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口内炎 ④ がん治療時の口腔ケア重要に

口内炎は、がん患者が抗がん剤や放射線治療を受けているときに頻繁に起こる副作用の一つだ。単発的なアフタ(浅い潰瘍)とは異なり、口の中の広い範囲が赤く腫れ、痛みも強い。潰瘍からの出血で口の中に血の塊ができて舌がうまく動かせなくなり、食事はもちろん会話もままならないがん患者もいるという。抗がん剤治療を受ける患者の4割、骨髄移植治療のため大量に強い抗がん剤を投与される患者の8割が口内炎を発症する。
                                   毎日新聞 2010.1.13

チームの力で“食べる力”を引き出す

回復期病棟に勤める看護師Kさんは、あるとき脳梗塞の男性患者さんを担当することに。その方は嚥下障害が見られ、食事はペースト食でした。しかし、そのペースト食をほとんど食べません。Kさんが心配して理由を尋ねても、「食べる気がしない」と小さな声で答えるだけです。じつはこの患者さんは脳梗塞で倒れてから、うつ状態になっており、精神的にも落ち込んでいたのでした。
“口から食べて、元気を出してほしい”と願うKさん。ある日、お見舞いに来た奥様と病室でお話をしていたときのことです。「元気だったときはお芋が好きで、コロッケならいくつでも食べたのに」と奥様がポツリといわれました。
「もしかしたら、コロッケなら食べてくれるかもしれない」
そう思ったKさんは、さっそく栄養士に相談。話を聞いた栄養士は、見た目はそのままで、嚥下しやすく調理した特製コロッケを作ってくれました。しかしこれだけでは、本当に安全に食べられるか不安があったKさん。今度は歯科へ相談に行きました。歯科では患者さんの入れ歯を調節してくれ、さらに動きが鈍っていた舌のストレッチ法を教えてくれました。
舌のストレッチを取り入れた口腔ケアを続けて数週間。嚥下テストをしてみると、食塊の送り込みや嚥下の機能が少し回復していたのです。これなら大丈夫と思ったKさんは、担当医師のもとへ。許可をもらって、栄養士が作った特製コロッケを患者さんに出してみました。
目の前にコロッケが出てきた瞬間、大きく目を開いた患者さん。食事介助をしていたKさんは、その表情を見て“これはいける!”と思ったそうです。患者さんがコロッケをゆっくり嚥下すると、その様子を見守っていた医師、栄養士、歯科衛生士から一斉に笑みがこぼれました。一人の患者さんを専門職が力を合わせ支えている。このときは心から、チーム連携の素晴らしさを実感したとKさんはいいます。

口内炎 ③ 長引くときは医療機関受診を

口の中にはすぐに治るアフタ(浅い潰瘍)しかできないと思っている人が意外と多い。いつも「単なる口内炎」と思いこんで安心してはいけない。「ほおの口内炎が治らない」と訴えてきた患者がいた。この患者は依然、アフタができて医療機関を受診したときにステロイドの入った軟こうを処方され、すぐに治ったことがあった。今回も同じだろうと思い、残ってきた薬を1ヶ月ほど使い続けたが、実は口腔がんで進行した状態だった。がんに限らず、長引いたり繰り返しできる口内炎は、深刻な病気が原因であることも多い。
                                  毎日新聞 2010.1.12

口内炎 ② 単発の浅い潰瘍 うがいと薬で対応

 アフタ(浅い潰瘍)が単発的にできる口内炎(孤立性アフタ)の多くは原因が不明で、確率された予防法はない。孤立性アフタの多くは、何も治療しなくても、1週間から10日程度で治る。ただし、数日間は舌や食べ物などが患部に当たると強い痛みがある。自分でできるケアはアフタのある場所をできるだけ刺激しないことと、口の中を清潔にすること。しみて歯磨きができないときは、うがいだけでもする。汚れを洗い流すことが目的なので、必ずしもうがい薬を使う必要はない。うがい薬や冷たい水道水がしみる場合は、ぬるま湯を使う。
                                  毎日新聞 2011.1.11

口内炎 ① 全身の健康状態のバロメーター

口内炎が痛くて食事も満足にできないなどの経験のある人は多いだろう。激しい痛みの割には1週間程度で治るものが大半だが、舌がんなど深刻な病気が隠れていることもある。口内炎は、口の中の粘膜の炎症一般を指す言葉で、症状や原因はさまざまだ。主な症状には、潰瘍・びらん(浅い潰瘍)、水疱(水ぶくれ)、紅斑(盛り上がらずに赤くなっているもの)、白斑、血腫などがある。                      
                   毎日新聞 2011.1.10

