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未婚あるいは結婚に満足していない男性は脳卒中の死亡リスクが高い

未婚あるいは結婚に満足していない40~65歳の就労男性は、脳卒中の死亡リスクが高いことが報告された。1万人余の男性を対象にした1963~1997年までの34年間の調査で明らかになった。イスラエルのテルアビブ大学のUri Goldbourt氏(写真)が、2月24日から26日まで米サンアントニオで開催される国際脳卒中学会(ISC2010)で発表した。

 Goldbourt氏らは、結婚歴および結婚の満足度と脳卒中との関係を検討するため、1963年に行われたイスラエル虚血性心疾患試験に着目した。この試験に参加した国家公務員および自治体職員1万59人の男性(40~65歳、平均年齢49.2歳)は、86%がヨーロッパ、北アフリカ、中近東からの移民だった。結婚については、82.3%に一度の結婚歴があり、12.8%に2度以上の結婚歴があった。また、235人(2.3%)は結婚したことがなく、257人(2.6%)に離婚、別居あるいは死別歴があった。

 調査では、2年後の1965年に、被験者(8945人が回答)を対象に自己の結婚の満足度を尋ねている。その結果、43%が「非常に満足している」、45%が「かなり満足している」、8%が「それほど満足していない」、3.6%(323人)が「満足していない」と答えていた。

 死亡については、1997年までの死亡原因を、国の死亡登録書と身分証明書および被験者の氏名とを照合して確認した。なお、死因については、国際疾病分類(ICD-8、ICD-9、ICD-10)により決定した。

 調査の結果、1997年までに未婚男性492人のうち343人(69.7%)が死亡したのに対し、既婚男性では64.9%(9537人中6191人)が死亡していた(不明30人)。未補正の脳卒中致死率を求めたところ、未婚男性が8.4%、既婚男性が7.1%となった。

 これを時間変数として脳卒中死亡時の年齢を用い、社会的経済的地位(SES)指標、体格指数、血圧、喫煙習慣、家族規模およびベースラインでの糖尿病と冠動脈性心疾患の有無について補正を行い、Cox比例ハザードモデルを求めたところ、既婚男性に対する未婚男性の脳卒中致死率のハザード比は、1.64(95%信頼区間;1.18-2.30)となった。

 さらに、結婚の満足度を回答した既婚男性で、1965~1997年の脳卒中致死率の補正推定ハザード比を求めたところ、「非常に満足している」と答えた男性を1とすると、「かなり満足している」と回答した人で1.18(95%信頼区間;0.98-1.41)、「それほど満足していない」と回答した人で1.09(同;0.79-1.49)、「満足していない」とした人で1.64(同;1.11-2.43)となった。既婚男性では、結婚に満足していない人を除くと、長期の脳卒中リスクが低い結果となった。

 なお、未婚あるいは結婚に満足していない男性の脳卒中死亡リスクは、それぞれのベースラインでの糖尿病の有無と関連があった(ハザード比=1.65、95%信頼区間;1.30-2.09)。

 演者らは、なぜ未婚あるいは結婚に満足していない男性の脳卒中死亡リスクが高いのか、さらに検討を重ねる意向だ。

(日経メディカル別冊編集)

肥満の子供、全年齢で減少

5歳~17歳を対象とした文部科学省の学校保健統計調査で、肥満の子供の割合がすべての年齢で前年度から減少したことがわかった。
 全年齢で減少したのは1977年度の調査開始以来初めて。ここ数年で肥満は減少、逆にやせ気味の子が増える傾向にあり、同省は「規則正しい食生活の浸透やスタイルを気にする子の増加が原因では」とみている。
 今年4~6月、抽出で70万人を調査。標準より2割以上体重が重い肥満の割合は、年齢別では15歳が10.32%で、前年度比1.22ポイント減と減り幅が最大。
 一方、330万人を対象の調査では、視力が「0.3未満」の小学生の割合が7.3%(同0.2ポイント増)で過去最高だった。視力調査の始まった79年度(2.7%)と比べて2.7倍に上り、同省は「ゲームやインターネットの普及の影響とみられる」としている。(12月17日/読売新聞)

