、「ICチップの破損などマイナ保険証自体の不具合で読み取れない」が20.5%だった。
 これらのトラブルに対し、医療機関側は「健康保険証で資格確認した」、「レセコンメーカーに連絡」「オンライン資格確認のコールセンターに連絡」、「保険者に連絡」などで対処。
 しかし、「健康保険証を持参していなかった」「コールセンターに繋がらない」、「レセコンメーカーにすぐに繋がらない」など、すぐに対応出来なかったケースが1282件にのぼった。

う蝕原因菌の約20%に、脳出血の悪化に大きな影響を及ぼす細胞接着因子が存在。

ライフスタイルの変化と高齢者人口の増加により、脳卒中患者は年々増え続けており、虚血性心疾患に次いで世界的な死因の第2位となっている。日本では、医療の発展により脳出血による死亡率自体はピーク時よりも低下しているものの、再発の可能性が高く、運動麻痺や知覚障害、失語症などの重い障害が残るケースも多い。
 今回、広島大学大学院医系科学研究科歯周病態学の研究グループがコラーゲン結合性タンパクCnmを持つう蝕原因菌S.mutansの歯内感染が、脳出血の悪化に強く関与することを、ラットによる動物実験で明らかにした。Cnm陽性S.mutansが歯内感染したラットは菌血症を起こし、神経症状悪化や炎症性サイトカイン量の上昇、脳出血スコアの上昇が認められたという。
 また、Cnmを持つS.mutansは細胞外基質、特にⅣ型コラーゲンに対して強く付着し、細胞への付着だけでなく浸潤においても強く関係することも分かった。

世界初、歯随炎の動物モデルを作製。歯髄保存療法の適応拡大に期待。

主に進行したう蝕に継発して生じ、激しい痛みを伴う歯髄炎。可逆性歯髄炎の場合は治癒が見込めることもあるが、不可逆性歯随炎の場合は歯髄保存療法の適応が難しく、従来は歯髄除去療法が第一選択となっていた。
 また、歯髄炎は正確な診断が難しく、可逆性と不可逆性の判別が困難なため標準治療の設定が難しいという課題もあった。そんな中、大阪大学歯学部の研究グループが歯髄炎の病態解明に取り組み、可逆性および不可逆性歯髄炎のラット動物実験モデルの確立に世界で初めて成功した。
 研究グループは、ラットにう蝕を誘発させ、その進行について詳細な画像解析を行った上、病理組織学的に解析。その結果、軽度のう蝕では歯髄にM2マクロファージが多く出現し、重度のう蝕ではM1マクロファージが多く存在することを見出した。

歯科衛生士の95%が転職経験あり。給与の現状維持以上が70%以上。

デンタルサポート株式会社が、全国の歯科衛生士8087人を対象に働き方やキャリアに対する意識調査を行ったところ、「離職経験あり」の回答は95%にのぼった。
 転職回数については、3回の27.9%が最も多く、2回の15.1%、1回の13.6%と続く。5回以上転職したという人も23.3%となり、改めて人材の流動性が高い職種であることがわかった。
 また、退職の理由については、結婚や出産のライフイベントをおさえ、「人間関係への不満」が11.1%で1位となった。職場内や対患者の人間関係が良好に保てているかどうかが、満足度や不満に大きく影響していることが伺える。
 転職後の給与の変化については、「大幅にアップした」「アップした」人が37.6%に上り、現状維持以上が70%を超える結果になった。

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