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第115回歯科医師国家試験の合格状況②

2022年3月16日、第115回歯科医師国家試験の合格発表があった。恒例であれば、会場になっていた厚生労働省低層講堂で資料が置かれ、会場に来た人が資料を逐次取って行き、中には、その喜びを互いに共有する姿もあった。今回は、一階フロアーで職員が医師・歯科医師のそれぞれの全体・大学別の合格率などの資料を配布。イス席に座り待っていた人に順番に配布形式になった。以前からネットでわかるようになっていたが、わざわざ会場に来て、自分の受験番号を確認して合格を喜び・安堵感を経験する受験生の光景があった。今回は全くなく、事務作業として資料配付を淡々したことで、10分程度で資料を求める人の姿は見えなくなっていた。厚労省事務員は、「事務としては、簡潔に終えて楽です。昔の光景が懐かしく思うほどです」と述べていた。
注目の合格率は、全体:61.7%、新卒者:77.1%、合格者数は、全体:1,969人、新卒:1,542人であり、この数字は最近の傾向と同様であった。全体合格率は65%前後、合格者数2,000人前後の数字は、歯科医師国試としての定着した感があるが、以前からこの定着感に疑問の声があったが、今回も繰り返すことになった。資格試験・選抜試験では意味合が全然違ってくるが、歯科医師の需給問題との位置づけとして暗黙の了解とされているとも見られ、表向きの議論として出てこないのが現実である。参考として示しておくが、比較される医師国試の合格率は、全体:91.7%、新卒:95.0%である。歯科医師とは歴然の相違がある。

第115回歯科医師国家試験の合格状況

厚生労働省が2022年3月16日に発表した第115回歯科医師国家試験の合格状況によると、学校別で合格率がもっとも高いのは、「東京歯科大学」94.8%。なお、予備試験合格者の合格率は100%だった。 第115回歯科医師国家試験は、2022年1月29日と30日に施行された。3月16日午後2時から厚生労働省のWebサイトで受験地別に合格者の受験番号が掲示されている。 歯科医師国家試験の合格率は61.6%、新卒者の合格率は77.1%。平均合格率は、国立が72.4%、公立が76.8%、私立が58.0%、認定や予備試験のその他は33.3%だった。学校別合格者状況によると、合格率がもっとも高いのは「東京歯科大学」94.8%、ついで「昭和大学歯学部」81.4%、「岡山大学歯学部」81.0%。なお、歯科医師国家試験の予備試験合格者は新卒1名が受験して1名合格し、合格率が100%だった。新卒者の合格率が90.0%を超えたのは、「東京歯科大学」96.0%、「松本歯科大学」90.4%、「岡山大学歯学部」90.2%の3校だった。

口唇口蓋裂児の「精神運動発達」の遅れ、成長に伴い減少する傾向②

最も大きな違いは24か月のコミュニケーション、それ以降は差が減少

 環境省が実施している子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)の約9万2,000人を対象に、そこに含まれる口唇口蓋裂児(195人)について、生後6か月~3歳までの精神運動発達について解析を行った。子どもの精神運動発達の評価には、日本語版Ages and Stages Questionnaire第3版(J-ASQ-3)を用いた。生後6か月~36か月まで、6か月毎に、保護者によってJ-ASQ-3を評価し、口唇口蓋裂を伴う子どもと先天異常を伴わない子どものJASQ-3の点数を比較した。

 18~36か月時点での話す・聞くなどの「コミュニケーション」、18・24か月時点での立つ・歩くなどの「粗大運動」、30・36か月時点での手順を考えて行動するなどの「問題解決」、6・36か月時点での他人とのやり取りに関する行動などの「個人・社会」で、口唇口蓋裂を伴う子どもが低い点数を示し、発達が遅れていた。最も大きな違いは24か月のコミュニケーションにおいて認められたが、それ以降は差が少なくなっていき、同様の変化が粗大運動でも見られたという。

手術歴や言語訓練の効果が機能発達・回復に貢献しているのか、今後検討が必要

 今回の研究成果により、生後6か月~36か月の間の口唇口蓋裂を伴う子どもの精神運動発達は、先天異常を伴わない子どもと比較して遅れる傾向があるが、3歳時点までにさまざまな機能の追いつきが認められることが明らかにされた。

