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歯の外傷と応急処置

歯の構造

 私たちが、普段「歯」と言っているところは、歯ぐき(歯肉)から出ている歯の部分(歯冠)と歯ぐきの中にある部分(歯根)に分かれます。
 歯の中には、神経と呼ばれる「歯髄」がありその中には血管や神経があります。
 歯の根の周りには、歯を支える骨(歯槽骨)や歯と骨の間のクッションとなる膜(歯根膜)があります。

歯の外傷にはどんなものがあるの?

 歯の外傷の原因には、
  @人と衝突
  A転倒
  B殴打
  C交通事故
  Dスポーツでの衝突
  Eその他

   があります。

 歯の外傷の状態には、
  @脱臼
  A破折
  B歯の埋入
  C歯の神経の損傷
  D歯槽骨の損傷
  Eその他

 があります。


@脱臼(歯が抜けた状態)

 歯が骨から離れた状態(抜けた状態)のことで次の2つに分けられる。

 完全脱臼
  歯の根が歯槽骨(あごの骨)から完全に抜け落ちた状態

  

 不完全脱臼
  歯根膜が一部断裂し、歯が少し抜け落ちかけている状態
  

A歯の破折(歯がかけた状態)

おおよそ3つに分けます。

 歯冠破折
  破折の最も多い。目で見てすぐ分かります。(A)
  

 歯根破折
  一見折れていないようで、骨の中で歯の根が折れている状態です。(B)
  

 歯冠ー歯根破折
  歯冠から歯根にかけて折れている状態です。(C)
  


B埋入・骨折

 埋入とは、外力のかかる方向により歯が骨の中にめり込むことです。
 骨折とは、大きな力がかかると歯槽骨や顔面の骨が折れることです。
 歯自体にも脱落や破折、不完全脱臼などがおこり、痛みによる発音障害や、咀嚼障害が起こることもありますので、出来るだけ早めに歯科医院へ行きましょう。


 (埋入の写真)
 歯には問題なく埋まってしまった状態。根が出来ていない時(根未完成歯)は、根の成長に経過を観ていく。
  

 (骨折の写真)
 下の顎が前歯2番目と3番目の間で折れている。

  

 (骨折のレントゲン)
 左下の親知らずの所で折れている。親知らずは、その歯のある所が骨が薄くなっているので外傷等で骨折しやすい。
  

C外傷による変色(神経の壊死)

 外傷によって脱臼・亜脱臼となり、歯の神経が死んで(歯髄の壊死)神経内部の血液が歯にしみ出し赤から茶、灰色などに変色することがあります。
 この変色は、着色(タバコ、お茶、コーヒーなど)とは違い歯ブラシや歯科医院での着色除去ではとれません。

    


外傷で歯が欠けたり抜けたりしたら

 様々な状況が考えらるため基本として
 @近くにいる大人に連絡する。一緒にいる人に呼んできてもらう。
  (歯も大切ですが、手・足の骨折、頭部など他の部位の外傷の救急度が高いものを優先する。)

 A抜けた歯、欠けた歯を急いで探す。


 B砂、土など汚れがついていたらとれる程度に水で洗う。
  (極力水洗いは短い時間で行う:30秒以内)


 C歯科医院に連絡して状況を説明する。


 D乾燥させないように牛乳につける。ない場合は、口に入れる。
  最悪の場合は、ティッシュに水を含ませる。乾くと歯の周りについている組織が死んでしまい、骨とつかない。


 E歯科医院に急いで行く(30分以内が望ましい)。
  前もって連絡しておけば、準備されて対応が早くよりとれた歯のつきがよくなる。

スポーツにおいて外傷から歯を守るためには

   マウスガードが有効です。
   マウスガードとは、歯や顎の骨を守る道具です。特にコンタクトスポーツ
   (ラグビー、アメフト、ボクシングなど接触のあるスポーツ)には、
   かかせません。

   マウスガードの効果
   ・外傷の予防
   ・歯の破折の予防
   ・歯の脱臼の予防
   ・顎骨骨折の予防
   ・口の中の唇、頬側粘膜の裂傷の予防

   マウスガードの作り方
    歯科医院で作る場合と自分で作る場合があります。
    自分で作る場合は、スポーツ店にて既製の型がありますので
    購入して自分で調整します。ただし、かみ合わせの調整、
    自分の歯型に合わないなど不適合となりやすく逆に違和感が
    でやすいため各個人に合った歯科医院での製作を推薦します。

   歯科医院での作り方
   @むし歯、かみ合わせのチェック
   むし歯がある場合は、マウスガードを作る前に治療します。
   (合わなくなるため)かみ合わせは、ひとり一人によって異なるため
   その人に合うようにチェックします。
   A型を取る
   歯型と歯ぐきの型を取りひとり一人に合うように作ります。
   B装着
   出来上がったマウスガードを入れて調整します。
   C調整
   使用してみて細かい所を調整します。歯ぐきとの隙間、かみ合わせが悪い
   などがあれば正確に合わせます。

  (注意)
   マウスガードは、入れればそれで大丈夫というものでは、ありません。
   ちゃんと外傷から歯や粘膜、骨を守れるようにすることが大切です。

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