 “口から食べたい”という想いは、患者さんを前向きにする     

急性期病棟に入院していた四郎さんは、胃ろうの患者さん。「口から食べてないんだから」と口腔ケアを拒否していました。誤嚥性肺炎の予防と話しても納得しません。口のまわりを拭くケアしかできぬまま、一般病棟へ移ることに。
6人部屋をたずねたKさんは、四郎さんがジッと何かを見つめているのに気がつきました。視線の先にあったのは、同部屋の患者さんがプリンを食べる姿。
「プリンが好きなの?」。Kさんの声に、四郎さんはハッと振り向きます。「また来たのか。俺は、コーヒーゼリーが好きなんだ」とぶっきらぼうに答え、娘さんが幼い頃作ったコーヒーゼリーの話をしてくれました。
その話を聞き、チャンスだと思ったKさん。
「ちゃんと口腔ケアをすれば、コーヒーゼリーを食べられる可能性がありますよ」と伝えると、四郎さんは「えっ、ほんとか?」と真剣な顔で聞き返しました。Kさんの説明を聞き、ボソッとこうつぶやいたそうです。
「信じてみるか」
念願のゼリーを食べてもいいと許可がおりたのは、本格的なケアをスタートした1ヶ月後でした。ゼリーをゆっくり味わった四郎さんに「よかったね」と声をかけると「次は寿司だな」とニヤリ。初めて見せた笑顔だったといいます。
「最初は、すべてにおいてなげやりな患者さんでした。でも、“もう一度口からゼリーを食べたい”と思った日から変わったんですよ」
“こうなりたいという目標や希望を持つことで、患者さんが前向きになる”。
 そう実感してから、患者さんを元気にするヒントを見つけようと些細な言動を気に留めているKさん。真剣な眼差しに、患者さんへの想いが表れていました。

旭川歯科医師会の小学校等でのフッ化物洗口によるムシ歯予防への取り組み

 旭川歯科医師会の小学校等でのフッ化物洗口によるムシ歯予防への取り組みは、水道水へのフッ化物添加と異なります。フッ素入り洗口液でのブクブクうがいであって、うがい後は口から出しますので基本的に体内に蓄積されません。
 平成21年に北海道と旭川市は、それぞれ「北海道歯・口腔の健康づくり8020推進条例」と「小学校等におけるフッ化物洗口を推進する決議」を相次いで採択しました。これらは、市民の皆様が旭川歯科医師会の活動に関してご理解、ご協力を頂けますよう御願いいたします。
                北海道経済 2010.3月号

流産:妊娠中と授乳と「無関係」

 授乳をすると子宮が収縮し流産になるとして、明確な根拠がないまま国内の産科医療機関で中止を指導されることの多い妊娠中の授乳について、浜松市の産科医が、授乳は流産と無関係とする論文を日本産科婦人科学会の学会誌に発表した。
 石井第一産科婦人科クリニックの石井広重院長は、96~2000年に同院で第2子の妊娠が確認された20~34歳の女性のカルテをもとに分析。
 第1子が満期産(妊娠37週以上42週未満に出産)で流産の経験がない人で、授乳中だった110人と、授乳していなかった774人を比較。授乳群で流産は全体の7.3%に対し、授乳しない群は8.4%で、有意差はなかった。石井院長は「母乳育児は母子双方にメリットがあり、禁止すべきでない」話す。(12月6日/毎日新聞)

認知症の人の支援に「地域のつながり」を

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認知症介護研究・研修東京センター(本間昭センター長)は2月17日、東京都内で「認知症の本人から学ぶ―本人なりの対処と求めている支援とは」と題して、今年度の認知症対策総合研究事業の報告会を開いた。静岡県富士宮市在住で、アルツハイマー型認知症と診断された佐野光孝さんや妻の明美さん、2人と地域で接する仲間が登壇し、認知症の人が求める支援の在り方について語った。
 光孝さんは2007年夏、58歳の時に若年性認知症と診断された。勤めていた会社の上司から仕事上の間違いを指摘され、医療機関での診断を勧められたことがきっかけだという。当初、近所の人や友人などには認知症のことを黙っていたが、光孝さんに気持ちの整理がついたことを契機に打ち明けた。すると、夫婦2人の気が楽になった上、近所の人や友人からこれまで以上の支えがあったという。「いろいろな人たちに支えられたおかげで、今まで通り過ごせるようになった」と明美さん。また、同センター研究部副部長の永田久美子さんは、「つながりを大事にしていけば、まだまだ地域で生きていける」と指摘した。

 光孝さんは毎朝5時に起床し、朝食のご飯を炊く。「五感を使う」生活を心掛けているため、できる範囲で家庭内の仕事を担当しているのだという。また、新聞記事を切り抜いてノートに張り、その文章を書き写す。「(誤字がなく)完璧と言われるとうれしい」と話す光孝さんが、これまでに作成したノートは10冊以上。永田さんは、単なるトレーニングではなく、毎日の生活の中で「できること」を続けることが重要と強調した。

 また光孝さんは、以前営業職に就いていた経験を生かし、観光客に地域の名店や名所などを案内するボランティアを務めている。夫婦で市役所を訪ねた際に対応した保健師が、関係各所と連絡を取り、その日のうちに就任が決まったという。永田さんは、「観光ボランティアとして活躍していることも大事だが、そこにどうつながったかという流れが大事。そうした流れがあれば、認知症の人も地域につながって活躍できる」と強調。また、同市職員の稲垣康次さんは、「(認知症の)佐野さんが観光ボランティアをやっていることが、富士宮の財産だ」と語った。

