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cnm陽性ミュータンス菌が微小脳出血の出現に関与。脳卒中の機序の解明に期待。

脳卒中は寝たきりになる原因の筆頭で、脳の血管が詰まる脳梗塞と脳の血管が破れる脳内出血および、くも膜下出血に分類される。脳出血は高血圧や糖尿病などの生活習慣病との関わりが深いが、それだけでは説明出来ない部分が多く、未知の要因があると考えられてきた。
 研究グループは、脳卒中で国立循環器病研究センターに入院した患者から歯垢を採取し、その中に含まれるミュータンス菌を培養し、cnm陽性ミュータンス菌と経時的な微小脳出血の出現率の関係を調査。その結果、cnm陽性ミュータンス菌が歯垢中から検出された患者はそうでない患者と比較して、微小脳出血の出現率が4.7倍高いことが明らかになった。

歯周病がサルコペニアの病態悪化に寄与。ジンジバリス菌の感染が骨格筋の代謝異常を惹起。

歯周病が糖尿病の病態を悪化させる機序の一つに、インスリン抵抗性の惹起が挙げられるが、インスリン依存的に糖の取り込み、代謝を行う組織である骨格筋との関連は解明されていなかった。東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科歯周病分野の片桐さやか講師、佐賀大学医学部付属病院肝疾患センターの高橋宏和特任教授らの研究グループは、骨格筋組織の脂肪化に着目し、歯周病原細菌の血清抗原体価との関連を調査した。
 その結果、メタボリックシンドローム症候群の患者において、骨格筋脂肪化マーカーとジンジバリス筋の血清抗体価が有意に相関していることが判明。また、ジンジバリス菌を投与したマウスでは腸内細菌叢の変化を伴い骨格筋の炎症関連遺伝子群が上昇、脂肪化が亢進しインスリンシグナルの低下とともに糖の取り込みが阻害されていることを見出した。

高齢者の健康、お口から

歯科医や歯科衛生士と連携して、口の中をきれいにする口腔ケアをすることで要介護者の健康維持・増進につなげる取り組みを始めている施設がある。高齢者の誤嚥による肺炎を減らすなど口腔ケアの重要性は近年認識されている。

口腔ケアで誤嚥なくせ

特養で、口腔ケアによる誤嚥性肺炎予防の効果を上げている。施設利用者の口腔内環境を改善するために、歯科衛生士が独自のケア方法を介護職員に指導し、施設では導入後、誤嚥性肺炎による入院がゼロになった。(北陸中央新聞)
口腔ケアは、多くの施設が取り入れているが、専門知識を持つ歯科衛生士が指導している施設は、少ない。歯科衛生士が利用者の状態に合わせて指導したり、筋肉を刺激して唾液を出すマッサージなどがあり、介護職員に方法を伝えている。

咬筋は、トレーニング感受性か比較的高い②

同研究により、マウスピースを用いた簡易な噛みしめ訓練が義歯を使用している高齢者に対して、咬合力や咬筋性質の改善に有効であることが示された。

 咬筋肥大は1か月という短期間で認められ、咬筋は比較的トレーニングの感受性が高い筋肉であることも示唆された。義歯などの歯科補綴治療が完了し、メインテナンス段階に入った者に対する口腔機能、口腔周囲筋セルフマネジメントの確立が期待される、と研究グループは述べている。

最後まで食事を

高齢者らに食べる楽しみ、喜びを維持してもらいたいと誤嚥性肺炎をめぐる医療と介護の連携についてセミナーが開催された。冒頭で誤嚥性肺炎の治療では、絶飲食は誤りで、在宅で治療可能である。終末期や老衰の場合は治療しない選択肢もあるとの指摘がある。多職種連携によって嚥下機能に問題があっても、本人の希望を最優先させ最後まで自宅で飲食を続けることも可能と報告された。(神奈川新聞)

マウスピースの噛みしめ訓練、義歯使用高齢者の咬合力など改善

東京医科歯科大学は4月5日、簡易に作成できるマウスピースを用いた噛みしめ訓練が、義歯を使用している高齢者に対して咬合力と咬筋量、咀嚼筋性質の改善に有効なことを突き止めたと発表した。この研究は、同大大学院医歯学総合研究科摂食嚥下リハビリテーション学分野の戸原玄教授、山口浩平特任助教、高野悟大学院生らの研究グループによるもの。研究成果は、国際科学誌「Scientific Reports」にオンライン掲載されている。

