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顎骨の再生治療へ独自改良人工骨 岡山大院・窪木教授らが臨床試験

岡山大大学院医歯薬学総合研究科の窪木拓男教授=インプラント再生補綴(ほてつ)学=らのグループは、専門とする歯科インプラント治療と、その土台となる顎の骨を再生させる治療の臨床試験(治験)を進めている。独自に改良した人工骨を活用。交通事故などで顎骨を失ったり、先天的に骨が少なかったりする患者の治療の選択肢を広げるとともに、QOL(生活の質)向上につなげる。

 インプラント治療に向けた顎骨の再生は歯肉を切開し、既製の小さな粒状の人工骨を入れて行うが、再生能力に限界があり、骨の欠損の度合いが低い場合にしか使えない。大きく欠損している場合、患者自らの腰骨などを移植する必要がある。

 大きく欠損した患者の再生治療に向け、窪木教授らは既存の人工骨に、骨を形成する特殊なタンパク質の水溶液を染みこませた人工骨を2006年から開発。強い再生能力を持つことなどを確認した。

 治験は患者8人で実施。新たな人工骨を欠損した顎骨付近に入れて再生を促す。骨の欠損が比較的小さい患者には人工骨と同時に、重症患者はおよそ半年後にインプラントを埋め込む。9カ月後と11カ月後に効果を検証する。

 23年5月までに終了させ、安全性や治療効果などが確認できれば、臨床応用に向けた最後の治験の準備に移る。窪木教授は「骨の移植は大きな手術となる。身体的、経済的な負担を軽減する新たな治療法を、できるだけ早期に確立させたい」と話している。

無保険外国人:在留資格なし、自由診療負担3倍 無保険外国人 命の危機 訪日富裕層向け高額化、コロナ禍拍車

今年3月、名古屋出入国在留管理局の施設内でスリランカ人女性、ウィシュマ・サンダマリさん(当時33歳)が病死し、ずさんな医療体制が問題となった。しかし、在留資格がない外国人は、入管施設の外でも命の危険にさらされている。就労もできず、健康保険に加入できないため、重病になると高額な医療費(100%負担)が支払えないケースもあるためだ。近年は医療費を200~300%負担させられる例も増えている。「在留資格の有無で、命を区別していいのか」。全国の外国人支援団体や医療関係者たちが抗議の声を上げている。

 今年1月23日早朝、東京都内の病院でカメルーン出身の女性レリンディス・マイさんが静かに息を引き取った。42歳だった。乳がんが全身に転移していた。婚約者の暴力や女性器切除から逃れようと、2004年に来日。その後、母国の治安が悪化し、難民認定を申請したが認められず、入管施設に2度にわたり収容された。当時から支援者に「胸が痛い」と訴えていたが、施設では十分な治療が受けられなかったという。

 18年に2度目の仮放免(条件付きの一時解放)となり、その後乳がんと診断された。在留資格がなく健康保険に入れないため、医療費は高額だ。それでも支援者らが仲介し、理解ある病院で治療を受けた。いったん退院後は一時ホームレスの状態になり、支援者らが衣食住を確保し、さらに別の病院で治療を続けた。

 支援者らが治療目的の在留資格を出すよう、国に繰り返し要請。在留(1年)を認めるカードが病院に届いたのは、マイさんが死亡して約3時間後だった。

 最初に治療を受けた病院にはマイさんの未払いの医療費計約700万円が残ったままで、解決していない。支援者の一人で牧師の阿部頼義さん(40)は「健康保険があれば、治療がスムーズに進んだはず」と悔やむ。

 健康保険は国内在住の外国人も対象だが、在留資格がない、または短期(90日以内)の資格の場合は加入できず、医療費は全額負担になる。がんなど重病の場合は数百万円に上る。一方で、在留資格がないと就労が禁止され、生活保護も受けられない。

 首都圏で支援活動をする「北関東医療相談会」(群馬県太田市)は、20年だけで48人の医療費(計480万円)を援助。このうちマイさんを含めた9人ががん患者(大腸がん、肺がん等)で、少なくとも5人は治療後に死亡した。事務局長の長澤正隆さん(67)は「お金がなく治療を控え、私たちが相談を受けた時には既に手遅れのケースも多い」と話す。