 「過去のさまざまな介入研究の結果からも、臨床的介入(外科手術や言語療法、歯科治療など)が、口唇口蓋裂児の適切な機能発達・回復に貢献していることが予想される。本研究で用いたデータの内容ではそのことを示すことができないため、今後もさらなる検討が必要だ」と、研究グループは述べている。

口唇口蓋裂児の「精神運動発達」の遅れ、成長に伴い減少する傾向

口唇口蓋裂児の成長発育への影響については明らかにされていなかった

 東北大学は3月15日、生後6か月~36か月の間の口唇口蓋裂を伴う子どもの精神運動発達は、先天異常を伴わない子どもと比較して遅れる傾向があったが、3歳時点までにさまざまな機能のキャッチアップ(追いつき)が認められたと発表した。この研究は、同大病院の土谷忍助教、五十嵐薫教授、有馬隆博教授、八重樫伸生教授、同大大学院医学系研究科の門間陽樹講師、同大大学院医工学研究科の永富良一教授、東京医科歯科大学健康推進歯学分野の相田潤教授、東北福祉大学保健看護学科の土谷昌広教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「European Journal of Oral Sciences」に掲載されている。

 口唇口蓋裂は最も頻度の高い先天異常の一つだが、子どもの成長発育への影響については結論が出ていない。加えて、これまでの報告には、追跡調査によるものがなかった。そこで研究グループは今回、大規模出生コホート調査の継続的な結果を用い、口唇口蓋裂児の幼児期の発達過程について検討を行った。

運動不足で筋肉減少なぜ? タンパク3種関与、神戸大

運動しないと筋肉の量が減少するのは、細胞内のカルシウム濃度の低下が引き金となり、3種類のタンパク質の量が増減することで起こっていることを、神戸大の小川渉(おがわ・わたる)教授(糖尿病)らのチームが突き止め、米科学誌に15日発表した。小川教授は「筋肉の減少を抑制する治療薬開発につなげたい」と話している。

 チームは、動かないようギプスで固定するなどしたマウスの脚を特殊な顕微鏡で観察。細胞の外から中にカルシウムを取り込む入り口となるタンパク質「Piezo1」の量が減少し、細胞内のカルシウム濃度が低下することが分かった。

 さらにカルシウム濃度が下がると、免疫に関わる「インターロイキン6(IL6)」など2種類のタンパク質の量が増加。筋肉量を減らす働きをすることが分かった。

 IL6の働きを抑える物質をマウスに投与すると、脚を動かせないようにしても筋肉量は減らなかった。人でもこの3種類のタンパク質が筋肉量の減少に関わっており、これらを標的にした治療薬開発が期待できるという。

共食の機会を月に複数回以上もつことが高齢者の体重減少予防につながる可能性

東北大学は3月11日、共食頻度が「毎日」という人と比べて、「月に何度か」以上の頻度で誰かと一緒に食事を有する人では、体重減少のリスクに有意な違いは観察されなかった一方、「年に何回か」の人では1.07倍、「ほとんどない」人では1.17倍、体重減少リスクが高くなるという関係が観察されたと発表した。この研究は、同大大学院歯学研究科の草間太郎助教らの研究グループによるもの。研究成果は、「Age and Ageing」に掲載されている。

 誰かと一緒に食事をする「共食」は、ヒトにとって基本的な社会活動の一つである。過去の研究から共食の機会を有することが健康状態の維持に有益である可能性が示唆されてきた。体重減少は高齢者において重要な健康問題の一つであり、過去の研究から死亡リスクの上昇と関連することが明らかとなっている。共食の機会を有することは、栄養摂取に影響する可能性があるが、これまで追跡研究により共食と体重減少といった栄養状態の悪化との関連は明らかにされていなかった。

 研究グループは今回、要介護状態にない高齢者を対象とした3年間の追跡調査から、共食の頻度と体重減少のリスクとの関連を明らかにすることを目的として研究を行った。

共食頻度が「毎日」の群と比較して、「年に何度か」以下の頻度では体重減少リスク「高」

 2016年と2019年に実施されたJAGES(Japan Gerontological Evaluation Study; 日本老年学的評価研究)調査に参加した要介護認定を受けていない65歳以上の高齢者を対象として、2016年から3年後の2019年時点までの間の「5%超の体重減少」の有無について、追跡研究を行った。