 口腔機能低下は、サルコペニアや死亡などの危険因子だ。口腔機能の中でも、特に咬合力や咀嚼能力は食事の選択に大きく影響する。咬合力が低下した者は、肉や葉物が噛み切りづらく、タンパク質、繊維、ミネラル、ビタミンなどの欠乏を招き、低栄養となる。高齢者の健康で自立した生活を維持するためには、口腔機能を維持することが重要だ。加齢や歯の喪失は、咬合力や咀嚼能力低下の主要因の一つ。それらに加えて、咀嚼筋、特に咬筋性質(量や質など)も咬合力や咀嚼能力に関連することがわかってきている。

 近年、筋性質の観察に超音波診断装置が用いられており、量、質いずれも簡単に評価が可能。インプラントや義歯などの歯科補綴治療が口腔機能や咀嚼筋性質の改善に有用なことは、すでに明らかになっている。歯科補綴治療終了後に重要なことは、口腔機能や咀嚼筋性質を維持することだ。マウスピースを使用した噛みしめ訓練は、歯が全て揃っている若者の口腔機能改善に効果があることはすでに報告されていたが、歯を失った高齢者の効果は明らかになっていなかった。

 今回の研究は、マウスピースを用いた噛みしめ訓練が義歯治療を完了したメインテナンス段階の高齢者の口腔機能改善に有用であるか検証することを目的とした。

咬合力、安静時咬筋厚、機能時咬筋厚、咬筋輝度で有意な改善
 今回の研究の対象者は、65歳以上の高齢者53人。基本的に上下左右の臼歯部どこかに欠損を有し、義歯を使用しており、歯の欠損分類であるEichner分類のB群に当てはまる。対象者の義歯には痛みなどもなく、十分に機能しており、歯科治療としてはすでにメインテナンスの段階にあったとしている。

 本研究は、無作為化比較試験。53人の対象者をランダムに介入群と対象者群に分けて、それぞれ介入し、1か月後に介入効果の検証を行った。介入効果は、最大咬合力、咀嚼能力、安静時・機能時咬筋量、質。最大咬合力計測は、専用の感圧フィルムを用い、咀嚼能力検査はグルコース含有グミを用いた。

 咬筋量、質の評価は超音波診断装置を用いて、咬筋量として厚み、咬筋質として筋輝度を評価。筋輝度は、筋内の脂肪や繊維組織といった非収縮性組織を示しており、手足の筋肉ではすでに多くの研究報告がされている。

 まず、介入群、対照群いずれもマウスピースを作成し、トレーニングはマウスピースを装着した状態で実施された。介入群は10秒間の最大限の食いしばり、対照者群は10秒間任意の速度でカチカチと軽く噛む動作(タッピング)を行った。いずれも5回を1セットとして、施行間は5秒のインターバルを設けた。1日2セットを1か月間継続してもらい、介入効果を確認した。

 統計的解析の結果、介入群で咬合力、安静時咬筋厚、機能時咬筋厚、咬筋輝度に有意な改善を認めた。以上より、マウスピースを用いた簡易な噛みしめ訓練が、義歯を利用している高齢者の咬合力、咬筋性質改善に有用であることが証明されたとしている。

肥満率高い国にコロナ死者集中

 肥満問題に取り組む研究団体「世界肥満連盟」(本部 ロンドン)は4日までに、世界の新型コロナウイルスによる死者約250万人のうち約9割に当たる約220万人が、人口の50%超が肥満に分類される国に集中していたとする報告書を発表した。

 世界保健機関(WHO)のデータなどの分析から、肥満の目安となる体格指数(BMI)の成人平均値が25未満の国で新型コロナによる死亡率が高い国はないと指摘。肥満の成人が人口の50%を超える国は、50%未満の国よりも死亡率が10倍以上だった。BMIが25超の割合が60%台の米国や英国で、人口10万人当たりの死者が100人を超える一方、日本では同じ数値が27.2%、2.6人だった。

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