 増えているのが200~300%の医療費を請求されるケースだ。通常、医療費(診療報酬)は医療行為を1点10円で計算するが、無保険の場合は自由診療となり、病院側の判断で1点20~30円という高額設定が可能になる。保険加入者(30%負担)なら3000円程度で済む風邪の診察でも2万~3万円になる計算だ。

 政府は近年、富裕層の訪日外国人を想定した「医療ツーリズム」を成長戦略の一つに位置づけており、その流れが困窮する外国人にも影響を与えている。

 厚生労働省が20年度に実施した調査(全国4380病院が回答)では、24%の病院が外国人の医療費を1点10円を超える単価で設定していた。厚労省医療国際展開推進室は「無保険の外国人の医療費は各病院が設定するもの。困窮者であっても価格を指導する権限はない」との立場だ。

 一方、国籍にかかわらず生活困窮者に無料または低料金で医療を提供する「無料低額診療事業」もあるが、実施する病院は全国で723カ所(19年度)で、全体の1%以下。支援者によると、新型コロナウイルスの影響で病院財政が悪化、協力的な病院が減っているという。また、未払いの外国人の医療費を肩代わりする「外国人未払い医療費補てん制度」もあるが、導入しているのは東京都や神奈川県など一部の自治体にとどまる。

 深刻なのは困窮する外国人の増加だ。近年、外国人の入管施設への長期収容が問題化していたが、コロナ感染予防のため20年以降は多くが仮放免になった。また、留学生や技能実習生として来日後、さまざまな事情で在留資格が切れ、コロナの影響で収入が減った人もいる。

 厳しい現状を受け、NPO法人「移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)」は、政府に制度改善を求める署名運動(12月末まで)を展開している。▽仮放免の外国人が健康保険に加入できるように在留資格を出す。出せない場合は国が医療費を負担する▽1点10円での医療費の計算を徹底し、高額の請求をやめさせる――ことなどを要望。インターネット上の「Change.org(チェンジ・ドット・オーグ)」でも運動している。

 神戸を中心に支援活動をしている移住連運営委員の觜本(はしもと)郁さん(68)は「帰国できず、就労もだめ、生活保護もだめで、どうやって高額な医療費を支払うのか。命の危機にある外国人を『仕方ない』と放置するのは明らかな人権問題だ」と話している。

ADHD患児の多くは成人後も症状が残存

注意欠如・多動症(ADHD)の患児は、間欠的な寛解を経験するが、若年成人期にも症状が残存することが、「The American Journal of Psychiatry」に8月13日報告された。

 高齢者の外出支援

新型コロナウイルス禍の外出自粛によって高齢者の身体機能の低下(フレイル)が懸念されています。高齢者の外出を支援する、「移動」をめぐるさまざまな技術開発が加速しています。
 エクサホームケアが普及を進めるアプリ「ケアコチ」は歩行の動画から衰えた部位を解析し転倒などを防ぐツールです。高齢者に、独り歩きと歩行器を使った時の2回、5メートルを歩いてもらい、その後ろ姿を撮影。動画からAIが肩や脚の13箇所を検知して歩行器の有無によってできる歩行の速度やリズム、脚の上がり方の違いを解析して転倒リスクの高さを判定します。
 ヤマハ発動機は、千葉大学と共同し、低速の電動車両を使って高齢者の外出や社会参加を促し、その結果、健康や介護予防にどう寄与するかを検証する研究を始めると発表しました。研究では運転手を含めた定員7人の低速電動車両を定期路線バスのように巡らし、移動の範囲がどのくらい広がったかを見ながら、各種の健康指標、心の状態が実験の前と後でどう変わったかを検証します。
過疎化で公共交通機関が乏しい地域が増える中、地域の足として低速電動車両の意義を明確にして普及を促したい考えです。
 電動車いすのメーカー、WHILLは折りたたみができて、持ち運びがしやすい軽量の電動車いすを発表しました。イスのようなシンルな構造で、重さは27キロと以前のタイプと比べて半分程度です。簡単に折りたたむことができ、タクシーの後部座席に載せることもできます。
 高齢者が家に閉じこもる状態が続くと、認知症やうつ病などを発症するリスクが高まり、要介護にもつながりかねません。高齢者の外出を支援する活動が広がることが期待されます。

