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夏遊びの栄養補給 水分編 塩分とビタミンCも一緒に

厳しい暑さはまだ続きそう。屋外で遊んだりスポーツを楽しんだりする時には、水分や栄養の取り方への配慮が必要だ。気配りのポイントを、2000年シドニー五輪陸上女子1万メートル代表で、管理栄養士の高橋千恵美さん(37)に聞いた。

 まずは水分摂取の注意点から。夏場はたくさん汗をかくので、体内から水分と一緒にナトリウム、カリウムなど体の機能を維持するのに必要な電解質も出てしまう。強い日差しに当たれば肌へ紫外線を浴びることにもなる。高橋さんは「水を飲むのはもちろん必要。さらに体の変化に対応した中身にしたいですね」と言う。基本的には「塩分とビタミンCを取る」ことを意識しておけばいいそうだ。

 塩分では電解質が補える。塩分の取り過ぎが気になる人も「食事では気をつけた方がいいですが、運動をしたり汗をかいたりする時は適度な塩分を取りましょう」と高橋さん。厚生労働省は熱中症予防のため0・1~0・2%の濃度の塩分を含んだ水分を薦めている。

 紫外線を浴びた肌にはビタミンCがいい。メラニン色素の生成を抑え、抗酸化作用もある。手軽なのはレモン。「疲労回復に効くクエン酸も含まれているのでお薦めです」

 水分は小まめに、少なくとも20分おきには取ろう。「のどが渇いたと感じる時はすでに脱水症状が始まっています。その前に早め早めに飲みましょう」

 高橋さんに夏向きの手軽に作れるドリンクを教わった。材料は水500ccに対して、レモン半分、砂糖大さじ2、塩小さじ4分の1。これで塩分の濃さは0・2%程度だ。ふたがきちんと閉まる容器にレモンの搾り汁と他の材料を入れて混ぜるだけ。塩が溶けにくいので、しっかり振る。簡単で子供でも作れる。

 味は市販のスポーツドリンクに似て口当たりが良い。冷やした方がおいしいが、ぬるくても味は変わらないので外出時に持っていくのもいい。「レモンの量や塩加減はお好みで。暑くて汗が多く出る時は塩を少し濃いめに」

 水分摂取のためには、もちろん他の飲み物も飲んでいい。高橋さんは現役選手時代に貧血気味だったため、お茶を飲む時は鉄分の吸収を妨げるカフェインが入っていないものを常備したそうだ。「お茶屋さんで多くの種類を売っていますし、麦茶もノンカフェインです」。いろいろ試して自分のお気に入りを探すのもいい。

夏遊びの栄養補給 食事編 速やかに牛乳など口にして

夏場に屋外で遊んだりスポーツを楽しんだりする時は、水分や栄養への気配りが欠かせない。2000年シドニー五輪陸上女子1万メートル代表で管理栄養士の高橋千恵美さん(37)に、栄養面での注意点を聞いた。

 厳しい暑さの中で体を動かした後は、疲れて食欲が落ち、食事を後回しにしてしまう人も多いだろう。だが高橋さんは「体が消耗しているので速やかな栄養補給が大事。少し食べるだけでも回復具合が違います」と言う。

 そんな時に高橋さんが薦めるのが、牛乳、ヨーグルト、チーズなどの乳製品。とりあえず、たんぱく質を多く含み、のどを通りやすい物を口にするといい。フルーツや、かんきつ系の果汁100%ジュースもビタミンCが取れる。子供に「晩ご飯が食べられなくなるからダメ」などと我慢させず、適度な量を食べさせよう。

 運動中の補給に適しているレモンは、運動後にもいい。特に、おなじみのレモンの蜂蜜漬けは、ビタミンCや糖分の補給ができて理にかなっている。「皮にもビタミンCが多いので、ぜひ一緒に。硬さが気になるなら刻んだり、すりおろしたりして」。厚めの輪切りにすると、食べる時によくかむことで食欲も誘う。蜂蜜はレモン全体がかぶるくらいの量を。冷蔵庫で1週間あまり保存できるので、作り置きも可能。汁を水や炭酸水で割って飲んでもおいしい。

 少し体を休めたら食事をとろう。食欲が戻りきっていないと用意が面倒で、内容もあっさりになりがち。だが、疲れた時こそきちんと食べたい。高橋さんのお薦めは、野菜や芋などあり合わせの材料を煮たスープ。「簡単に作れて食べやすく、栄養のバランスも良い。ご飯や卵を入れればリゾットにもなります」。定番のそうめんにも野菜やハム、炒めて好みの味をつけたひき肉などを添えると、味の幅も広がり食が進む。

