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検温・消毒液は事業者判断 コロナ5類移行後、厚労省

厚生労働省は31日、新型コロナウイルス感染症の5類移行後の基本的な感染対策の考え方を示した。事業者に対しては入り口での検温や消毒液の設置を、政府として一律に求めることはしない。加藤勝信厚労相は同日の閣議後記者会見で「要否をそれぞれで判断してほしい」と述べた。

 考え方では、アクリルなどでできたパーティションの設置、検温、消毒液は、効果や手間を勘案し事業者が判断するものとした。手洗いや換気などの基本的な対策は、政府として一律には求めないものの引き続き有効だとし、流行期には高齢者など重症化リスクが高い人の3密(密閉、密集、密接)回避やマスク着用が効果的だとした。

 政府の基本的対処方針や各業界が策定している感染対策のガイドラインは5類移行に伴い廃止されるが、業界が必要と判断すれば独自に作成してもよいとしている。

 加藤氏は「マスクと同様、個人や事業者が判断するのが基本だ」と話した。

 新型コロナは5月8日に感染症法上の5類へ移行する。マスク着用は3月13日から個人の判断に委ねられているが、厚労省は混雑した電車内や医療機関などを訪れる際には着用を推奨している。

日歯『物価高騰で支援を要望』

日本歯科医師会の堀 憲郎 会長らは17日、自民党本部を訪れ、歯科医療機関に対する物価高騰への支援に関する要望書を、萩生田光一 政調会長に手渡した。

 面談には柳川忠廣 副会長、瀬古口精良 専務理事と比嘉奈津美 参議院議員も同席した。要望書では、水道光熱費や物価、歯科医療で使用する資器材価格の高騰により、歯科医業経営に大きな影響のある状況を説明。国が進めている賃金アップも困難となっている窮状を訴えた。さらに新型コロナ感染症の対応では、万全の感染対策を講じていることに理解を求め、患者に安心・安全な歯科医療を提供できるよう、「地方創生臨時交付金の積み増し」などによる歯科医療機関への確実な支援を求めた。

 萩生田政調会長は、要望に理解を示し、関係省庁と連携して対応する旨を回答した。


【歯科通信】

マイナカードによるオン資確認、2月は157万件

 厚生労働省の伊原和人 保険局長は3月17日の参院厚生労働委員会で、2月のマイナンバーカードによるオンライン資格確認の利用件数は157万件、昨年同月の利用件数は10万件だったとし「前年比で約16倍」と報告した。

 2月のオンライン資格確認の利用件数は、全体で9,000万件。このうちマイナカードによる確認の割合は1.7%となった。


【メディファクス】

高齢者の4割 口腔乾燥の自覚なし

「高齢者の4割が、唾液の量が少なくなっていることに気づいていない」- 岐阜県歯科医師会と県医師会、県薬剤師会、徳島大学大学院 医歯薬学研究部、日本赤十字豊田看護大学の研究グループが明らかにしたもので、「潜在的な口腔乾燥症(Latent xerostomia)」と名付け、注意喚起を促していこうとしている。

 この「潜在的な口腔乾燥症」と名付けたことにより、人々が唾液流量の低下を自覚するきっかけとなることに期待できるとし、口腔機能検査を積極的に取り入れる必要性について言及している。オンラインジャーナル「PLOS ONE」(3月3日)に掲載。

【歯科通信】

矯正歯科の意思決定支援AIツール

矯正歯科治療において抜歯は不可逆的な治療であり、最も重大で論争の的となる決定の1つである。一方、矯正歯科治療におけるこの種の判断は、「歯科医の経験に依存するところが大きい」という現実もある。米コネチカット大学の研究チームは、歯科医の意思決定を支援するAIモデルを開発している。

コネチカット大学の矯正歯科准教授であるMadhur Upadhyay氏らによって申請された特許によると、医学文献と専門家判断のネットワークを利用し、機械学習手法によって構築されたアルゴリズムは、矯正歯科医の評価に賛成か反対かを示し、もし否定的な結果であれば診断の不一致に至った原因を特定するため、歯科医に再考を促すというもの。

Upadhyay氏は「2人の矯正歯科医がいた場合、程度の差こそあれ、診断する患者の50%の部分は意見が一致しないだろう。皆が同じ文献を読んでいても、異なる解釈をしている。AIは文献の解釈を同化し、より正確な手法で解釈する作業を非常にうまくこなすことができる」と語った。