「五輪・パラ 橋本聖子 組織委員会長が日歯を訪問」

東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会の橋本聖子 会長が10月7日、歯科医師会館を訪れ、堀 憲郎・日歯会長と井上恵司・東京都歯会長が対応した。

 橋本組織委員会長は、日歯が都歯との緊密な連携の下に、全面的かつ総括的なサポートにあたり、都歯が主体となって対応した選手村のポリクリニックでの活動等について、歯科医師会などの協力に感謝の意を示した。

 堀 会長は、厳しい状況下で、大会を成功裏に終えた橋本組織員会長の手腕を高く評価した。さらにアスリートの視点に立った同会長の開会式でのスピーチに感銘を受けたことや、新型コロナウイルス感染症に関して各国の歯科医師会とWeb会議を開催する中で、東京大会への高い評価と祝意を受けとことを伝えた。

 最後に、日歯・日本歯科医学会・スポーツデンティスト協議会などが連携して、各競技団体との関係構築をさらに進め、国の支援を得てスポーツ歯科を国民に広く普及させていきたいと述べた。

【日歯メールマガジン】

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比嘉なつみ 氏 繰り上げ当選成る!
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 10月21日、日本歯科医師連盟が支援をした参議院比例代表候補の比嘉なつみ 氏が繰り上げ当選となり、再び国政の場で活躍されることになった。

 これにより、歯科医師の国会議員が再度参議院という立法府に復帰することになる。

< 繰り上げ当選の経緯 >
 この度、参議院山口県選挙区が欠員となり、補欠選挙を行うことになった。この参議院山口県選挙区補欠選挙の候補者として、北村経夫 参議院議員(全国比例、令和元年選出)が全国比例区から山口県選挙に立候補した。

 この出馬により、北村氏が選出されていた令和元年選挙における全国比例区の自民党議員枠が1名空くことになり、次点であった比嘉氏が繰り上げ当選となった。

【日本歯科医師連盟 News Letter】

30代以上、高血糖だと歯の本数が少ない

滋賀医科大学 前川 聡 教授、森野勝太郎 准教授の研究グループとサンスター株式会社は、共同研究により、定期健康診断結果と医療機関の診療情報(診療報酬明細書=レセプト)を基に、年代ごとに血糖コントロール指標と歯の本数の関係を分析した。

 その結果、30代以上の年代において、HbA1c値や空腹時血糖値が高いほど歯の本数が少ないこと、糖尿病予備群(空腹時血糖110-125mg/dl)においても正常値群(同110 mg/dl未満)と比べて歯数が少ないこと、また高血糖と喫煙の条件が重なることで歯の喪失リスクがより高まることを明らかにした。

 同研究グループは「糖尿病とともに生きる人は、早期に歯科健診を受けるなどして、口の中のケアを行い、歯周病やむし歯の予防や治療を行うことも重要である」ことを示した。

【歯科通信】

「いい歯の日」TVパブリシティ

<<株式会社ロッテ >>
 当会 藤田会長が株式会社ロッテのTVパブリシテイ(HTB)において、2021年11月6日(土)に出演いたします。

【放映日】2021年11月6日(土)9:30~10:40(出演90秒)
【放送局】北海道テレビ放送株式会社(HTB)
【番組名】イチモニ!土曜第2部

「医療機関等の税制で提言」

日本経営コンサルタント協会は14日、記者発表を開き「医療機関等における税制のあり方に関する提言」について公表した。

 同提言は、充実した医療・介護提供体制の確立と医業経営安定化の目的とし、1、「医療法人・個人立医療機関の承継税制等の整備について」 2、「医師の勤務環境改善支援のための整備について」 3、「医療及び介護に係る控除対象外消費税問題の抜本的解決について」 4、「新型コロナウイルス感染症に関する税制措置について」の四つを提言した。

 発表会では「我われの調査で多くの病院が新型コロナウイルス感染症でのダメージを受けており、税制措置により健全な医療・運営ができるよう国民にプラスになる提言をしていく」と述べた。


【歯科通信】

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