 5%超の体重減少は栄養状態の悪化の指標の一つであり、過去の研究から死亡リスクの上昇と関連することが示されている。共食の頻度については、「毎日」「週に何度か」「月に何度か」「年に何度か」「ほとんどない」の5区分を用いて、比較を行った。分析では、性別・年齢・教育歴・等価所得・婚姻状況・世帯人数・現在歯数・併存疾患(がん・脳卒中・糖尿病・認知症)・手段的日常生活動作・認知機能・うつ・野菜果物の摂取頻度・肉魚の摂取頻度・友人と会う頻度・ベースライン時点でのBMIの影響を取り除き、共食の頻度が「毎日」と比較したときの、それぞれの共食頻度の区分における相対的な体重減少のリスクを、ポアソン回帰モデルを用いて算出した。

 対象者5万6,919人のうち、3年間の追跡期間中に5%超体重が減少した人は15.1%(n=8,596)だった。また、共食頻度ごとの5%超体重が減少した人の割合はそれぞれ、「毎日」:14.3%、「週に何度か」:14.8%、「月に何度か」:14.6%、「年に何度か」:16.2%、「ほとんどない」:19.0%だった。

 他の要因を考慮して行った多変量解析の結果、共食頻度が「毎日」と比較したときに、5%超の体重減少のリスクが、「年に何度か」:約1.07倍(95%信頼区間:1.01-1.07)、「ほとんどない」:約1.17倍(95%信頼区間:1.08-1.27)において、統計学的に有意に高かった。つまり、共食頻度が「毎日」の群と比較して、「月に何度か」以上の頻度では有意な差が見られなかったものの、「年に何度か」以下の頻度では、体重減少のリスクが有意に高くなっていたという。これらの結果から、高齢者において、月に複数回程度以上、共食の機会を有していることが体重減少のリスクの低減に貢献している可能性が示唆された。

共食の機会をもつことが高齢者の健康維持に寄与する可能性

 新型コロナウイルスの流行は、高齢者の共食の機会に大きな影響を与えたと考えられる。今後は、流行状況を鑑みて、換気や人数制限といった適切な予防対策を実施した上で、人々が共食の機会をもつことが、高齢者の健康状態の維持に寄与する可能性がある、と研究グループは述べている。

「国民皆歯科健診を5年以内に」

日本歯科医師連盟の組織代表として7月の参議院選挙に臨む予定の山田 宏 参議院議員は、当選後に「国民皆歯科健診の実現」「歯科への正当な評価の確保(初再診料の医科歯科格差の是正)」「医学・歯学の相互教育の充実」などに取り組みたいとの考えを示した。

 山田議員は組織代表として推薦された点について「組織代表の仕事は、歯科医師連盟、全国の歯科医師の先生方のご要望をしっかりと形にするのが政治家の仕事。医学や歯学の専門知識で仕事をするものではない」と歯科医師でない点は問題とならないとアピールした。

 7月の選挙で当選した後に任期中に取り組みたいことについて、「国民皆歯科健診の実現」を第一に挙げ、すでに自民党の選挙公約に記載されており、党内に検討チームができる予定があることなどについて触れ、「高校までに終わっている歯科健診の義務化を全世代に広げ、年に1回は歯科健診を行うところまで、5年以内に実現するのが目標」と述べた。

【歯科通信】

「大学に学校歯科医を」

日本学校歯科医会の川本 強 会長は、岸田文雄 内閣総理大臣を表敬訪問した際に、大学への学校歯科医の設置を要望したことを明らかにした。

 川本会長は、目に見える口の中の教育を通して「生きる力」を獲得し、ライフステージ後半においては「生き抜く力」に昇華してもらうことが究極の願いと強調。日本で健康寿命と平均寿命の差をなくすためには、児童生徒の時期から生き抜く力を自ら養っていく必要があると述べた。そして、「私たちは3歳から高校まで学校歯科保健教育をしているが、大学では学校歯科医の存在根拠がないので、(岸田総理に)作っていただきたいと要望した」と報告した。

【歯科通信】

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