 高橋さんは陸上選手を引退後、5年間の学校の事務職を経た後に聖徳大(千葉)に通って栄養学を学んだ。選手時代に夏でも毎日厳しい練習があり、「体を元気な状態に保つため、水分補給や栄養の大切さを実感した」のが動機という。スポーツ選手でなくても体の中から元気でいたいもの。ちょっとした気配りで夏を乗り切ろう。

『は、は、は、歯のおはなし、歯科詩集』  待合室に素敵な一冊 いかがですか?

漫画家、作詞家、詩人でもあり、アンパンマンの原作者としても有名な、
やなせたかし氏が、季刊『詩とファンタジー』に連載した「歯とファン
タジー」を中心に、新作を加え単行本化したユニークな詩画集です。本
年6月にかまくら春秋社から発行されたもので、内容は霊長空隙や、ア
ンデルセンの歯痛、8020運動などを題材とした楽しく、ためになる詩と
挿絵が65ページにわたり、満載されています。巻末には日歯大久保会長
との対談、また、付録として大久保会長が監修した『詩』と『歯』の豆
知識 Q&Aも収載されています。やなせ氏は1919年生まれで、90歳を超え
ていますが、まだ、自分の歯も残っているとのことで、対談の中でも歯
に対する思い入れを強く語られています。それらが詩画に反映されてい
るようです。この素敵な本、皆さんの歯科医院の待合室に一冊、書斎の
本棚にももう一冊、 いかがですか!

倒産した医療機関の数、4年ぶりに増す

東京商工リサーチの調査(7月11日発表)によれば医療機関の倒産件数
が4年ぶりに増加したことが明らかになった。全国の医療機関のうち、
今年の1月から6月にかけて倒産した件数は20件で、昨年度の同じ期間
においては15件だったため、5件ほど増えたことになる。倒産の内訳と
しては、病院が4件、一般の診療所が10件、歯科診療所6件だった。倒
産の理由については、経営主体の破産が16件で最多となっている。一
般診療所では10件のうち9件が、歯科診療所では6件すべてが破産によ
る倒産だった。このうち再建を目指す「民事再生」は病院の1件のみで
ある。医療機関の1月~6月の上半期の倒産は2009年の39件がピークだ
ったため、増加したのは4年ぶり。なお、負債総額は80億9000万円。
札幌市でも7月26日に中央区で業界大手の医療法人 歯科診療所が事業
を停止し、自己破産の方向での処理に向かっている。こちらの負債額
は約1億円とのことである。

虫歯が多く放置されている子はネグレクトの可能性がある!?

岡山県教委と県歯科医師会は、虫歯の数などでネグレクト(育児放棄)があるかどうか判断して、児童虐待の未然防止を図る取り組みを進めている。ネグレクトを受けている子どもの多くは虫歯の治療を受けていないため。小中高校で毎年行う歯科検診の結果などを踏まえ、総合的に「虐待の可能性あり」と判断した場合、学校は児童相談所などに通告する。

 東京都が2003年にまとめた調査結果によると、虐待を受けている児童1人平均の虫歯の数は、11歳児で4・2本(一般児童1・6本)、12歳児は6・9本(同2・2本)で、その数の多さが顕著となっている。

 県歯科医師会は「口腔内環境は子どもの生活習慣や保護者の育児姿勢を表す指標。ネグレクトを疑う重要な手掛かりにもなる」と指摘する。

 岡山県では、07年度から「歯・口の健康診断の手引き」で虐待への対応を規定して実施。4~6月に行っている歯科検診で、口腔への外傷や10本以上の虫歯、前年度から治療されていない重度の虫歯がある児童生徒は、診断票の所見欄に印を付けて養護教諭や担任に伝えている。

 県内のある小学校歯科医は「教諭への報告対象となる児童は1クラスで1人の割合でいる。対象児童が仮に学校全体で10人いたとすれば、そのうち半数はほぼ全ての歯が虫歯で、特に注意が必要」と話す。

 学校はこうした結果を踏まえ、生活リズムや服装の乱れ、家庭訪問時の状況なども加味して「保護や支援が必要」と判断すれば児童相談所、市町村に通告する。

 県教委保健体育課は歯科検診について、「暴力による虐待と違って傷が残らず、静かに進むネグレクトを知ることができる重要な機会」とする。県歯科医師会の平岩弘常務理事は「注意深く検診に当たり、学校との連携を強化して早期発見を図りたい」と話している。

