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3度目誤抜歯で診療停止 長崎大病院、報告も怠る

長崎大病院は6日、口腔(こうくう)外科の歯科医師が予定とは別の「親知らず」を抜歯する医療事故があり、上司への報告も怠っていたと発表した。健康への影響はなかった。2020年12月、21年4月にも誤抜歯が起きており、口腔外科の診療を原則停止とした。

 病院によると、今年11月8日、長崎県内に住む30代女性患者の左上と左下の親知らずを抜く予定だったが、右下と左下を抜歯。女性患者は直後に部位が違うと指摘し、13日に電話で説明を求めた。歯科医師は16日に謝罪し、抜くはずだった左上の親知らずを抜いた。

 女性患者から病院に投書があり、発覚した。病院は、担当医が当日まで決まっておらず、患者との予定部位の確認も怠っていたのが原因としている。

 記者会見した沢瀬隆(さわせ・たかし)副院長は「口腔外科に体質的な問題がある。意識改革やシステムの改善を図り、再発防止に努めたい」と謝罪した。

障害者結婚、不妊処置条件 北海道の施設、8組応じる 産み育て決める権利侵害か 理事長「責任取れない」

北海道江差町の社会福祉法人が運営するグループホームで、知的障害があるカップルらが結婚や同棲(どうせい)を希望する場合、男性はパイプカット手術、女性は避妊リングを装着する不妊処置を20年以上前から条件化し、8組16人が応じていたことが18日、分かった。「同意を得た」としているが、障害者が拒否した場合は就労支援を打ち切り、退所を求めていた。子どもを産み、育てるかどうかを自分で決める権利(リプロダクティブ権)の侵害に当たる恐れがある。

 理事長は共同通信の取材に「(子どもが)養育不全になった時に誰が責任を取るのか。生まれてくる命の保証はしかねる」と主張した。厚生労働省は「障害の有無を問わず人としての尊厳は守られるべきで、事実なら不適切だ」としている。

 グループホームで暮らす障害者の出産、育児を法律は想定しておらず、支援制度は整っていない。複数の福祉関係者は「別法人の施設でも処置を受けさせていたと聞いている」と証言しており、厚労省は実態を把握した上で支援策を検討することを迫られそうだ。

 理事長は、入居者らが子どもを望む場合は「うちのケアから外れてもらう。強制するわけではないが、うちが関わる場合は一定のルールは守ってもらう」と説明。1998年ごろから条件化していることを認め、「子どもを育てるために職員を雇っているわけではない」と述べた。

 同福祉会によると、入居者らが結婚などを希望した場合、施設の考えを説明した上で口頭で不妊処置への同意を求め、保護者からも了解を得て同意書を作成する。

 過疎化が進む江差町周辺では、就労を支援する施設は少なく、やむを得ずに同意する可能性もある。過去には子どもを望み、施設を離れた障害者もいたという。3年ほど前に処置に応じた30代の女性は、記者の「子どもを欲しいと思ったことがあるか」との質問に「ある。でも今じゃない」と話した。

 不妊処置を受けたカップルのうち、12月時点で6組が世帯別の個室があるグループホームで暮らしている。残る2組は施設外から通いながら就労支援を受けていたが、このうち1組は近年、自ら希望して支援を終了し、自立したという。

75歳医療保険料に激変緩和 高所得、24年度は73万円 厚労省、批判で方針転換

厚生労働省は12日、75歳以上が入る後期高齢者医療制度を巡り、高所得者が支払う保険料の年間上限額を2024年度に73万円、25年度に80万円へと段階的に引き上げる方針を固めた。与党から「負担が一気に増えることになり、激変緩和策が必要だ」との批判が出て、方針転換した。

 現在は66万円。当初は24年度に80万円へ一気に上げる方針だった。

 中間層の保険料上げも24年度から予定していた。これに関しても、年収200万円程度の人は引き上げを1年間猶予する方向だ。

 近く医療保険改革の結論を出し、来年の通常国会に関連法改正案を提出する。

 政府は、75歳以上の保険料引き上げで得た資金を「出産育児一時金」の50万円への増額や、現役世代の負担増を抑える制度見直しに活用する。年金や給与の合計が年収約1千万円以上の人が年間上限額引き上げ対象となる。後期高齢者医療制度に入る75歳以上の約1%に当たる。

 政府はこれまで、中間層も含めて保険料が増えるのは全体の約4割と説明してきた。年金収入で年153万円を超える人が対象としていた。年収が200万円強以下の人に関しては、保険料上げを25年度からへと遅らせる。厚労省は、年収200万円なら24年度に年3900円増えるとの試算を9日に示していた。

 現在、出産一時金の原資を主に賄っているのは、現役世代が払う医療保険料。24年度から、後期高齢者医療制度からも拠出する。24年度から一時金全体の7%分を担う予定だったが、当初の2年間は拠出額を減らし、75歳以上の負担増を緩和する方向だ。

今年の漢字は「戦」 清水寺で発表、最多1万804票 2位は「安」

2022年の世相を表す漢字は「戦」――。日本漢字能力検定協会(京都市東山区)は12日、全国から募集し、最も選んだ人が多かった「今年の漢字」を清水寺(同)で発表した。森清範(せいはん)貫主が縦1・5メートル、横1・3メートルの和紙に文字を書き上げた。

