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口腔ケアで免疫力アップ!

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人の免疫は、害を与える微生物などに対して働き、病気を軽く済ませてくれたり、発症を未然に防いでくれたりします。この病気の発症は、微生物の悪さをする力と免疫力のバランスが崩れた時に生じるのです。このバランスを免疫力優位にしておく必要があります。その方法の1つが、口腔ケアです。口の中には、細菌が沢山いるのをご存知ですか? 常在細菌といって、体を守る働きを示すものもありますが、悪さをする細菌もいます。この悪さをする細菌やウイルスを減らすことが大切です。細菌の塊であるプラークは、歯磨きをしないと落とすことはできません。口の中には、もう1つ細菌の塊があります。それは舌の表面についた舌苔です。これらの細菌を口腔ケアにより減らすことで、口腔の免疫が十分に働くことができるようになるのです。口腔の免疫は、IgA(※)という抗体が働き、害を及ぼす微生物を排除してくれる粘膜免疫というシステムで実行されています。しかし、このIgAも口の中が汚れていれば、敵が多すぎて、防衛が難しくなってしまうのです。

医科と連携して口腔ケア 大分県歯科医師会長の脇田晴彦氏に聞く

 6月の総会で、大分県歯科医師会長に脇田晴彦氏(佐伯市)が就任した。食事や会話を楽しむ他、かみ合わせを調整することでバランス感覚が良くなり高齢者の歩行を改善することにもつながるとされ、口の健康は健康な生活を送るのに欠かせない。新型コロナウイルス禍による診療への影響や口腔(こうくう)ケアを通じた地域社会への貢献などを聞いた。

 ―コロナ禍での新体制の発足となった。どのように運営をしていくか。

 新型コロナ感染拡大の影響を受け、この1年半は、実際に集まって開く研修会や交流などが全くできなかった。実際に集まって情報交換をしたり、手技を学ぶことは大切だと改めて実感している。ただ、インターネットでの研修で最新の話題などは共有しているので、コロナ禍でも会員がスキルアップができるようにしっかり支援したい。

 ―診療への影響は。

 治療よりも定期検査を控える人が増えているようだ。口は食べる、話すなどの機能を担い、生活の質(QOL)を支える場所なので、日常的な口腔ケアは重要になる。歯科は歯だけでなく、嚥下(えんげ)(飲み込み)や発声、かみ合わせなど全身の健康につながる治療にも関わっているので、定期的にかかりつけの歯科医院で検査をしてほしい。口の中を清潔に保つことはコロナをはじめとした感染症予防につながる。毎日のケアもしっかり心掛けることも大切だ。歯科治療を原因としたクラスターは発生しておらず、感染対策も徹底しているので、安心して受診してほしい。

 ―地域や社会にどのように関わっていくか。

 2018年に一般の歯科医では対応が難しい障害児・者の治療をする「県口腔健康センター」を大分市の県歯科医師会館に開設した。患者も増えてきていて、必要としている人が多かったことを実感している。ただ、センターのことを知らずに治療を諦めている人もいるとみられるので、普及啓発活動に力を入れたい。事件や事故、災害などの際に歯型から身元を特定する県警嘱託歯科医については、大規模災害でも対応できるよう各地域の歯科医師会とも協力体制を構築したい。

 ―今後の課題は。

 高齢者の口腔ケアは健康寿命を延ばすためにも不可欠だと感じている。私は佐伯市で開業しているが、通院するための交通手段がない患者もいる。これからは歯科医がしっかり地域に出て、支援することも求められている。医科歯科連携も進めており、がん手術前後での口腔ケアでは地域がん診療連携拠点病院と協力体制を築いている。手術前から口のケアに関わることで、術後の患者のQOLを高めていることが分かっている。今後は他の疾患などにも広げて、県民の健康に寄与できればと考えている。

ブラッシングの際の歯磨剤の必要性

 歯磨剤(歯磨き粉)の役割は、あくまで歯ブラシの補助です。あまりつけすぎるとスッキリ感が先行して磨けていなくても磨けた気になりますので注意してください。つけるのならほんの少量で大丈夫です。歯磨剤の中には薬効、歯質強化(フッ化物入り)、知覚過敏対応などブラッシングだけでは得られない効果もあるので、正しい使いかたで使用することが大切です。

高齢者も運動で筋肉量を増やそう

フレイルやサルコペニアは筋肉が減っていく、または筋肉のパフォーマンスが落ちている病態。その予防・改善にはタンパク質摂取と合わせて「運動」が重要です。運動には大きく分けて、散歩などの有酸素運動、筋肉に負荷をかける動作を繰り返し行うレジスタンス運動(筋トレ)、ストレッチング・体操がありますが、高齢者には難しいと思われがちな筋トレも、階段昇降や椅子立ち上がりなど工夫の仕方によっては十分実施が可能です。
 中でもおすすめは、腰を落とした四股(しこ)の姿勢。下半身(大腿部・臀部)の大きい筋肉と体幹のバランスを鍛えることができて転倒予防につながります。運動習慣は生活習慣病にも効果的です。

 地中海食の特徴

 ●果物や野菜、オリーブオイル、ナッツ類、豆類、未精製穀物を毎食使用。
  ●乳製品や肉よりも魚を多く使う
   (牛肉、豚肉、菓子は月に数回程度)。
  ●食事と一緒に適量の赤ワインを飲む。

地中海食で健康増進を

近年、n-3系とn-9系の油を上手に摂れる地中海食が注目されています。地中海食はイタリア、ギリシャ、スペインなどの地中海沿岸の国の人が食べている伝統的な料理のことで、肥満を予防・改善するダイエット関連のワードとして目にすることも多くなりました。地中海食の定義は広く、特徴としては加工度を最小限にとどめ、その地域でとれた旬の新鮮な食材を使った料理であること。
 魚介類やオリーブオイル、ナッツ類などを多用し、赤身肉の使用と加糖(菓子)を減らして、植物性食品が豊富に摂れるような食事のパターンになっています。
 地中海食は死亡率の低下や、心血管疾患、がん、アルツハイマー病などの発生率の低下との関連が多数報告されています。複雑な調理手順がなく、入手の難しい食材や特別な調理器具も必要としないので、日常の食事に気軽に取り入れてみてはどうでしょうか。

ブラッシングは大切です。

 ブラッシングの役割は、虫歯や歯周病予防だけではありません。
 他にも
①味覚が三部くなることを防ぐ
②唾液腺に刺激を与え自浄作用を高める
③ブラッシング動作によるリハビリテーション効果を期待できる
④食欲の亢進が期待できる

あんぱんと牛乳の組み合わせは最強の間食!

食欲や口腔機能の低下などによって1回の食事量が減ってきたという人は、間食の回数を増やして1日のエネルギー摂取量を補うようにしましょう。間食には、エネルギーとタンパク質を摂取できる乳製品、卵、豆類がおすすめ。油を多く含みエネルギー確保ができるクッキーやチョコレート、パンも適しています。
 例えば、普段のおやつを「煎餅とお茶」から「あんパンと牛乳」の組み合わせにするだけでも栄養価はかなり変わります。牛乳は脂質が多くカロリーが高いうえにタンパク質やビタミンDが摂れ、水分補給にもなります。あんの原料である小豆にはタンパク質が豊富に含まれています。間食によって血中のアミノ酸濃度の変動が抑えられる(食事と食事の間にアミノ酸濃度が下がらない)とタンパク質合成能も高くなるので、この組み合わせのおやつは高齢者にとって最強といえるのです。

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