町の薬局で糖尿病を無料チェック- 早期発見プロジェクト

糖尿病を患う人が増加の一途をたどっている。国内の患者数は昨年、1000万人を突破したともいわれ、「成人の10人に1人が糖尿病」の時代になった。深刻な合併症を回避するには、やはり早期発見がカギを握るが、多くの人は、自覚症状のないまま病気を進行させてしまっているのが現状だ。こうした中、「身近な地域の薬局で、気軽に糖尿病の血液検査をしてみよう」というユニークな試みが東京都足立区内で行われている。新たなアプローチで糖尿病の早期発見を目指すプロジェクト「糖尿病診断アクセス革命」をリポートする。

■検査のハードルを下げる「医薬連携」
  「糖尿病が心配な方、朗報です!」―。綾瀬駅から歩いて数分、「あやせ薬局」(飯泉千春代表取締役)の入り口に、こんな張り紙が見えた。駅前商店街の一角で調剤も行う、いかにも「町の薬屋さん」らしい店構え。「糖尿病診断アクセス革命」は、こうした地域の薬局で糖尿病の診断基準の一つ「HbA1c(ヘモグロビンA1c)値」を無料測定できることが、一番のポイントだ。

 このプロジェクトは、東大と足立区医師会、区薬剤師会、地域の糖尿病対策を推進するNPO法人ADMS(アダムス)の共同研究事業として、昨年10月にスタートした。HbA1c値の簡易測定機器を区内9か所の薬局に設置。指先からの微量採血で、すぐに結果が分かる。糖尿病検査のハードルを下げることで、より多くの未診断患者や予備群の発見と治療につなげようとの狙いで、「医薬連携」の取り組みになっている。

重症者は脳や血管に負担 いびき/2

「あなたもいびきをかくのでは?」。国立病院機構福岡病院の中野博・睡眠センター長は記者(33)を見て言い当てた。身長173センチ、体重65キロ。あごは細めで「標準体形」を自任してきたが近年、おなかが出てきた。就寝時は別室に避難する妻の観察によると、睡眠時無呼吸症候群(SAS)ではないようだが、中野センター長は「音の強いいびきはそれだけで要注意」と警告する。

 中野センター長によると、SASを発症していない88人を、いびきの音の強弱で4段階に分けて調べたところ、最も弱いレベル1は就寝前と起床時の血圧に差がなかったのに対し、レベル4は起床時に13%上昇した。別の調査では、いびき重症者は軽い人より脳に血液を送る頸(けい)動脈に動脈硬化が起きる確率が3倍に増えた。

 いびきによる呼吸は、睡眠時に舌やのどの筋肉が緩み、舌根(ぜっこん)が沈み込んで気道咽頭(いんとう)をふさぐため、細いストローでするようなもの。専門家は「努力呼吸」と呼び、強い音は努力が激しい証拠だ。睡眠中も盛んに心臓が働き続ける上、血中の酸素飽和度が繰り返し下がるので脳や血管に負担がかかる。

 体形もカギになる。首やのどに脂肪がつく肥満は一大因子だが、細身でもあごが小さいと舌が収まらず気道に落ち込みやすくなる。あごの細いスリムな人が中年太りすると黄信号だ。

 いびきが強いほどSASを発症する傾向も高まるという。中野センター長は「家族が眠れないような音なら早めに治療を」と呼びかける。=つづく

今季のインフル死亡例、約半数が高齢者- 厚労省が疫学情報

厚生労働省は2月10日、今シーズンのインフルエンザ患者の死亡例や重症例についてデータをまとめた「医療従事者向け疫学情報」をホームページ上で公表した。それによると、死亡例の約半数が65歳以上の高齢者だった。厚労省では「高齢者に死亡例の多い季節性のパターンに近づきつつあることが示唆される」としている。
 厚労省では、2009年8月3日―昨年3月23日を昨シーズン、昨年9月6日から今年1月30日までを今シーズンとして、疫学情報を分析した。
それによると、今シーズンにインフルエンザで医療機関を受診したのは推計で約490万人。国民の26人に1人が医療機関を受診したことになる。年齢別では、15歳未満の小児が他の年齢に比べて多く、昨シーズンの傾向に類似していた。

 今シーズンの死亡例は57例で、受診者の9万人に1人が死亡したことになる。昨シーズンの198例と比べると、65歳以上の高齢者の割合が大きく増加。昨シーズンは28.3%だった高齢者が、今シーズンは49.1%に上った。平均年齢は56.6歳で、昨シーズンの48.1歳から8.5歳上がった。

 重症例は、▽急性脳症▽人工呼吸器を装着▽集中治療室に入室―のいずれかに該当した人で、今シーズンは188例が報告された。受診者の3万人に1人が重症化したと推計される。
 昨シーズンの1642例と比べると、昨シーズンは15歳未満の小児が68.8%を占めたのに対し、今シーズンは35.6%で、より高い年齢層での重症例が多く報告された。平均年齢は37.1歳で、昨シーズンの20.4歳から16.7歳上がった。
( 2011年02月10日 22:47 キャリアブレイン )

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