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薬学会も6年制薬剤師に期待

 昨年は東日本大震災の影響で中止を余儀なくされ、実質2年振りの開催となる日本薬学会第132年会のテーマは「創薬フロンティアが拓く未来医療」となった。組織委員長を務める松田彰氏は、「薬学研究が創薬の最前線で今まで以上に活躍し、これからの医療に積極的に貢献することを目指すことを特徴として打ち出したい」と意欲的だ。その目標に向けて大きく期待されるのが6年制薬剤師で、西島正弘会頭も「初の卒業生は6年制のパイオニアとして活躍してくれるはず」と力を込める。その一方で「6年制教育は医療人としての薬剤師育成に力を入れているため、大学の研究環境は悪化している側面もある」との懸念も示す。その懸念からか今回の学会では、「6年制教育プログラムの第三者評価」と「実務実習モデル・コアカリキュラムの検証」の2つのシンポジウムが組み込まれた。本紙も開催地となる札幌まで出向き、これらのシンポジウムに耳を傾けることとする。

優良診療・健全経営のための第2回医療管理講習会

3月24日(土)午後2時より道歯会館2階大講堂において、「明るい未来への歯科医院再興術」と題し標記講習会が開催された。講師は第1回に引き続き、東京都杉並区開業井荻歯科医院の高橋英登院長で、今回は医院活性化に直結するスタッフマネジメントの極意や、実際に行っている継続的予防管理などについて講演した。また「自ら稼ぎ出せる衛生士を目指して」と題し、井荻歯科医院のスタッフである角田裕美歯科衛生士による講演も行われ、会員やスタッフが参加し聴講した。最後に座長の金井副会長より「経営を安定する極意は?」
との質問に高橋氏は「仕事が好きになることです。私は一日14時間
も働いていたことがあり、それは、この仕事が好きでなくてはでき
ません」と答えた。

無資格麻酔で起訴猶予処分 千葉県がんセンター医師ら

千葉地検は26日、資格のない麻酔をしたとして、医師法違反(無資格医業)容疑で書類送検された千葉県がんセンター(千葉市)の手術管理部長(47)と歯科医師(38)を起訴猶予処分にした。患者への実害がなかったことなどを総合的に考慮したとみられる。

 歯科医師は2010年5月から4カ月半の間に、がん患者10人の外科手術の際に資格のない全身麻酔をしたなどとして、部長は適切に指導しなかったとして、昨年7月に書類送検された。

 中川原章(なかがわら・あきら)センター長は「真摯(しんし)に受け止め、安全な医療の提供に努力する」とコメントした。

虫歯菌で大腸炎リスク4倍 難病治療に期待、大阪大

虫歯の原因となる「ミュータンス菌」の一種に感染すると、腹痛や腸内出血などを繰り返す難病の潰瘍性大腸炎となるリスクが4倍以上になることを、大阪大や横浜市立大、浜松医科大などのチームが突き止め、26日付の英科学誌サイエンティフィック・リポーツ電子版に発表した。

 潰瘍性大腸炎の原因は、体内の免疫異常などとされるが、はっきりしていない。大阪大の和田孝一郎(わだ・こういちろう)准教授は「原因の一つが分かったので治療法の開発につながるかもしれない。一部の患者では口を清潔に保てば症状が改善する可能性もある」としている。

 チームは「コラーゲン結合タンパク質」を持つなどする特定のタイプのミュータンス菌を、薬剤で軽度の腸炎を発症させたマウスに注射した。すると腸炎が悪化し、注射しない場合の生存率が約7割なのに対し、注射すると約2割に減った。

 注射したマウスを調べると、肝臓に菌が取り込まれ炎症に関連する物質が作られていた。免疫異常の引き金とみられる。

 潰瘍性大腸炎患者98人の調査では56人がミュータンス菌に感染。うち約14%が特定タイプで、発症リスクは健康な人の4・55倍になった。

 この菌をマウスの口から与えても影響しないが、比較的少量でも血中に入ると腸炎が悪化し、生存率が下がった。歯磨きでできる小さな傷にも注意が必要という。

※潰瘍性大腸炎

 出血性の下痢や腹痛などを繰り返す炎症性疾患。難病情報センターによると、国内に11万人以上の患者がおり、毎年8千人ずつ増えている。腸内細菌や免疫の異常、食生活の変化などとの関連が指摘されている。ステロイド剤などの薬剤で炎症を抑える治療が主。重症の場合は大腸の全摘出などの手術が必要になることもある。