 このほか、地域で「認知症サポーター養成講座」の講師役「キャラバン・メイト」を務める水谷たか子さんは、光孝さんと接する中で、「(これまで)本当に認知症の方の気持ちが分かって、サポーターの養成講座を開いてきたのか」と疑問を感じたという。永田さんは、認知症の人との付き合いを通じて、本人にとって本当に必要な支援が生まれると強調した。
更新:2010/02/17 20:55  キャリアブレイン

英国から消える「歯医者のいす」と「女性無料デー」

2月15日、厚生労働省の検討会が、職場で受動喫煙する機会を減らすことを事業者の義務とすべきとする報告書の骨子に合意しました。日本でも、禁煙の法的規制が一歩進みそうな勢いですが、今回は英国のアルコール規制の話を紹介します。
2月13日付の北海道新聞は、国民の過飲を抑えるため、英政府が4月からパブなどでのアルコール飲料の販売規制を強化すると伝えています。この規制は、健康被害や交通事故防止に加え、年間最大130億ポンド(約1兆8千億円)に上る関連の財政負担の軽減を狙ってのことだといいます。
4月からは、飲み放題や女性無料デーなどのサービス、開けた口に酒を流し込む「歯医者のいす」と呼ばれるゲームや早飲み競争も規制の対象となり、違反した店の経営者には、2万ポンドの罰金や6カ月以下の禁錮、営業免許停止が科せられる可能性があります。10月からは、身分証明書による客の年齢確認も義務化されるそうです。
NHS(英国民医療サービス)の調査によると、国民の4人に1人が「危険な飲酒習慣」を持ち、07年には86万3300人が飲酒が原因で病院に運ばれています。この数字は、02年比で7割増です。また、疾患や犯罪による財政負担は、政府推計で年80億~130億ポンドに及ぶそうです。
パブ文化という言葉があるほど伝統的にアルコールと“仲良し”の英国社会ですが、今回の規制は、アルコールのもたらす弊害の増加がもはや看過できない状況に至っていることを示しています。
このあたりは、わが国でも同じです。「酒は百薬の長」ということわざもあるように、歴史的にも、アルコールを目の敵にしてきたわけではありません。しかし、最近はその弊害が厳しく指摘される場面も増え、状況は英国と変わらなくなりつつあります。
例えば飲酒運転は、それ自体が犯罪であり許すべからざる行為です。また、小さいものまで含めれば飲酒に伴うトラブルは頻繁に生じており、医療機関の中でも少なからず起こっています。泥酔して救急車で来院し、暴れて医療者に悪態をついたり他の患者さんにも迷惑をかけたり…。私の勤務医時代には、そのような患者を嫌がって、他の患者さんが退院してしまったこともありました。

 かといって、アルコールを帯びているとの理由で患者を放置したら非常に危ないことになりかねません。過飲で運ばれてきた患者に硬膜下血腫などが生じており、不幸にも亡くなってしまった後、医療過誤訴訟に発展したような事例もあります。

 このようなアルコールの弊害に対し、日本でも対策は進みつつあります。アルコール飲料販売時の年齢確認はもちろん、大学によっては、新入生歓迎コンパなどでの一気飲みだけでなく、飲酒自体を禁止するケースも出てきています。

 とはいえ、失敗に終わった米国の禁酒法の例からも分かるように、アルコールやタバコを全て禁止するのは簡単ではありません。ただ、医学生の急性アルコール中毒死を巡って訴訟になるような昨今ですから、厳しい過飲制限は時代の要請といっていいでしょう。

 喫煙にせよ、飲酒にせよ、今まで許容されてきた嗜好品に対する規制が厳しくなっているのが時代の趨勢ですが、一方で、ストレスの多いこの時代をどうしのいでいくのかは、現代人にとっての大きな課題でもあります。過度の依存は、ワーカホリックや買い物依存症に代表されるように、日常行為の中にも生じ得ます。アディクション(依存)に陥らないよう気を付けつつ、上手なストレス解消法をどう見つけるかが重要な時代だといえそうです。

(院長コメント)
 歯医者のイスとは考えたものです。歯科に関わる内容だと思ったら全く関係なくおもしろかったです。

中国製技工物 発がん物質・ベリリウムを含有     TBSが特集 

日本に入ってくる中国製の歯科技工物から、日本では使用禁止の
有害金属が混入している実態が明らかにされた。TBSテレビが6日の
「報道特集NEXT」で放送したもので、含有されていた金属は、当時の
厚生省(現厚労省)が発がん性の高い金属であるとし、25年前に国内
での使用を禁止したベリリウム。同テレビ局が中国の歯科技工所4社
から取り寄せた歯科技工物のうち3社の技工物に同金属が1.2~1.9%
含まれていた。
 海外技工物の取り扱いを巡っては40を超える府県や市町村議会が
安全性を求める「意見書」を採択し、国に提出している。更に、全国の歯科技工士80人が歯科技工の海外委託の禁止や地位保全、損害賠
償を求めて法務省と厚労省を訴え、裁判となっている。一審、二審と
も海外技工には違法性や安全性に問題がないとする国が勝訴し、現在、最高裁で争われている。

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