 募集期間は11月1日から12月5日で、22万3768票の応募のうち、「戦」は最多の1万804票だった。

 選ばれた理由は主に、ロシアのウクライナ侵攻▽サッカーW杯での日本代表の試合▽MLBの大谷翔平選手の活躍▽新型コロナや物価高への対応――などだった。「戦」が選ばれたのは2001年以来2度目。2位は「安」(1万616票)、3位は「楽」(7999票)だった。以下、4位「高」(3779票)▽5位「争」(3661票)▽6位「命」(3512票)▽7位「悲」(3465票)▽8位「新」(3070票)▽9位「変」(3026票)▽10位「和」(2751票)。

 同協会は1995年から、「いいじいちじ」と読む12月12日の「漢字の日」に「今年の漢字」を発表している。今年で28回目になった。

 揮毫(きごう)を終えた森貫主は「『乱』ではないかと思いながら手のひらに描いて稽古していた。来年こそは『戦』が終わって、皆が心安らかな日々を送れるようになっていただきたい」と話した。

3度目誤抜歯で診療停止 長崎大病院、報告も怠る

長崎大病院は6日、口腔(こうくう)外科の歯科医師が予定とは別の「親知らず」を抜歯する医療事故があり、上司への報告も怠っていたと発表した。健康への影響はなかった。2020年12月、21年4月にも誤抜歯が起きており、口腔外科の診療を原則停止とした。

 病院によると、今年11月8日、長崎県内に住む30代女性患者の左上と左下の親知らずを抜く予定だったが、右下と左下を抜歯。女性患者は直後に部位が違うと指摘し、13日に電話で説明を求めた。歯科医師は16日に謝罪し、抜くはずだった左上の親知らずを抜いた。

 女性患者から病院に投書があり、発覚した。病院は、担当医が当日まで決まっておらず、患者との予定部位の確認も怠っていたのが原因としている。

 記者会見した沢瀬隆(さわせ・たかし)副院長は「口腔外科に体質的な問題がある。意識改革やシステムの改善を図り、再発防止に努めたい」と謝罪した。

嚥下障害患者、食事摂取「横向き」に有用性 栄養状態も改善、岐阜・飛騨市民病院医師が論文

飛騨市民病院(岐阜県飛騨市神岡町)の第一診療部長兼内科部長の工藤浩医師(48)による、嚥下(えんげ)機能障害がある患者の診療での完全側臥位(そくがい)法の有用性を示す論文が、日本内科学会発行の英文誌「Internal Medicine」に掲載された。市民病院は医師らの研究などから誤嚥(ごえん)予防に完全側臥位法を取り入れ、診療を進めている。

 完全側臥位法は、横向きに寝ながら食物を口から摂取する方法で、誤嚥を予防する技法とされる。2012年に日本人医師によって論文が発表された。

 肺炎による死亡者数の増加は嚥下機能の低下による誤嚥性肺炎の増加が主な要因と推測されることなどから、市民病院では、誤嚥を予防する嚥下補助技法の完全側臥位法を研究。工藤医師をリーダーに看護師や管理栄養士ら15人で栄養サポートチームをつくり、15年から診療で完全側臥位法を行っている。

 論文では、15~17年に市民病院で嚥下機能障害と診断され、完全側臥位法で治療された患者の103人と、完全側臥位法とは異なる方法で同病院で治療された嚥下機能障害の患者を比較。完全側臥位法による患者は誤嚥性肺炎による死亡率が低くなり、栄養状態も改善され、亡くなるまでの平均欠食期間が短縮されたことなどを記した。安全な食事の摂取が、リハビリによる機能強化にもつながるという。英文誌の掲載は11月15日付。

 工藤医師は「完全側臥位法は特別な技術や道具はいらず、誰でもできる技法。人生の最期に近づく頃まで食べたいものを口から食べてもらいたい。英文の論文により、技法の有用性を広く伝えることができる」と話した。

乳幼児期の良質な睡眠は、歯ぎしり癖の回避に繋がる!?

歯ぎしりと睡眠障害との強い相関が知られているが、乳幼児期の睡眠習慣は将来的な歯ぎしり癖に影響するという研究結果が発表された。東北大学病院の土谷忍教授らの研究グループは、環境省が実施しているエコチル調査の90,148名を対象に、乳幼児期の睡眠時間(1ヶ月、6ヶ月、1歳、1歳半、3歳時)と歯ぎしり癖の有無(2歳時、4歳時点)の関連について解析。その結果、新生児期(生後1ヶ月)の睡眠時間が長いほど、歯ぎしり癖を持つ子どもの割合は減少。

歯周炎と心房線維化の関連、組織学的に明らかに

心臓手術で左心耳(LAA)切除予定の心房細動(AF)患者76例(非発作性AF患者55例、僧帽弁逆流症患者25例、左心耳血栓患者18例)を対象に、歯周炎と心房線維化の関連を切除LAAの組織学的評価で検証した。

 その結果、プロービング時の出血(R=0.48、P<0.0001)、4mm以上のプロービングデプス(R=0.26、P=0.02)、歯周炎症表面積(PISA、R=0.46、P<0.0001)に心房線維化との正の相関が認められた。残存歯が10本を超える患者で、PISAに心房線維化との強い正の相関が見られた(R=0.57、P<0.0001)。年齢、AF期間、BMI、僧帽弁逆流、CHADS2(うっ血性心不全、高血圧、年齢、糖尿病、脳卒中/一過性虚血性発作既往)スコアで調整後、PISAに心房線維化との有意な関連が認められた(β=0.016、P=0.0002)。

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