有機合成の研究で、日本人として2年ぶりのノーベル化学賞受賞が決まった北海道大名誉教授の鈴木章さん(80)と、米パデュー大特別教授の根岸英一さん(75)は、かつてパデュー大で同じ指導教官に学んだ。その後日米に分かれ、世界的業績を挙げた2人を、周囲は「好対照の同窓生」と評する。
自身も2001(平成13)年に化学賞を受賞した野依良治・理化学研究所理事長は、両氏をよく知る一人。2人の性格は「相当違う」と言う。
鈴木さんは「純日本人でその道ひと筋の人」。留学の2年間を除いてほとんどの研究人生を北大で過ごした。本人による受賞の感想は「非常にラッキー。ほかの研究者がいい仕事をしているのに申し訳ない」と控えめ。親交のある柴崎正勝・東京大名誉教授は「能力を表に出さず、心に秘めている」と語る。
北海道大学で研究を続けてきたことについて
「私は北大で教育を受けて、北大で職を得て、40年北大でお世話になったわけですが、北大で勉強できてよかったと思っています。東京や大阪の大学からも来てほしいという話はあったが、大都会は好きではない。今も札幌は郊外に行くと森もあり川もあり、いいところです。研究するにも静かな環境で勉強するのはいいと思う」
(院長談)
北大からノーベル賞は、嬉しいです。私が在籍していたときにいらっしゃとは、感慨深いです。