災害と歯科医師

 日歯において、かつては警察歯科分野の取組みが中心的であったが、平成21年度に災害時対策・警察歯科総合検討会議が設置され、大規模災害時における歯科保健医療対策が新たな課題として加わった。その背景の一つに、平成7年の阪神・淡路大震災において、避難所等での死亡原因として肺炎、とりわけ誤嚥性肺炎が多かったことから、高齢者等の健康支援のための口腔ケアの重要性が顕在化したことがある。
                                日歯広報 2013.8.5

誤嚥性肺炎「経験的な抗菌薬を」

臨床賛否両論「誤嚥性肺炎『すぐ抗菌薬』必要か」では、誤嚥性肺炎に対して、経験的な抗菌薬の投与を必要と考えるかを投票で聞いた。回答医師の6割が必要と回答しており、多数を占めていると分かった。

 投票者数は772人(投票期間2013年7月26日-8月1日)。「誤嚥性肺炎『すぐ抗菌薬』必要か?」との問いに対して、「必要である」と回答した医師が63%と多数に上った。「不要である」と回答した医師は15%にとどまった。「どちらとも言えない」と回答した医師は21%だった。

骨粗しょう症の診断基準改訂 寝たきり予防へ早く治療を

 転倒などの衝撃を受けたことも痛みもない。なのに、いつの間にか背骨が折れていた…。そんなありそうもないことが、高齢女性に多い骨粗しょう症では珍しくない。それ自体も不都合だが、より怖いのは、寝たきりに直結する、次の骨折のリスクが跳ね上がることだ。日本骨代謝学会などは今年、骨粗しょう症の診断基準を約12年ぶりに改訂した。狙いの一つは、こうした「隠れ骨折」を少しでも早く治療につなげることだ。

 静岡県の女性(69)は定期健診で「骨密度が低い」と指摘され、浜松市の聖隷浜松病院を訪れた。活動的な生活をしており、自覚症状は何もなし。しかしエックス線検査で、背骨の一部分がつぶれる圧迫骨折が見つかった。骨密度は若年成人の40%。骨粗しょう症でもろくスカスカになった背骨が、上半身の重みで押しつぶされたのだ。

●痛みがない

 診察した同病院骨・関節外科の森諭史部長によると、こうした背骨の骨折は女性の場合、60代後半から増えてくる。「長期間かけて徐々に骨がつぶれるため、3人に2人は痛みがない」という。

 この女性は、骨を丈夫にするカルシウムやビタミンDを食事で多めに取る、適度な運動をするなど、生活改善の指導を受けた上で、骨を強くする薬剤の服用を始めた。「つぶれた骨は残念ながら元の形には戻らないが、治療によって新たな骨折の危険は確実に減らせる」と森さんは話す。

 骨粗しょう症は、骨を「作っては溶かし、また作る」という新陳代謝のバランスが老化などで崩れ、溶かす方が優位になり起こる。国内の患者数は閉経後の女性を中心に推定1280万人。

 背骨、手首、腕の付け根、股関節の4カ所が折れやすくなることが知られているが、特に股関節の骨折は歩行が難しくなって寝たきりに直結する恐れが強いため、いかに防ぐかが大きな課題だ。

 対策の基本は食事と運動。知らないうちに症状が進行していることが多く受診は遅れがち。治療を受けているのは200万人程度にとどまる。

●リスク3~5倍

 海外の研究によれば、背骨の骨折があると、その後に股関節を骨折するリスクは3~5倍に急増する。背骨の骨折を少しでも早く見つけて治療につなげれば、少なくとも寝たきりの予防に役立つと期待されている。

 冒頭の女性のように外見からは骨折が分からないケースもあるが、背骨の前方がつぶれるため、背中が丸くなる人が多い。内臓が圧迫され、胃酸などが逆流して食道に炎症が起きる「逆流性食道炎」になる人もいる。

 今年1月に公表された骨粗しょう症の新しい診断基準は、背骨に骨折が見つかったら直ちに骨粗しょう症と診断し、治療を始めるべきだとした。診断基準改訂の中心になった宗円聡・近畿大奈良病院教授(整形外科)は「身長が2~3センチ縮んだら、老化などと片付けず、ぜひ整形外科で受診を」と話している。

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