食べる速度が速い...「メタボ高リスク」です 福島県と医大分析

県と福島医大健康増進センターは28日、県民の生活習慣とメタボリックシンドロームとの関連についての解析で、「食べる速度が速い」「朝食を抜く」「毎日1合以上の飲酒」「習慣的な喫煙」がある人は、ない人に比べて5年後にメタボに該当するリスクが高まる傾向にあったと発表した。県は「食べ方の意識付けや、喫煙の健康影響などに関する普及啓発を進めていく」(健康づくり推進課)としている。

 解析は「県版健康データベース」事業の一環として、2015年度と20年度の特定健診データを活用。15年度に特定健診を受診しメタボに該当しなかった40~69歳のうち、20年度も特定健診を受診した9万9271人を調査した。「就寝2時間前の夕食」「運動習慣なし」など、八つの生活習慣の有無がメタボに関連するかを調べた。

 解析結果によると、対象者のうち11.5%が20年度にメタボに該当。リスクが高まる傾向が現れた四つの生活習慣の中でも特に喫煙による影響は大きく、喫煙がなければリスクを4.1%抑制できる結果になったという。

 県によると、先行研究では、特に食べる速度が速いことについてメタボや肥満との関連が示されているという。このため県は、食や禁煙方法などの各種啓発活動を通し、県民の健康指標改善を目指すとしている。

 このほか、特定健診を活用した特定保健指導の効果についても解析。指導を受けた人の体格指数(BMI)や胸囲といったメタボの構成因子が改善しやすいなど、個人への効果がみられるとの結果が出た。また、市町村別で分析した地域への効果については、指導の実施率との関連は見られなかったという。県は「県民の健康行動につながりやすい取り組みや環境整備を進めていく」としている。

尿中ビスフェノールA(bisphenol A:BPA)と自閉症症状について

Prenatal exposure to bisphenol A and autistic- and ADHD-related symptoms in children aged 2 and 5 years from the Odense Child Cohort.

Environ Health. 2021; 20: 24.

 Hansenらは、デンマーク・オーデンセ市の児童コホートを用いて、胎児の母胎内でのBPA暴露と出生後の精神症状について調査しました。対象は、2010-12年に妊娠16週前に妊娠の診断を受けた女性のうち、研究への同意が得られた2874例で、妊娠26-34週の尿中BPA濃度を測定しました。

 出生児の精神症状は、2歳時と5歳時に子どもの行動チェックリスト(Child Behavior Checklist:CBCL)を用いて評価しました。CBCLにはDSMの自閉症の診断基準に関連する13の質問項目があり、各質問に「0:当てはまらない、1:やや当てはまる、2:当てはまる」で回答するため、自閉症得点として0-26点の点数が付けられます。

 その結果、658例から尿検体と2歳時のCBCL回答が得られ、427例から尿検体と5歳時のCBCL回答が得られました。尿検体の85.3%からBPAが検出され、中央値は1.2ng/mLでした。妊娠中の母親の尿中BPA濃度によって対象児を3群に分けると、尿中BPA濃度が最も高い上位1/3のグループは、最も低い下位1/3のグループに比べ、5歳時の自閉症得点が23%高くなりましたが、P=0.07で、傾向は見られたものの有意差は認められませんでした。また、BPA濃度上位1/3のグループは、下位1/3のグループと比べ、自閉症得点の上位1/4に入るリスクが1.80倍高くなりました(P=0.06)。

世界の自閉症の推定有病率は1.5%

近年、うつ病やADHDだけでなく、自閉症も増加しています。2009年に報告された米国カリフォルニア州の自閉症有病率を調査した研究によれば、出生1万件当たりの5歳までの累積自閉症診断率は、1990年出生では6.2(0.062%)でしたが、2001年出生では42.5(0.425%)となり、上昇傾向にあるといいます1)。

 2012年に報告された自閉症と広汎性発達障害の系統的レビューでは、世界各国の報告から算出した自閉症スペクトラム障害の有病率は中央値で1万人当たり62例(0.62%)とされています2)。この系統的レビューには、2008年にKawamuraらが報告した愛知県豊田市のデータ3)が組み入れられており、日本は1万人当たり181例(1.81%)と世界の有病率の中央値よりも高くなっています。

 2018年に報告された米国のデータでは、11州で2012年の自閉症有病率を調査したところ、1000人当たり14.5例(1.45%)であったと報告されています4)。現在は、少なくとも先進国での自閉症有病率は1.5%5)と考えられています。

 知的障害、自閉症、ADHDの増加には、児の出生時の父母の高齢化(『第13回 ADHDの実数としての増加とその生物学的機序』参照)以外にも、さまざまな生物学的要因が関与しています。その中の一つとして、今回は自閉症の増加とビスフェノール類の関係について考えてみたいと思います。

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