薬の色、医療者と患者で認識にズレ

「この薬、何色だと思いますか?」

 白いPTPシート(錠剤を押し出すタイプの包装)に包装されたピンクの錠剤の写真を見せながら、澤田は、医療者と患者にこんなアンケート調査をしたことがある。
 医療者では「ピンク」、患者では「白」と答えた人が多かった。「薬の色」を考えるときに、医療者が想像したのは錠剤自体の色だったのに対し、患者が想像したのは、視覚に入る面積の大きいPTPシートの色だった。澤田が医療者と患者の「視点の違い」を強く実感した事例の一つだ。

 もしも、医療者と患者で、薬の色に対する認識にズレが生じていたら-。
 「白い薬があんまり効いていない気がするんです。もう少し増やせませんか?」というような患者の何気ない一言が、医療者にきちんと伝わらない可能性もある。
 澤田が立ち上げに携わった東大大学院薬学系研究科医薬品情報講座では、こうしたデータや事例を、薬剤師や医師、患者から集め、コミュニティーサイトを通じて情報発信している。

歯みがき中は歩かないで

子どもが歯みがき中に歯ブラシでけがをする事故で、年間平均40人前後が救急搬送されていることから、東京消防庁が注意を呼びかけている。同庁によると、2010年までの5年間で、5歳以下の乳幼児217人が救急搬送された。
 事故を防止するには、歯ブラシを口に入れたまま歩いたり走ったりさせず、歯みがきに集中させることや、椅子や踏み台の上など不安定な場所でさせないことなどが大切という。同庁では「歯ブラシの使用について、保護者らの十分な注意が必要」と話している。
                 朝日新聞 2012.1.28

歯周病 全身に悪影響 動脈硬化促進、認知症発症も

歯と歯茎の間にたまった歯垢で増殖した細菌によって炎症が起きるのが歯周病だ。口内に限定した病気のイメージが強いが、糖尿病のほか動脈硬化、肺炎など多くの病気との関連性が高いことが分かってきた。専門家は「歯周病は全身に影響を及ぼす感染症」と注意を呼び掛ける。
 動脈硬化が脳血管でも進行して脳血管性認知症を引き起こす。また歯周病が進行すると歯を失うため、かむことによる脳への刺激が減って、認知症が速く進みます。歯周病の予防策について歯周病菌が増殖する歯垢を歯磨きで地道に取り除くしかない。回数は食べかすが歯周病菌の餌になるので、できれば毎食後が望ましい。
 また若いときからの習慣化も大切だ。歯磨きを怠っていても、若いと抵抗力があるので歯周病になりにくいが、年を重ねると抵抗力が落ちて歯周病が急激に進む場合もあるという。歯垢が固まった歯石も歯周病菌が繁殖するので除去が大切だ。ただし、歯石を自分で取り除く人もいるというが、歯茎を傷つけて逆に悪化させる可能性もあります。自身で取ることは避けてください。
 また歯と歯の間などのように、歯磨きだけでは汚れが落ちにくい部分もあるため、歯科で定期的にクリーニングや歯石除去してもらうことを勧めます。
                 北海道新聞 2012.1.8

舌の異常についての質問

Q70歳女性。1年前から舌に苦み、渋みを感じるようになりました。今は苦味の方が強く、舌の右側で感じ、ひりひりします。また半年前から唾液が増え、最近はとろみもあります。血液検査では栄養は問題ないそうです。睡眠剤や抗不安薬を時々服用しています。

<回答> 北大病院歯科診療センター口腔外科 山崎裕さん
 ご質問の方は、食事とは関係なく口の中に苦味や渋味を感じ、舌の痛みや唾液の異常感を伴っている状態思われます。このように口内には何もないのに常に苦味など特定の味を感じる患者さんを、私たちは時々経験します。詳しい診察や、いろいろな検査を行っても原因が見つからない場合も多く、難治性で、カビの一種であるカンジダが原因となっていることや、ストレス、心の問題が関連していることもあります。
 カビが原因の場合はカビに効く薬、心の問題では少量の抗うつ薬で症状が改善する場合も多くあります。口腔内科や口腔外科を受診して、口腔内の診察とともに、カンジダ検査、味覚検査や唾液分泌検査を行い、実際に味覚や唾液の分泌に異常がないかを確認してもらうとよいでしょう。併ねて、ストレスがないかもチェックしてもらうのがよいと思います。
                 北海道新聞 2012.3.14

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